第6話 怪異!歩き出す野菜
深夜の協会。月明かりが差し込む静かな建物の中、検査用に運び込まれた野菜の箱がずらりと並んでいる。
その中に、拓海がこっそり育てた魔改造野菜がひとつ、静かに息を潜めていた。
「……むにゃ?」
箱の中で、野菜の芽が微かに動く。
突然、その根元からじわじわと動き始め、ポテポテと転がるように箱から抜け出した。
「よし、冒険の始まりだ!」
そう言っているかのように、野菜は協会内の暗い廊下へ足(?)を踏み出す。
目の前には長い通路。果たしてどこへ向かうのか。
通路の途中で眠っている騎士の前を通る時は、息を殺して忍び足……ならぬ、忍び根っこで進む。
「くんくん…この匂い…あれは……」
野菜はふと、煌々と光る部屋の扉の隙間から漏れる光に惹かれ、そこに入ることにした。
扉の先は、協会の貴重なSSSランク魔晶石が保管されている部屋。
厳重な警備の中、ひとつだけぽつんと床に落ちている魔晶石があった。
「これは……!」
野菜は口(葉?)を近づけて、魔晶石の魔素を吸収し始める。
吸収すると同時に、体がキラキラと輝き出し、ちょっとずつ大きく、強くなっていくのがわかった。
しかし、突然、警備騎士の足音が!
野菜は咄嗟に魔素の力で少しだけ形を変え、ピョンと跳ねて隠れた。
騎士が部屋を調べるが、何も見つけられず去っていった。
「危なかった……」野菜は胸を撫で下ろす。
「でも、もっと強くならなくちゃ!」
次に野菜は、協会の研究室を発見。
そこには試験管や薬品、色とりどりの魔素が溢れていた。
好奇心旺盛な野菜は、ちょっとだけ実験台に乗り、色んな魔素に触れてみる。
「おっと、これはちょっとやりすぎたか?」
色が変わり、ちょっとモリモリしてきた野菜。
「やばい、元に戻らなきゃ!」と慌てて走り去る(転がる)。
一方、翌朝の協会。
水城が目を覚ますと、「昨晩、何か変な音がしてたわね…」とレイカに話す。
「もしかして野菜が勝手に歩き回ってたとか?」とレイカが冗談交じりに言うと、水城は真顔で「いや、あり得るのよ」と返す。
検査用の野菜の箱を調べると、一部の野菜の様子がおかしいことに気づく。
葉が光っていたり、妙に動きがぎこちなかったり。
「これは……魔改造の影響か?」と二人は顔を見合わせる。
そして、野菜の中に紛れ込んだ暴走の予兆。
冒険を続ける野菜は、ますます力をつけ、いつ暴走してもおかしくない状況に近づいていた。




