勉強します2
「地理はこんなところかしら。次は魔国の成り立ちを話すわね。魔国は他所とは違って特殊な国だとは理解している?」
「どんな種族でも暮らせる、ですか?」
「そォよ。元々魔国は魔族が建国、というか集っていた場所なのよ」
「魔族が……」
「今でこそこうして建物や畑が成っているけどここ、魔国全域は森だったの」
「……森。でも魔物がいて危なくないですか?」
「そう、だから魔族しかいなかったの。魔族にとって高濃度の魔力領域は生きやすい環境なの。魔界がそうだからね。逆にそれ以外の生物にとっては毒。長く居ると身体が耐えられなくなって精神障害に陥るの。下手すると廃人になるわ」
ヒエッっと喉から空気のような声が出た。そんなに危険なところだったんだ。
「どうやって暮らせるようにしたんですか?」
「森林を伐採して住居、集落を作った。集落を目安にして魔道具で魔力を吸収して結界で魔力濃度を維持したの。そうしてどんどん暮らせる土地を増やして来たの」
魔道具とか結界とか、やっぱり魔法ってすごいな。なんでもありな気がする。
「そんなに危ない森にどうして人が来るんですか?」
「亡命よ。昔は戦争とか小競り合いが頻繁にあったの。国から逃げて来た者が一縷の望みをかけて魔の森を目指すの」
戦争……。どんなのか想像もつかないけど危険な魔の森に亡命するほど辛いものなんだ。
「今は、今もあるんですか?」
「ちょっと小競り合いくらいならあるわ。主に至上主義を謳っている国が、ね。魔国にもちょっかいをかけて来ていたわ。特に資源が豊富だから魔の森を通過するというデメリットを覆せるほどにメリットがあるの。馬鹿よねぇ、魔の森を通るだけで結構消耗するのにそこからさらに勝負を仕掛けるなんて」
ウラルは呆れている。声にもどこか軽蔑を滲ませている。
「国っていうのはどうしても上下関係で成り立っているの。上がどこまで愚かでも従わなくてはならない。でないと生きれない」
ウラルは怒っている。不当な扱いを受けざるを得ない下々の者たちのやるせない事実に。
「ワタシも若かったわぁ。ムカついて手当たり次第に破壊しまくっていたものぉ」
「へえ~、えっ、昔!?」
「あらァ、ワタシ、建国当初からいるわよぉ。そうねぇ、300年前の話よ」
(300年前……。えっ、ウラルさん何歳なんですか!? 聞きたい、けど、失礼だよね。歳聞くのとか)
「そうして人が増えてきて建国した。多くの種族が集まっているから個々に得意分野ややりたいことを極めているの。魔国は実力主義だから種族争いとかも起きにくいわ」
「種族争い……?」
「次は種族ついて話すわ。種族とひとえに言っても数は多いわ。人口が一番多いのがヒト族、次に獣人族、魔族。と言っても獣人族と魔族は一括りにした呼称でさらに種類が分かれているわ。他にも竜族、天使族、森族に地族などなど。上げたらキリがないわ。種族によって能力値が違うの。獣人族は身体能力が高いとか、魔族は魔力量は多いとか、竜族は強靭な肉体だとか、ね。羽があるのも種族特有よ。もちろん、傾向が強いというだけで必ずしも全員がそうであるというわけではないけどね。ベイサスがいい例ね」
筋骨隆々エルフは特殊な例、ということですか。
「種族争いは名の通り種族間同士の争いね。足の引っ張り合いとも言うわ。能力を理由に仕事を奪ったりとかね。ほォんっっとォにくだらないわぁ。そんな暇あるなら自分を高める方に努力すればいィのに。バカばっかりで困るわぁ」
ウラルさん……人を馬鹿にするとき途端に口が悪くなるなぁ。
「人族には特徴はないんですか?」
「特にないわ。強いて言うなら器用なところかしら。手癖とか悪知恵とかずる賢いとか。よくもまァあそこまで馬鹿なことが出来ると逆に関心してしまうほどにね。……て嘘よォウソウソ、冗談よぉ」
冗談には聞こえないんですが……!?
「まあそれもあるけれど……可能性の広さ、かしら」
「可能性……」
「何もないから何にでもなれる。己のやりよう次第になってしまうけどね。何も持たないからと言って何も出来ないわけではない。適正だとか性格だとかはあるけれどね」
何にでもなれる……。
「私もなれるでしょうか」
「なれるわよ。そのためにワタシたちがいるのだから。ゆっくりと考えればいいわ。まだ此方に来てからそんなに経ってもいないことだし。此処での生活の中で自分のやりたいことをしっかりと決めるといいわ」
「はい、はい!」




