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第9話 農家、またしても歩く野菜を作り出してしまう

ある夜のことだった。

拓海の家の納屋に、奇妙な音が響いていた。


――ゴロゴロ…ズルッ…ゴトン。


野菜庫に置いていた収穫済みのゴーヤやトマト、キュウリたちが、まるで意思を持ったかのように動き回っているのだ。

ゴーヤがトマトに巻きつき、キュウリが槍のように突き立ち、ナスが盾のように構える。

まるで戦隊合体ロボのように融合し、最後には「人型っぽい何か」に姿を変えてしまった。


「……ぐぉ……も、もっと……」

かすれた声を上げ、モンスター化した野菜の塊は拓海の寝室の方へとにじり寄っていく。

拓海から漏れ出す魔素を吸い込むためだ。


そして翌朝。

「さて、今日も野菜チェックだな〜♪」とスコップ片手に納屋へ向かった拓海。

だが中を見て、彼は目を疑った。


そこに立っていたのは――融合野菜モンスター。

赤と緑と紫のカラフルな外装、ゴーヤのツルをマントのように靡かせ、トマトの赤い目がギラリと光る。


「な、なんだこれ!? 野菜戦隊ゴーヤンジャーか!?」

拓海が慌てて身構えると、その“野菜”は低く響く声で語り始めた。


「……聞け、人の子よ。我はダンジョンの意思なり」

「ダ、ダンジョンの意思ぃ!?」


「ダンジョンを取り込みしものよ、高山拓海。

 汝は我のもとに来るのだ。来なければ……お前は後悔することになる」


その荘厳な声と雰囲気に、拓海も思わず息を呑む。

――が。


次の瞬間、野菜モンスターは「ボフン」と煙のように崩れ、チリとなって消えてしまった。


沈黙。


そして拓海の叫びが、朝の空へこだました。

「もう後悔ならしてるよぉぉ!! 俺の!俺の野菜がぁぁぁ!!!」


「農民こそが最強です。〜うっかりダンジョンを水没させたら世界最強になってしまいました〜」もよろしくお願いします!


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