第15話 農家、スネる
泥田坊を撃破し、大広間に戻ってきた一行。
息を整える間もなく、水城がきりっと背筋を伸ばした。
「状況を整理しましょう。今のところ出てきたモンスターは木属性と土属性。私の予想が正しければ、残すは火・水・金、三属性ね」
「……木の化け物はあんなに強かったんだし、土は……」
レイカがちらりと拓海を見る。
「まぁ拓海がズルして楽勝でしたけど、他のも相当手強そうですね」
「ちょっと待て! ズルってなんだよ!? 俺は正々堂々、農家の知恵を駆使しただけだ!」
拓海が抗議する。
しかし三人の間で一番の存在感を放つのは、そんな拓海ではなく――。
「ボリボリ……ワフッ」
ご満悦そうに、戦利品(?)のゴーヤをかじるベジだった。
満足げに尻尾をぶんぶん振る姿は、緊張感ゼロである。
拓海の声はあっさりスルーされ、水城が話を続ける。
「金属性は、私の予想ではメタルゴーレムか機械系モンスターね。火属性はサラマンダーやヘルハウンドなんかが多いイメージ。水属性ならクラーケン、リヴァイアサンあたりかしら。いずれも手強いモンスターよ」
「火属性は水城教官が有利そうですね。水属性は……うーん、拓海のお得意のズルでなんとか出来そう? 問題は金属性ですかね」
レイカが腕を組んで真面目に分析。
「おい! だからズルって言うなって!」
拓海が机を叩くみたいに地面をバンバン踏み鳴らす。
だがまたもスルー。
「そうね。金属性は硬いし、火で対抗するとしても相当な高火力が必要。厳しい戦いになりそうだわ」
水城はさらりとまとめると、拓海の方をちらりと見て言い放った。
「まぁ……高山が力技で何とかするでしょ」
「ぐぬぬ……俺だって色々考えてるのに……」
拓海はスネたように膝を抱える。
「鬼が出るか蛇が出るか。とりあえず先へ進んでみましょう」
水城がそう告げると、レイカも頷き、ベジはまだゴーヤをかじっていた。
拓海だけが「ズルじゃないもん……」とぶつぶつ言いながら、渋々歩き出すのであった。
「農民こそが最強です。〜うっかりダンジョンを水没させたら世界最強になってしまいました〜」もよろしくお願いします!
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