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バグ職シーフは紙すら切れない。  作者: 藤原 智


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2/6

二話 何処かに

「痛っ!」


 尻もちをついた。

 あのアホめ。

 つうか、どこ此処?


 今度こそ、そう思うのは間違いじゃないはずだ。

 え? 夢だよね? これ。


 辺りを見渡す。


 広い部屋だった。

 木の床に、木の壁。

 テーブル、椅子、長椅子が所狭しと置かれている。

 壁には絵画や、船の舵みたいなものまで飾られていた。


 何ここ?


 出入り口らしき場所の近くには、大きな掲示板があった。

 紙が何枚も貼られていて、何か書いてある。

 けれど、今は読む余裕がない。


 壁際には、カウンターがいくつも並んでいた。

 そこに、スーツみたいな服を着た人たちが立っている。


 全員、私を見ていた。


 やめろ。

 見るな。

 こっちは尻もち中だ。


 カウンター前に、男女三人がいた。

 そのうちの女が私を見ると、男二人に何かを耳打ちする。

 そして三人そろって、こちらへ歩いてきた。


 何?

 怖いんだけど?

 逃げるか。


「あの、あなた。ここに来たばっか?」


 女が話しかけてきた。


 まず目に入ったのは、ミニスカだった。

 いや、短くない?

 それ絶対、階段登れないやつじゃない?


 上はブレザーのような出で立ち。

 そして、普通に可愛い。


「ま、まあ」


 私は曖昧に答えた。


「ほら、言ったじゃん」

「ここに突然現れたら、分かるよ」


 短髪で、ガタイの良さそうな男が言った。

 絶対に空手やってたわ、こいつ。


 なのに、長いローブみたいなものを羽織っている。

 手には杖。


 何だ、その格好は。

 空手家なのか、魔法使いなのか、どっちかにしろ。


「初めまして」


 もう一人は、全身迷彩服の男だった。

 そしてセンター分けだった。


 迷彩服より先に、センター分けが目に入った。

 完璧なセンター分け。

 左右対称。

 完璧。褒めてやりたい。


「ここは?」


 私はようやく、それだけ聞いた。


「始まりの館だよ。私は華菜。あなたは?」

「俺はリンク。ヒーラーだ」

「直哉。罠士やってる。よろしく」


 ヒーラー?

 罠士?

 始まりの館?

 何それ?美味しいの?


 何か、皆、礼儀正しい。

 それに比べて、あのイナとかいう奴。

 思い出しただけで腹が立ってきた。


 いや、忘れよう。

 もう会うこともないだろう。


詩韻しいんうさぎ……。よろしく……です」

「しいんうさぎさんって、職業何?」

「シーフです」

「シーフ?」


 華菜が首を傾げた。


「直哉、知ってる?」

「知らん」

「リンクは?」

「俺も知らない。少なくとも、最初に選べる職業にはなかったはずだ」


 三人の視線が、そろって私に向いた。


「説明しないといけない感じですか?」


 私はため息をついて、ここに来るまでのことを話した。

 イナとかいうアホに会ったこと。

 バグでシーフしか選べなかったこと。

 しかも、そのシーフは未実装だったこと。

 攻撃力がないと言われたこと。


 話し終えると、三人はしばらく黙った。


「でも、速いんだろ?」

「速いらしいです」

「じゃあ、見てみるか」

「何を?」

「シーフ」


 直哉が、にやりと笑う。


「外に初心者用の草原がある。そこで試せばいい」

「初心者用?」

「そう。弱いモンスターしかいないから安心」

「本当に?」

「たぶん」

「たぶん?」


 けれど、三人はもう歩き出していた。


 待て。

 私の意思は?


 ……まあ、いい。


 見せてやるか。

 私の力を。

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