第6話 農家、ダンジョンボスと対面する
「俺は採掘を手伝ってて、揺れたと思ったらお前らが目の前に居た感じだ。そっちは?」
拓海が眉をひそめて聞く。
水城は腕を組みながら冷静に答える。
「ボスを倒したら、揺れてこうなったって感じよ。恐らくはまた融合したんでしょうね」
レイカはケロッと笑う。
「そうなのよ。最初はただの地震かと思ったら拓海が居たの。まぁ拓海が居ればなんとでもなるでしょ」
「いや、なんでもはならないけどな……」と小声で突っ込む拓海。
そんな会話の最中、黒いモヤがふわふわと集まりはじめる。
そして――中型犬くらいの大きさの、真っ白な犬が姿を現した。
「犬……?」拓海が首を傾げる。
「そんな訳ないでしょ!モンスターに決まってるじゃない!」と水城。
「ですよねー」とレイカも頷く。
三人は自然と臨戦態勢を取った――が、次の瞬間、犬の姿が掻き消えた。
「早っ!」と拓海が思わず声を上げる。
振り返ると、犬は拓海のすぐ脇に置かれた荷物に飛びついていた。
ゴソゴソ……ガサガサ……
そして中から弁当箱を発見。蓋を開けるや否や、がっつき始める。
「あ、それ俺の作った野菜を使った弁当だ」
「なぜお弁当を……?」と水城。
「お腹すいてたのかなー?」とレイカ。
「モンスターも腹減るのか……?」拓海が首を傾げる。
水城はハッとした表情になる。
「いえ、モンスターは魔素を……そうか!拓海が作った野菜は魔素が多いから、それに反応したのね!」
やがて犬は食べ終え、口元をぺろりと舐めると、ゆっくりこちらへ歩み寄ってくる。
「……来るぞ!」
三人が再び構えた瞬間、犬の姿がふっと消え――
「わっ!」
拓海に飛びつき、尻尾をぶんぶん振りながら顔を舐めまくる。
「……どうやら懐かれたようだ」
拓海は困ったように笑いながら、ぬるぬると頬を舐められ続けるのだった。




