第8話 農家、融合の謎を知る
検査の結果、ベジの体には驚くべき能力が秘められていることが判明した。
巨大化、影に隠れる、格下を威圧する吠え声、高速移動――総合戦闘力はAランク相当。
しかも、まだ成長の余地があるという。
「……犬じゃなくて、もう兵器の領域じゃないか?」
拓海のぼやきに、水城はあっさり「ま、仲間だからいいじゃない」と返す。
レイカは「ベジ最強!」と無邪気に頭を撫でている。
当のベジは尻尾を振りながら、拓海の足元にぴたりと座っていた。
その後、自衛隊のダンジョン解析班のリーダーが、ベジが生まれたAランクダンジョンの調査結果を報告してきた。
「結論から言うと、あのダンジョンは最後の急な採掘作業で、復活に必要な魔素が不足していたようです」
「魔素が不足すると復活は遅れる……んじゃないのか?」拓海が首を傾げる。
「ええ、普通ならそうです。ですが、たまたますぐ近くのCランクダンジョンが攻略された。その際、両ダンジョン間で魔力共鳴が起こり、結果として“融合”という形になったと考えられます」
「……そんなことあるんだ」
「極めて稀ですが、過去にも数例あります。今回はその影響で、異質な魔素を帯びた魔物――ベジが生まれたのでしょう」
拓海は足元のベジを見る。
「……お前、レア中のレアだったのか」
ベジは意味もわからず、ただ尻尾をブンブンと振った。
その日の夕方、司令室に緊急通信が入った。
『SSランクダンジョン攻略中のパーティが、突如音信不通になりました!』
報告を聞いた瞬間、室内の空気が一変する。




