ぼくもぼくもっ!
「ワシはアル坊共に話があるから後でまた来るぞ。ウィル坊、ちゃんと見張っとけよ」
「はい、了解です~」
─────見張っとけだと?何か私が、やらかす前提の話かな? よし、拳で語り合おうではないか。
「はい、リオさん。これをお使いください」
振り返ったタイミングでウィル君から、何やらシンプルに装飾された『杖』のような棒状の物を持たされた。
─────なんだコレ?
渡された『杖』を両手で掴みながらにぎにぎしていると、久々に騒がしい表示が勝手に出てきた。
『はいは~いっ!『賢者の杖』っすっ!─────すっっごいレア物っすよっ!『能力』が強すぎて、次代の所有者が決まんないっ!ていう死蔵アイテムっすね。今や装飾品かお守り程度しか使われてませんね~なんで持ってるんっすかね? 取りあえず「陣」を描くには最適っすよっ!』
─────めっちゃ喋る(?)な。
久しぶりに出てきたと思ったら、めっちゃ喋る(?)。
─────で、何だって?『賢者の杖』だって? なんかゲームアイテムに出てそうな名前の『杖』だな。でも見た目は、どちらかと言うと『如意棒』に近いんではないだろうか。
「─────なんで『賢者の杖』とやらがあるの?」
「あ、さすがリオさん。ご存じなんですね~」
─────いえ、知りませんでした。今『鑑定』に教えてもらったところです。
ちなみに『鑑定』画面も、自分以外は見えてないみたいだ。 ─────あれかな、『ナビ』と一緒で、自主的に見えない仕様になってんのかな。
「実はそれ、『勇者』の仲間の賢者が持っていたと伝わるアイテムでして~国宝扱いなんですが、姫様のお守りにって国から持たされていたのを、姫様からお借りしてきました~」
─────軽。
─────姫さんや、国宝の扱い軽くないか?そしてウィル君、いつの間に持ってきたのか‥‥‥‥。
え、アイテムは使う為にある物だって?‥‥‥‥まあ、そうなんだが‥‥‥‥。
クルクル片手で回すには、ちょうどいい重さの『杖』。─────うん、気分は如意棒振り回す登場人物の気分かな。
「きゅ」
可愛い声を発したモモンガちゃんが、ウィル君の胸ポケットから、興味深そうにきゅるるんお目目でこちらを見ている‥‥‥‥どうしよう‥‥‥‥お友達になりたい‥‥‥‥。
「‥‥‥‥そう言えば、名前決まったの?」
─────途端、ウィル君の笑顔がひきつった。
「‥‥‥‥え、と。‥‥‥‥まだなんです‥‥‥‥」
「‥‥‥‥ひょっとして却下されたの‥‥‥‥?」
「‥‥‥‥『マル』とか‥‥‥‥『クリ』とか考えたんですけど‥‥‥‥」
ウィル君が言うたびに、ポケットから「きゅっきゅっ」と抗議するような鳴き声が被る。
怒っている態度もかわえぇぇなあ。でもウィル君、それってきゅるるんお目目で選んでるよね?
「可愛いと思ったんですけど‥‥‥‥「きゅっ!きゅっ!」ダメみたいですね‥‥‥‥」
「可愛いけど‥‥‥‥」
きゅるるんお目目が、中庭に咲いた花畑の中をフンフン徘徊しているシロ君に向いているのに気付いた。
「ひょっとして、おっさんの『ピーちゃん』やシロ君みたいに『真名』持ちに「きゅっきゅっきゅきゅっ!」‥‥‥‥なりたいみたいね‥‥‥‥」
「そ、そうみたいですね‥‥‥‥」
出会って一番大きな鳴き声でした‥‥‥‥。




