第7章 天空神殿のなぞ
建物の中は広いホールのようになっていて、床には赤いカーペットが敷いてあった。壁にはいくつかの窓があり、カラフルなガラスで模様が描かれている。
「教会みたいだね。」
ゆうすけがこうすけに言った。確かに、ゲームやテレビに出てくる教会に似ていた。しかし、中にあったのは礼拝のために用意されたベンチや十字架ではなく、誰かが勉強するために使用していたような大量の本が並んだ本棚や机だった。2人は部屋の奥にいたジェムおじさんとグリトスの方へ駆け寄った。
「これって・・・・」
ジェムおじさんとうグリトスの視線の先にあったのは、転送魔法の時に使う飾り棚だった。様々な動物が飾られている。間違いない。
「これは転送魔法の飾り棚じゃ。どうしてこんなところに。それにここにある資料は、ヒュゴルに関するものじゃ。おそらくここには先代国王の研究資料が残っておるのじゃろう。」
飾り棚を眺めていたジェムおじさんはつぶやくような声を出した。
「ねぇ、この配置って、どこに行けるの?」
ゆうすけが聞いた。
「うーむ・・・。ドワール王国国内ではないことは間違いなさそうじゃ。」
「ドワール王国じゃないってことは、地球のジェムおじさんの家?」
こうすけが聞いた。
「いや、少し違うようじゃ。ヒュゴルの世界のどこかだとは思うのじゃが。」
「行ってみようよ!」
ジェムおじさんが言い終わる前にゆうすけが言った。こいつはまた何も考えずにそんなことを言って、とこうすけは呆れた。たまには兄の気持ちにもなってもらいたい。
「どこにつながっているのかわからんのに、それは危険じゃろう。ドワール王国では、ヒュゴルは危険生物であるとされておる。ヒュゴルの歴史では、何度も戦争が繰り返され争いが絶えないというではないか。」
確かに、と、2人は思った。日本ならともかく、地球上のどこにつながるかわからないのであれば、それは危険だ。
「ヒュゴルの世界のどのあたりかは予測できないの?」
こうすけがジェムおじさんに聞いた。
「どうだろうか。」
そういって、ジェムおじさんは翼を広げて棚の上部まで飛びあがり、じっくりと転送魔法の飾り棚を確認した。
「ふむ。これは、こうすけとゆうすけの家からさほど離れておらんようじゃな。」
「うちの近くってこと?」
こうすけが聞いた。
「それってさくら団地のどこかってこと?だったら大丈夫だよ!知らない場所でも、また転送魔法でここに戻ってくればいいしね。」
ゆうすけが言った。
「安全とは保障できないところにお前さんたちを連れていくのは気が引けるが・・・。行ってみるかね?」
心配そうなジェムおじさんとは反対に、2人は強く頷いた。
グリトス!とジェムおじさんはグリトスを呼んだ。グリトスは飾り棚の前に立ち、転送魔法を使った。
飾られた動物たちの置物が、一斉にグリトスの方を向き、左右に移動し目が光る。それぞれに違った色の光で、グリトスの方を照らす。動物の置物が移動してできた飾り棚の中央に光が集まった。まぶしさでこうすけとゆうすけは目を細める。光の奥に何かが見えてきた。光のトンネルをグリトスが進んでいく。その後ろを、ゆうすけ、こうすけ、ジェムおじさんの順でついて行った。




