第17話 農家、頭脳プレーを目指す
大広間に戻るなり、拓海が胸を張った。
「次の戦いでは、俺が“頭脳プレー”出来るところを見せてやる!」
その言葉にレイカが即座に眉をひそめる。
「いやいや、アンタが張り切るとロクな事にならないじゃん。ズルでも力技でもいいから、さっさと倒してよ」
さらに水城まで冷ややかに腕を組んで言い放つ。
「レイカの言う通りね。今は安全に進むのが最優先よ。高山は頭脳プレーに向いてないんだから、力押しで十分」
「ぐぬぬ……」
辛辣な物言いに拓海は思わず歯ぎしりした。二人の言葉は正論なのかもしれないが、男のプライドはズタズタである。
「くっそー!絶対、頭脳プレーで見返してやるからな!」
顔を真っ赤にしながら、拓海は勢いよく次のルートを指差した。
「おいベジ!俺たちの知恵を見せてやるぞ!」
呼ばれたベジは首をかしげつつも、尻尾をぱたぱたさせてついていく。
そんな拓海の後ろ姿を見ながら、レイカが小声でぼやいた。
「どうせまた空回りするに決まってるよね……」
水城もため息混じりに応じる。
「下手に頭を使わせると余計危険よ。……ほんと、ダンジョンごと崩されるんじゃないかしら」
二人の信頼度は地に落ちたまま。拓海だけが「見返してやる!」と一人息巻いていた。
──そして進むにつれ、じわりと空気が熱を帯びてくる。
頬に汗がにじみ、息がこもる。床の岩も赤く灼けているような錯覚を覚える。
「……暑っ!」拓海がタオルで額を拭う。
「ねえ拓海、さすがにわかるでしょ?」レイカが呆れ顔で言う。
「ここまで来たら言うまでもないわね」水城が冷静に続ける。
そう、これから相対するのは火属性のボスだ。
そして奥から、地鳴りのような咆哮が轟いた。
熱風を伴って姿を現したのは、灼熱の鱗を纏う巨大な火竜。
サラマンダーよりも格上の存在であることは、一目でわかる。
拓海は思わず拳を握った。
「よし!ついに来たな!この戦いは俺に任せろ!」
だが後ろから返ってきた二人の反応は──
「……不安しかない」レイカ。
「下手に頭脳を使うと死ぬわよ?」水城。
拓海の意気込みとは裏腹に、レイカと水城の表情はどんより曇っていた。
「農民こそが最強です。〜うっかりダンジョンを水没させたら世界最強になってしまいました〜」もよろしくお願いします!
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