六話 リベンジ? お金儲けの計画?
今、蜘蛛の糸でぐるぐる巻きにされている。
何でええ!!
スキル、全く役にたたないじゃん!
三人はというと……。
「あははは!」
聞こえるだろうか?
この笑い声は、私が蜘蛛に引きずられているBGMだ。
ガッ!
「痛ああい! 石がお尻にいい!」
「頑張ってー!」
「まあ、頑張れ」
「うさぎさん、盗め!」
頑張ってるんだよ! こっちは!
両手ごとぐるぐる巻きでスキル使えないし!
私は必死にもがいた。
だが、糸はびくともしない。
ちくしょう。
ナイフでも切れない。
腕力でも千切れない。
というか、身体が動かない。
これがシーフか。
これが、私に与えられた唯一の職業か。
弱い。
想像以上に弱い。
紙すら切れないという説明に偽りなしだ。
「た、助けてえええ! また、食べられるうう!」
「しょうがないね。華菜様に任せなさい」
さすが華菜様。
今後、姉御と呼ばせていただきます。
「刮目せよ! 華菜様の新しいスキルを!!」
胸を張って立つ華菜様が光輝いて見える。
「吐血!!」
は?
ビチャビチャビチャと口から血を吐く。
「どう?」
誇らしげに立つ華菜……。
どう? じゃねえええ!
何が姉御だあああ!!
「アフーン!」
変な声がでた。
気がつくと、空中に私は放り投げられた。
血まみれの口で親指を立てている華菜さんが見える。
薄れてゆく意識の中、巨大ロボットの足を想像した。
そして、華菜さんを踏み潰した。
少しだけ、気が晴れた。
私達は、こんな感じの日々を一カ月過ごしていた。
毎日が楽しい。
そんな日々で、皆を呼び捨てする様になってた。
そして、大問題が……。
クラン『かなり。』ホーム。
毎朝、街の鐘が七回鳴ると、四人はゾロゾロと自分の部屋から出ると、キッチンに集まる。
キッチンのデバイスで朝食を注文すると、それぞれに用意されている壁際の棚に料理が現れる。
どういう原理?
注文した分は、クランに入金した分から引かれる。
クランの玄関に、木箱が置いてある。
その中に、お金、ペニーを入れると入金される。
なんで、そこだけ木箱?
意味分かんない。
鐘が七回なったので、二階から一階に降りて、キッチンに行くと、華菜と直哉がテーブルに座っていた。
何か重苦しい雰囲気が…。
何?
「おはー」
至って、いつも通りだった。
「おはよう」
「おはよ」
「うさぎ、何にする?」
「パンとコーヒー」
「おっけー」
華菜はデバイスを操作して、私の棚に現れたパンとコーヒーを、当たり前のように目の前へ置いてくれた。
当たり前の様にするとは、なんて出来た子なんだ?
見習わないと…。
「直哉、なんかおとなしいね。どうしたの?」
「いや……」
おかしい、直哉がこんなに静かとは……。
頭でもぶつけたか?
「何?どうひたの?」
「うさぎ、食べながら話さない。行儀悪い」
お母さんか!
「おはよう」
リンクが現れた。
「おはー。何にする?」
「あー。うさぎと一緒でいい」
「オッケー」
リンクの朝食を注文する華菜。
お母さんに見えてきた。
「そして、問題がね……」
「何だ?」
「今月、家賃滞納してる分も合わせて、二ヶ月分払わないといけないの」
「……払わないと?」
「追い出される」
ホームレス。
異世界に来て、まさかのホームレス。
魔物より先に家賃が私たちを殺しに来た。
「一攫千金ないかな?」
「直哉、そんなんあったらもうやってるって」
だろうね。
でも、気になることがある。
「ねえ、卵って何なの?」
「卵?」
「うん。街の張り紙に、山で見つけた卵は取らない事って、いっぱい張ってあるじゃん?」
「さあ?なんだろうね、あれ」
「俺も分からん」
「俺も」
「ねね、あんだけ書いてあるって事はさ、高く買ってくれる人とかいるんじゃない?」
「お?」
「どうかな?」
「やってみる価値はあるな」
「探してみる?」
「やってみるか」
「よし、やるか」
「浪漫だな」
山で卵を探して、売ることに決まった。
その時の私達は、まだ知らなかった。
山に落ちている卵を拾うという行為が、この世界で、わりと本気で死刑案件だということを。




