第2話 農家、新スキルを得て残念がる
稲刈りを終え、縁側で三人並んで麦茶をすすっていた。
秋の風が心地よい——はずなのに、拓海の頭の中は妙に忙しい。
「……で、水城教官。ちょっと相談があるんですけど」
「ん?」
「訓練校の最後に、新しいスキルが二つ出たんですよ」
そう言って、拓海は水城とレイカに向かって説明した。
一つは「ダンジョン間転移」。
一度行ったことのあるダンジョン同士なら、階層関係なく一瞬で移動できる。
もう一つは「あらゆる状態異常に耐性を持つ」スキル——状態異常耐性だ。
「……おかしいわね。状態異常耐性なんて、そう簡単に取れるもんじゃないのに」
水城が顎に手を当てて考え込む。
「多分、私の封印のせいね。常時デバフ状態だったから、身体が順応したんでしょう」
「なるほど……ってことは、水城教官の封印、もう効かないんですか?」
「そうねぇ…お互い全裸になって1時間くらい抱き合えば効果はあるかもよ。試してみる?」
と、おどける水城。
「なっ——!」
すかさず隣のレイカが頬をつねる。
「何考えてんのよアンタ!」
「いや、ちょっと想像しちゃって……」
「余計ダメ!」
冗談よと水城は笑い、レイカはむすっとした顔のまま口を開いた。
「私も新しいスキルを手に入れたわよ。“召喚獣強化”ってやつ」
「おお、いいじゃないですか」
「それだけじゃない。今までの召喚スキルも変化して、同じダンジョン内のモンスターならボス以外は全部召喚・使役できるようになったの」
「スキルが進化……? そんなこともあるのか?」
「無いことは無いけどかなりのレアケースね……もしかすると、魔晶石の被害を受けた影響かも」
水城が横から補足する。
ただし——と水城は真顔に戻る。
「二人とも、スキルを活かすには、普通の武器じゃ足りない。ダンジョン素材を使った武器を作るべきよ」
「ダンジョン素材……?」
「魔晶石や魔鉄鋼。強度も魔力伝導率も段違い。スキルコントロールの補助にもなるわ」
拓海は考える。
——素材か。手っ取り早く手に入るのは……。
「じゃあ、水没ダンジョンだな」
「水没……ああ、あんたが最初にSSSランクを落としたやつね」
「残骸と素材、まだ残ってるはずだ。稲刈り終わったし、行ってみるか」
「よし決まり!」
レイカは即座に乗り気だ。
水城も微笑みながら頷く。
こうして、稲刈り直後の拓海たちは、次なる目的地——水没ダンジョンへ向かうことになった。
伝説のスコップは手に入るのか!?




