ほうっ!ほうっ!
要らぬ誤解を受けた私は、かくかくしかじかと経緯を説明した。
ちゃんと埋葬してきた私を、ちょっとは労わってよ。そりゃ、ちょっと派手な柱が出ちゃったけど。
おっさんはおおよその話は聞いていたらしく、私の説明に納得してくれた。
「それにしても、アイテムボックス持ちか‥‥‥‥。ひょっとして、まだあるのか?」
─────ある。たんまりと。
押し付けられたとはいえ、遺品だ。邪険にできないし、伝手もないし、どこへ届け出るのかとおっさんに訴える。
必死に説明する私に、おっさんはため息をついた。
「アル坊達は、昼間の騒ぎの後始末で執務室に缶詰めじゃ。明日、ワシがギルドに付き添おう。─────それで本当にいいのか?タグはともかく、他は拾得した者が所有しても、誰も文句は言わんぞ」
「─────いやいや、そこは遠慮します」
「そうか─────」
遺品だからね。いくら拾った者の好きにしていい、と言われてもちょっと後ろめたい。
グイっとジョッキを傾けた。
「「 うおォォォォォォォ───── 」」
─────ぶっ。
突然の雄叫びに、そちらの方に視線を向ければ、半裸集団が火の周りで、ヘッドバンギングをかましていた。長い髪を振り乱し、狂喜乱舞している姿は─────怖い。
「何じゃ、あやつらは」
のっしのっしと半裸集団に近づくおっさん。説教大会かな‥‥‥‥。
「なんじゃその振りは!よう見ておけ!─────こうじゃ!こう!!こう!!」
‥‥‥‥ちょっと違った‥‥‥‥。
「‥‥‥‥シロ君。食べ終わったし、私達は行こうか‥‥‥‥」
「お姉さん。もういいんですか~?」
いつの間にかいなくなっていたウィル少年が、戻ってきた。
「うん、おいしかった」
「姫様が、食後のデザートをご一緒したいそうですが~」
「─────あ、いいね。行く行く」
ほうっ!ほうっ!と声が響く、一種異様な雰囲気になってきた宴会場を、私達は抜け出した。
案内されたのは、姫様の私室のようだった。こっちこっちと、姫様がテラスのような所で呼んでいる。
「じゃあ、お持ちしますね~」
少年が去り、私達はテラス席へ移動した。綺麗な星空が見える特等席のようだ。
遠くから「ほう!」の掛け声が響いてくるが、聞こえない聞こえない。
「ドルク師匠に会いました?」
「会ったよ~どこの世紀末かと思った。─────あのおっさん、師匠なの?」
「体力づくりに武術を習いたいって、ごり押しで教えてもらってました」
習ってみたいと申し出ても、身内はなかなか首を縦に振らなかったらしい。─────聖女のお姫様だもんね。普通は守られて当たり前の存在。
「─────まあ、出来ないより出来た方がいいよね」
ちなみに私は剣の型なんてない。本能の思うままに刀を振るっている。─────あれ、ひょっとして自分はヤバい奴なのか?
「お待たせしました~」
カラカラとカートワゴンを押しながら、少年がスイーツを運んできたので、ヤバい思考はどこかに飛んで行った。
少年に給仕されながら、そういえばと気付く。
「そういえば、ここはメイドさんとかいないの?」
マールさんとかベテラン勢は見たけど、いわゆるお姫様付きみたいな、メイドさんがいない。今現在も少年が給仕している。
「あ~いるにはいるんですけど、人数少なくて~」
「医療棟を優先させてたんです。私は最低限の事は出来ますからね。でももう明日にでも帰ってきますよ」
医療棟とやらは、明日にも全室空室になるらしい。─────昼間派手にやっちゃったからな~。
「それで相談なんですけど。お姉さん『大浴場』入りたくありません?」
─────あるのっっっ!?入りたい!入る!入る!




