邪魔しないの
─────何よ何よ何よっコイツっっ!!! モブのくせにッ!
なんでこの私が、縛られなきゃなんないのよっ!! おかしいじゃないッ!
女神から『チート』を与えられ、絶対優位であるはずの自分が、不利な立場に立たされるはずがないじゃないッ!
自ら作った杖に喉元を突きつけられ、威圧をかけられる目の前の人物が信じられない。
「これアンタが作ったんでしょ~~?返してあげるわ~」
─────グッと喉に痛みが走る。 そんな馬鹿な!? なんであの場にいない自分にダメージを与えられるわけ!? ─────こんなの認めないっ!
視界の端に、自分の聖騎士であるジークが地面に倒れているのに気づく。
─────そもそもなんでジークがヤラれているわけ!? アイツはこの世界の最強枠じゃなかったの!?
─────まだ私と『糸』が繋がっている。死んでるわけじゃなさそうよね?
「いつまでも寝てんじゃないわよっ!私を『助けなさい』よッ!!」
叫ぶと同時に、ビクリとジークの体が揺れる。
「さっさとコイツを『やりなさいよ』ッ!」
倒れていたジークが立ち上がり、剣を構え直すのが見えた。─────やったわ。これで私の勝ちよ!
背後で伸びていた奴の意識が、戻る気配を察知した。
─────なんで今起きるかな?今絶賛お楽しみ中なんだけど?
─────ザッと剣先が向かってくる。
かなりの速度だろうが、フェンリル母さんのブートキャンプを乗り越えた自分にはそのスピードは
「 遅い 」
─────十分に避けられる。
奴が剣を振り抜いた瞬間、何かが『切れる』気配がした。─────なんだ?今の。まあいいや
「全く。─────邪魔するんじゃないよッ!」
─────ドコっ!
二つに折った杖の片方を放り出し、もう片方で野球のバットの様にフルスイングをかました。
また骨が粉砕される音がしたようだが、剣を向ける君が悪いんだからね?
肋骨折りました?身長が高い君が悪い。頭部でないことに感謝して欲しいくらいだわ。
地面に投げ出された男は、今度はまだ意識があるようで、再度立ち上がろうとするが、今度は違う力によって、ドンっと地面に押さえつけられた。
「─────な、まさか。フェンリル‥‥‥‥?」
男は、自分を押さえつけている者の存在が信じられないように瞠目した。
「わ、シロ君大きい‥‥‥‥」
等身大の白陽の前足に押さえ込まれていた男は、呆けたように白いフェンリルを見上げていた。
「シロ君そのまま踏んでてね~。逃げようとしたら『ぐっ』てしちゃっていいよ~」
さながら飼っているペットが、家の中で『頭〇字D』を踏んでいる図に見えなくもないが、これ以上カサカサするなら、姫さん達が何と言おうが、『ぐっ』てしてもいいと思うんだよね。
いや、シロ君がやるなら─────プチ。かな?




