大切な人
俺は、サッカー部に入った。
恋華の風邪も治って、サッカー部の活動に参加できる!
それだけでも、ワクワクしていた。
中学のときもサッカー部に入っていて、レギュラーだった。
『2年、加藤龍馬です!よろしくおねがいします!』
中学のときよりも、練習のメニューは少なくて正直、楽だった。
でも、やっぱり先輩の方が上手いに決まっている。もしかしたら俺は、下手以下なのかもしれない。不安ももちろんある。
でも、自分なりに頑張った。レギュラーになれるように。
家に帰ってもリフティングを100回以上を目標に練習をしている。腹筋だって割れた方だと思いたい....
そしてある日、監督に呼ばれた。
『なんですか?』
『お前レギュラーの候補な』
『え?僕がですか?』
『なりたくないなら、ならなくていいが』
『な、なりたいです!お願いします!』
『候補だからな。まだレギュラーとは、限らない。学校の生活態度。部活での参加日数も全てがかかってると思って頑張れよ。』
『はい!ありがとうございます!』
レギュラーの候補に選ばれた。嬉しい。成果が実を結んだんだ。
『俺、レギュラーの候補に選ばれたんだ!』
『すげー!レギュラーとか名前からかっこいいな!』
他月が言う。
『私、サッカーのことよくわからないけど、レギュラーになったら試合見に行くよ!』
『私もー(❁´ω`❁)』
『私も行ってあげるよ。』
『部活じゃなかったら行くね!』
『俺もー』
レギュラーになったらみんなが試合を見に来てくれる....
『ありがとう....嬉しいよ!』
そして数ヶ月間、授業態度も部活での参加日数もパーフェクトを狙った。
そして、レギュラー発表当日。
発表は、午後練で発表された。
『レギュラーを発表するぞー』
緊張しすぎて、心臓が痛かった。
次々にレギュラーが呼ばれる。呼ばれた先輩や同級生は、喜びに満ち溢れていた。
『これでレギュラー発表を終わりにする。』
『え?....』
呼ばれなかった。
なにかの間違いだろうと監督に聞いた。
『僕は、レギュラーじゃないんですか?...』
『あぁ。確かに授業態度も部活での参加日数もパーフェクトだった。』
『じゃあ、なんでですか!?』
『練習内容』
『え?』
『お前の練習内容がしょぼい』
『そんな....』
『リフティングを200回以上を目指してたんだろ?それだけ練習してただろ?キックの練習は?パスの練習は?してたか?』
思い返せばやっていなかったかもしれない。苦手なリフティングを続けていただけかもしれない。
『まぁ、次がんばれ。』
監督に肩を叩かれて行ってしまった。
『ばかだな、おれ』
夢見すぎだろ。
その夜。恋華が俺の家に来て、勉強をしていた。
(ここから恋華目線)
『うーん....』
『....』
『φ(..)カキカキ』
『何書いてんの?』
『え?なんにも書いてないよ?』
『見せて』
『はい』
龍馬が私のノートを見るとハッとしていた。
『描いてあんじゃん』
『これは、昨日描いたやつだもん』
『今描いてたじゃん。嘘つくなって。』
『ついてないよー』
『描いてた。』
『描いてないってば!ていうか、なんでこんなことで怒るの?別にいいじゃん!』
『絵とか描いてるから馬鹿になるんだよ!』
『絵を描いて馬鹿になる人なんていませーん』
『は?そんなことしてないで勉強しろ』
『え?....』
いつもの口調とは、違くてびっくりした。
『なに?』
『どうしたの?今日、なんかあった?いつもより、龍馬ピリピリしてるよ。』
『怒ってねーし』
『怒ってるよ。隠さなくていいから言って?』
『....レギュラーになれなかったんだよ』
『え?』
それは、予想外のものだった。
『なんで!?あんなに頑張ったのに!?』
『知らねーよ。もう、黙って』
『ごめん。』
『てか、ここ違う』
『うん....』
今日の龍馬は怖かった。
『ねぇ、ここわからないんだけど....龍馬?』
『....』
『おーい。』
『なに?』
『わからない』
『自分で考えて』
『わかんないよー』
『....もううっさいな!てか、なんでわからないの!?わからない、わからない言ってないで自分なりに考えろよ!もう、どっか行け、邪魔!』
『え?』
(ここから龍馬目線)
『あ、いやその....』
俺は、言ってしまった。
大好きな彼女に『邪魔』と言ってしまった。
八つ当たりしてしまった。
俺が謝ろうとしたら恋華の方が先に口を開いた。
『ごめんね。疲れてるんだよね。私、帰る。今日はいろいろ教えてくれてありがとう。じゃあね』
『ま、まって!恋華!』
恋華は待ってくれなかった。いつも振り向いてくれる恋華は、そのまま玄関に向かって出て行った。
『もう、何やってんだよ....俺....』
自分を恨みたかった。1番関係ない恋華に八つ当たりして。それに謝れなくて。わからないところも教えてあげればよかったのに八つ当たりして、教えてあげられなかった。
他月に相談した。
『はぁ!?なにやってんだよお前!』
『本当だよな。俺も反省してるよ。』
『女子ってのは、傷つきやすい生き物なんだから大切に扱ってやれよ。』
『だよな』
『俺もこの前、柚を泣かせちゃってさー』
『え!柚って泣くの!?』
『女の子だもん。そりゃ泣くよ。んで、「女子のことよく考えろバカ」って言われちゃって。1時間くらい考えたんだ。』
『そうなんだ....』
『女子ってよくわからないけど、俺たちのことよく考えてくれてるんだよな。男子って不器用だし出来ない事の方が多い気がするんだよね。その男子ができないことを女子が支えて、女子ができないことを男子が支えるみたいな?』
『なるほどな....』
『まぁ、明日話してみれば?』
『そうだな』
『俺が応援してやるよ!』
『ありがとな。』
『んじゃ、おやすみ』
『おやすみ』
俺は、ベッドに潜った。




