第8話 農家、畑仕事を満喫する
拓海が水没ダンジョンのコアを吸い尽くして数日。
何も起きないかと思えば……いや、むしろ起きすぎていた。
まず、畑。
「おっ、いい感じに芽が出てきたな」
拓海がスコップで土をいじった瞬間、ゴーヤの苗がニョキニョキと伸び、あっという間に大人の背丈を超えてしまった。
「お、おい高山! それ成長早すぎだろ!」
横で見ていた水城が慌てふためく。
「うーん、俺の腕が上がったのかもな!」
能天気に笑う拓海だが、そんなレベルの話ではない。
数時間後にはトマトが赤く実り、キュウリはバットのような太さになり、ナスに至っては軽く殴れば武器として使えそうな硬さに育った。
美味しそうにベジがボリボリ食べてはいるが、その姿はまるで魔物が餌を貪るかのようで、レイカは背筋を震わせる。
「……拓海、もしかして魔素が漏れ出してない?」
「え? あー、そういや畑仕事してると頭がスッキリする感じがあるな」
「それ! 絶対無意識に魔素を放出してる! 普通の野菜の生育速度じゃないから!」
研究班に検査されると、案の定「体内コアが勝手に周囲の魔素を吸い上げ、それを植物に流し込んでいる」との結果が出た。
要するに、拓海が畑を耕す=野菜が魔改造される。
「つまり俺って……歩くダンジョン農場?」
「笑い事じゃないよ! このままだと周囲がダンジョン化しかねないんだよ!」
レイカの怒声も、拓海にはあまり響かない。
だって、自分の育てた魔改造ゴーヤをベジが「シャリッ」と美味しそうに食べているのだ。
拓海はただ満足げに頷く。
「……やっぱり農業は最高だな」
その一言に、水城とレイカは同時に頭を抱えた。
「農民こそが最強です。〜うっかりダンジョンを水没させたら世界最強になってしまいました〜」もよろしくお願いします!
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