↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣の空き家が異世界への入り口でした  作者: あきのりんご
PR
4/14

第4章「野生化したトラ族」

そこには、数匹のアライグマが研究所を守ろうとトラに立ち向かっていた。四足歩行で大きな牙をむき出しにしてガルル~と威嚇をしているトラは、動物園で見たことがある姿だった。ただ、そのトラは、銀色の甲冑を身に着けていた。

ジェムおじさんは、こうすけとゆうすけの前に立った。大きく片翼を振ると、ぱっと大きな木の杖が現れた。その杖をトラに向かって大きく振りかざした瞬間、杖の先からトラに向かって強い風と光が光線銃のように飛び出した。トラは動きをとめて、その姿のままバターンと横向きに倒れた。

アライグマたちがガヤガヤとトラに近づき、それぞれに杖を出し、トラにかざした。杖先から出た光線でトラを持ち上げ、いそいそと研究所へ運んだ。

 こうすけとゆうすけは、固唾を飲んでじっと見ていた。

ジェムおじさんがこうすけとゆうすけにむかって話しかけた。

「あのトラ族は、城からの遣いの者だったのだろう。魔法の力が弱まり、尽きてしまうと、わしらドワール王国の民はこうやって野生化してしまうのだ。魔法の力が封印されてから、ああやって国民が野生化してしまう現象が起きている。さっきのトラ族は気絶させただけだ。今、研究員たちが城へ運んでいる。」

「お城?」

ゆうすけが聞いた。

「ドワール城だよ。あそこに見えるだろう。研究所の周りの林を抜けると街に出る。町の中心にドワール王国を治めておられる国王がいるドワール城があるんだよ。あそこに野生化した国民たちを安全に保護しておる。しかし、野生化した国民は寿命が縮み、命を落としてしまうのだ。急がねばならん。すでに犠牲者が出ているのだ。初めての野生化が起きたのが約40年前。その時に、野生化したのはたった1人だけだった。ところが、魔法の力が封印された10年前から、1年に1人ずつ野生化し始めた。今年で10年目、ついに国王が11人目の犠牲者になってしまった。それから急に犠牲者が増え、先ほどのトラ族が14人目じゃ。」

ジェムおじさんの話はゆうすけには少し難しかった。

「うーん、つまり、ドワール王国を元の平和な国に戻すために、10年前に封印されたドワール王国の魔法の力を開放しなくちゃいけないってことだね。」

こうすけがゆうすけに簡単に説明し直した。

「なるほど。」

こうすけのおかげで、ゆうすけも状況を理解できたようだ。

「その通り。我らの世界は互いに影響し合う。魔法の力の封印を解かねば、お前さんたちの住むヒュゴルの世界の生命力も弱まってしまい、新しい病気の蔓延や食物の生育不良による食糧不足など、深刻な問題をひきおこすことになるじゃろう。」

ジェムおじさんは難しい顔をして言った。

「もしかして、お母さんの病気も魔法の力の封印と関係があるのかな?病気でお母さんの生命力が弱まっているなら、魔法の力で治せるかな?」

ゆうすけが聞いた。

「なに?お前さんたちの母君は病に侵されているのか?」

「入院しているんだ。」

ジェムおじさんの問いかけに、こうすけは小さな声で答えた。

「ふむ、魔法の力とは生命力そのものじゃからの。それが体の病ならな関係ないとはいいきれん。」

その時、ドーン!と遠くから大きな音が響いてきた。木から鳥たちがバサバサーッっと一斉に飛び立ち、逃げていくのが見えた。

「これは結界の外の音か。音がここまで響くほど力が弱っておるのじゃ。」

ジェムおじさんが、難しい顔をして空を見上げた。

「グリトス!行こう!!お前さんたちもついてきてくれるか。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。