大切にする
ぴろりん♪ぴろりん♪
携帯がなって、起きた。
昨日は恋華にひどいことを言ってしまった。
携帯を開くと恋華からのLINEだった。
『ごめんね、今日は一緒に学校行けない。』
ただそれだけだった。
『あー、怒ってるんだなぁ....』
もう最悪だった。
『わかった』だけと伝えておいて、制服に着替えた。
『今日は、朝練ないから楽だなー』
レギュラーのことを考えると心臓が痛かった。
家を出て、電車に乗って、学校に向かう。
下駄箱で靴を履き替えていると
『お願いします!』
職員室から女の子の声が聞こえた。
『だから、もう決めたことなんだ。諦めてくれるかな?』
『龍馬は、いっつも頑張っていました!私、見てました!』
(恋華?...)
俺は、曲がり角で職員室前をそーっと見ていた。
恋華が職員室前でサッカー部の監督と言い合いをしていた。
『君がどんなに俺に言っても、加藤はレギュラーになれないんだよ!わかるかな?』
『龍馬はサッカーがすごく上手です!私、知ってるんです!毎日、リフティングとかして、私サッカーとかよくわからないけど、見てる限り龍馬は他の人よりもずっと頑張っていました!』
『でも、あいつはリフティングしか練習してない。キックの練習もしなければゴールに入らずキーパーに取られてしまう。』
『で、でも....!』
恋華は少し泣いていた。
(もしかして、一緒に行けないって言ったのはこのために?)
『もう諦めなさい。1時間もここにいて、飽きないのかね。俺も仕事しなきゃいけないんだよ。』
(1時間!?そんなに、ここにいるのか....)
『飽きません!龍馬の頑張りを無駄にしてほしくないんです!それに、生徒の話を聞いてあげるのも先生の仕事じゃないんですか!?私は、先生がいいって言うまでここにいます!』
『もう、うっとうしいなー!邪魔だ!早く教室に行け!』
恋華は、少し突き飛ばされて床に倒れた。
『いたっ....』
『れ、恋華!』
俺は、堪らず恋華の元に向かった。
『もう、諦めろ。』
監督は職員室に戻って行った。
『恋華、大丈夫?』
『....なさい....』
『え?』
『ごめんなさいぃ....』
恋華は、泣いていた。
なんで、謝るの?俺の方が悪いのに....
『俺の方が悪いから....謝らなくていいよ...』
『余計なことしちゃったし、バカだし。それに...邪魔な存在だし....』
『余計なことじゃないし、嬉しかったし。邪魔とか言ってごめんな。邪魔なんかじゃないから。ずっとそばにいてくれる?』
『うん!当たり前だよ....』
俺は、レギュラーになれなかったけど、恋華に大切なことを教えてもらった気がする。
人を大切にすること。
俺と恋華は、教室に戻った。




