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ついに魔法が

「さぁ、リン。ワタシが手取り足取りじぃっくりと教えてあげるわぁ」


初手からウラルさんが妖しい言い方をしていますが私、鈴は、ついに魔法少女になります。



待ちに待った魔法を教えてもらう日。鈴は楽しみのあまり朝早くに目覚めてしまった。まるで遠足に行く小学生のように。それほど魔法に憧れはあるのだ。だってそうだろう。ゲームやアニメの中だけの存在だった魔法が、今、使えるのだ。楽しみでない方がおかしい。ワクワクソワソワと忙しない鈴を見たアンジェリカはあらあらと楽しそうに微笑ましい笑みを浮かべていた。それに気付いた鈴は恥ずかしくなったがそれでも好奇心を隠すことは出来なかった。


「ここでやるんですか?」


ウラルさんに案内されたのは城内にある広い円形の部屋。壁一面には不思議な文字がびっしりと刻まれていた。鈴は庭とか屋外でやるのだと思っていた。


「ここは魔法実験室。魔法や魔道具の実験時に使用するわ。この部屋には対物結界や対魔結界、衝撃吸収に防音などなど。様々な魔法が施されているの。ここでならどんな魔法を放ったって壊れない、ばれない、迷惑かけないのイイこと尽くめよぉ。安心して魔法をぶっ放しちゃって」


いやそんな高威力の魔法をいきなりは使えないと思いますが。


「それじゃあまずはァ、魔力を感じるところからね。手を重ねておいて」


両手を差し出されたのでその上に重ねるように置く。


「手からリンの中に魔力を流して巡らせるからそれを感じて。ゆっくりと渡らせるから」

「はい。お願いします」


手から何かが入って来たような感じがする。これが魔力……。ウラルさんが言うようにゆっくりと全身に巡っているのが分かる。でも、なんか、内側から擽られているような。そんなこそばゆさが。堪え切れず声が漏れる。ぞわぞわと体の内側から触られているようなそんな不快感が身を悶えさせる。


限界で重ねていた手を上げる。すると流されていた魔力も途絶えたのか体の内に巡る感覚がなくなった。


「なんだったんですか、コレ……」

「コレが魔力よ。ワタシのね。と言ってもその反応は正しいわぁ。だって、他人の魔力が自分の体に入るのよォ? 不快以外にないわぁ。どぉお、内側から身体をまさぐられる感覚はァ」

「すごく、擽ったかったです」


なんだかまだもぞもぞする。擽られたような感覚が抜けない。


「それよりィ、自分の魔力、掴めたァ?」

「なんとなく、ですが……」

「それなら重畳。その魔力を辿ってみて。どこから流れているか掴める? じゃぁその魔力をワタシがリンの全身に行き渡らせたように動かしてみて。それが魔力循環」


鈴が唸りながら自身の魔力を探す。ウラルは鈴の状態が見えているかのようにタイミングよく指示を出していく。鈴の感覚が良いのかウラルのアドバイスが的確なのか、多分後者だろうが、練習し始めて早い段階で魔力循環がたどたどしいながらも出来るようになった。どれほど時間が経ったのかは分からない。なんせこの空間は完全に閉ざされているのだから。窓一つない。もちろん、時計なんてものもない。


「うんうん、いいわねぇ。上出来じゃないの。じゃぁ少し休憩しましょうか。そろそろ来る頃だと思うし」

「来るって、何がですか?」

「うーんぅ? それはねェーー」


けたたましく開かれた扉から大きな声が部屋に響き渡る。


「お待たせぇぇぇ! 皆大好きオルガちゃんよぉぉぉおおお」

「うひゃうっ」


ビクッと飛び上がり慌てて扉を見る。そこには、片手を大きく上げてもう片方の手は腰に当てた状態で立っているドレスを着た美丈夫が。その顔には心当たりがあった。魔国で目覚めて最初に会ったソーリャヴィシィスともう一人、医者のオネエさんだ。

呆然と見ていたらもの凄い勢いで鈴の前へとやって来た。鈴とウラルがいるのは部屋の中央。魔法実験室は城内にあるにも係わらずグラウンドほどの広さがある。直径100mぐらいかな。つまり半分の距離の50mを数秒でやって来た。しかもヒールで。異世界すごい。


「ナイスタイミングよォ、オルガァ」


目の前で熱い抱擁を交わすウラルさんとオネエさん、オルガさん。そこから深いキスに二人の両手が妖しい動きを始める。格好で見ると百合的状況なんだけど、二人の纏う雰囲気が何とも……色気全開のピンクいオーラが辺りを漂う。


熱いキスの最中に流し目で鈴を見つめるウラルとオルガ。


「「リン(ちゃん)も混ざるゥ?」」

「~~~~っ混ざりません!!」


揶揄っている。絶対揶揄われている。でもそれを指摘するとまずい気がする。本気か冗談か判断つかないから。二人して声を上げて笑っている。笑いごとじゃないのに。


「お届け物よォ。美味しい昼食を持って来たから食べましょォ」


大きな籠を持ち上げるオルガ。どこから出したんだろうその籠。さっきまでは何も持っていなかったのに。

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