おにがいる
─────さすがにそのままではマズイだろ。
という事で、隊長自らハサミを取り出すと、まるで殺されるかのような態度で、大の大人がいやだいやだと、ギャン泣きだ。
「やめてくれぇっ!あんたら鬼だ!鬼なんだな!鬼だ鬼だっ!」
「そのままじゃ、マズいよ」
「騎士団が不審者連れてると、思われるじゃないか」
「あきらめろ、ニルス。ちょっと、整えるだけじゃないか」
周りの男達から、冷やかし交じりのヤジが飛ぶと、くるりと振り返り、指差しながら叫びまくる。
「─────ちょっとだと!?お前らだって他人事じゃないんだぞっ!朝起きたら、枕に付いた抜け毛を数える時が、もう近くに来てるんだか─────あっ‥‥‥‥」
あまりに女々しい泣き事に、ついに副隊長の鉄槌が落ちた。
「さ、静かになりましたね。サクッといきましょう。隊長」
「‥‥‥‥お、おう。お前時々、容赦ないよな。あれ?眼鏡どうした。壊れた?」
「必要なくなりました」
静かになったところで、元凶の人物が、雑用係の少年の背後から、ピコっとのぞく。
「元に戻してみる?今なら、夢を見てたと勘違いするかも?」
「「「‥‥‥‥‥‥‥‥」」」
皆の沈黙の中、ニルスの髪には温情が下された。─────ちょっと心は動いたが。
さすがに可哀想かなと、皆の意見が一致したのだ。─────目覚めたときに元通りになっていたら、それはそれで、うるさくなるだろう未来が見えたのも事実。
─────わふっ。
白陽から、人間どもは何を騒いでいるんだと、あきれたため息が漏れた。
きれいに髪カットされたニルスは、そのまま地面に転がされた。
「あれいいの?」
「大丈夫ですよ~適当な時に、誰かが回収しますから~」
─────ささ、コレ皆で食べましょう。雑用係の少年がそつなく動き回る。
ミウの実は大評判だった。高級品という事を皆が知っているため、大事そうに味わっている。転がされた彼は、無視されていた。
「俺、うっすいスライスされたのしか、食べたことない」
「あれ、味しませんでしたね。─────さて、お嬢さん。ちょっとお伺いしたいんですが」
「それ俺の役目だよな?」
どっちでもいいよ。そんなのどっちでもいいじゃん。と思っていたら、背後から第三者が割り込んでくる。
「そういや、あんた歳いくつだ?若く見えるが、結構いっ─────」
─────ドッ─────ゴッッ!!─────ズシャア‥‥‥‥‥‥‥‥
「私に質問?なにかしら?」
にこおぉと、お上品に笑って見せたが、どうしたのかな?みんな顔色が悪いわよ?
─────あら、私が座っている『椅子』が気になるの?
ちょと『お し お き』しただけですわよ?
─────くわっと白陽からあくびが漏れた。




