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人魚②

ホルン達が案内されたのはエーティスという国のシュレイア領の内海だった


驚くことに、その内海には様々な種類の魚や、珊瑚、海草、獣人が棲んでいてひとつの国の領内とは思えないとホルンの大人の仲間達は口々に言う



<ここはシュレイア。世界で最も、複雑な気候のある土地だ。それは海の中も同じ事だ。


ワシ等のように海に生きる者にとってはこの場所は楽園のようなもんだ。その分、幸を狙って侵入者も多い。


だから先程のように、この周辺には領内に不審者が入らぬよう見張る者が常時泳いでいる。ワシや水蛇の旦那のように>


ホルンを最初に見つけた獣は白熊の獣人だという。名前はシロ・・・安直な名前だが気に入っているのだと笑った・・・その名を付けたのが幼い頃のレインだと知るのは少し先の話・・・



「シロさん、人魚の皆さんを岸近くに案内してもらっていい?疲れていると思うから、出来るだけ外海より内海側の方が良いと思うの」


<そりゃあ良い。いくらなんでもバタバタしたしな。嬢ちゃんも疲れたろ?精神的に。


此処にいれば嬢が全力で守ってくれるから安心しろ>


「・・・うん」


自分より幼い少女に守られるというのは不思議な気持ちになるが、少女には年齢不相応な安心感があって、ホルンやホルンの家族達は顔を見合わせつつレインの招きにしたがった




シュレイア家は、ホルン達を柔らかく温かく歓迎した


レインはシュレイア家の中でも幼いながらに重要な立ち位置にいるらしく、ホルンの家族を捕らえた犯人達の捕縛後の指示や協力した周辺国の担当者と忙しなく事後処置をしていたが、その時々にホルン達を気遣った


「レインは私より小さいのに、凄いのね」


「凄いかしら?」


「すっごいとおもう。だって、私は海草の森で遊んだり、珊瑚の畑で遊んだりしているのに、レインはもう働いているじゃない?凄いと思うわぁ」


心からの賛辞にレインはへらりと笑った。すこし照れくさそうな表情に、ホルンは目を瞬かせニコニコと笑う。


「ねえ、レインは普段どんなことをしているの?色んな国に行ったりするの?世界って広い?」


矢継ぎ早の質問に、レインはニコリと笑って1つずつ答える


それから、ホルンはレインと沢山の話をした。レインは陸上世界の話、ホルンは海中世界の話・・・お互いに違う世界と言っても過言ではないくらい、その話はつきなかった



「海にはね、すっごく大きなイカとか、すっごい大きなクラゲとかもいるの。


私のいた村は、カラクサでは端の方なんだけれど、カラクサってすっごく大きな国なんだと思う。一度遠目に見た王様もとても美人で格好いいの!素敵なの!」


「ふふ、ホルンは自分の国が好きなのね」


「勿論!でも、シュレイアも好き。まだ3日しかいないけれど、みんな親切にしてくれるし、この内海は素敵だし、レインもいるもの」


「あら、ありがとう。私もホルンのこと好きよ。素直で、優しくて、可愛くて」


そこまで言ってお互いにふふふ、っと笑う


「ねえレイン、私」


「?なあに、ホルン」


ホルンは初めてまともに会話を交わした人間がレインというのは運命だったのかも知れない、と強く思った


これまで、出会った誰よりもレインは優しく思慮深く賢い・・・わずか3日なれど、ホルンにとっては十分な日数だった


「あの!」


「たのしそうだねぇ」


「「!!??」」


ホルンが口を開いた途端、間近に現れた第三者にレインは慌ててホルンをかばう


「ああ、唐突に声を掛け驚かせたかぇ?人魚の一族の娘と・・・シュレイア家の者だね?



ワタクシはカラクサの王、ツユリと申す。


此度の件で我が国民を救ってくれたこと深く感謝したい。領主に会えるかぇ?」


レインは一瞬目を見開き、そのまま流れるように深く頭を下げた


「シュレイア家、第3子、レイン・シュレイアと申します。



わざわざこの様な地にお越し頂き有り難う御座います。


さしたるもてなしは出来ませんが、どうぞ、このまま当家へお越し下さいませ。

急ぎ当主にも連絡いたしますゆえ」


「ほぅ?では案内頼むぞレインよ」


「はい」



それがカラクサ国王のツユリとレインの出会いであった



そして、ホルンが決断をした時でもあった











「運命って、不思議だと思わない?こうして、立場も種族も違う私達が、レインという共通の人間によって一カ所にいるのだから」


にこにこと笑うホルンに、確かにな、と疾風は頷いた


ホルンは、レインに魅せられたのだ・・・家族を救う活路を開いただけでなく優しく穏やかにホルン達を迎えた・・・危険から庇おうとしてくれた


単純だと、言われることがあるかも知れない


「単純で何が悪いっていうのかしらぁ?」


「誰かに何か言われたのか?」


「んー?なぁんにも言われてないわよ?ふと思ったの。


誰かを尊敬したりとか、守りたいって思うのってぇ、恋に落ちるみたいなものだと思うのよねぇ・・・だから単純でも仕方ないと思うのぉ。


でもって、そんな存在に会えるのって凄い確率じゃないかしらぁ?


だから、運命よねぇ」


「ああ、確かにな」


他の守護役と異なり、ホルンは国を追い出されたわけではない


一族が滅びたわけでもない


単に、ホルンは、選んだのだ・・・故郷とシュレイア(レイン)を


「私は、ホルン。南の守護役よぅ・・・それが私。それが全てだわぁ」


間が空いたせいでコレじゃない感が・・・汗すいません。

ひょっとしたら何時か手直しするかも?

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