箒は万能
「─────『返す』じゃと?」
おっさんの頭に?マークが飛んでいるのが解る。首を傾げると、肩に乗ってるピーちゃんも同じ角度に傾いた。頭の冠羽がピヨンと揺れて、なんか可愛い。
「『解呪』じゃなく『返す』じゃと?」
意味が分からないというおっさん。─────あれ?こっちはそう言うのないのかな? 姫さんの方を見れば「おお!」と閃いた感じで両手を合わせて叩いている。
「─────アレですよね!?リオさんっ!」
「そうそう、『人を呪わば「〇返しだっ!ですよねっ!」‥‥‥‥」
─────あう。
そっちですか‥‥‥‥。いや別に良いんだけど‥‥‥‥。
「あれ、何か違いました?」
「‥‥‥‥いや、別に‥‥‥‥」
─────姫様にモフ従魔は諦めてもらって、部屋に帰した‥‥‥‥。
「きゅ」
ウィル少年の襟元から、モモンガちゃんが顔だけ覗いていた。かわぇぇなぁ。アレか?自分の可愛さを分かっての仕草か?だとしたらあざとかわぇぇ‥‥‥‥許す。
「お主‥‥‥‥出来ると言ったが本当か?」
興奮して落ち着かない姫様を、サラさんが引っ張っていく姿を見送りながらおっさんがヒソヒソと訊ねてくる。
おおよっ!うちの『ナビ』ちゃん優秀だからねっ!
本人が出てくるまでは『能力』ゴリゴリ使い回して、力技で押そうと考えていたが、思いがけずご本人登場してくれたから、情報が引き出せたんだよね。あれだな『ハッカー』的な感じだよね。
セキュリティはちゃんとしないとねっ!
「ちょっと見てて~。えっとね~~‥‥‥‥これをこうしてね~それからこっちが~「待て待て待て待て待てっっ!」─────え?」
近くにあった箒の柄で、地面にガリガリ『陣』を書き始めた私を、おっさんが止める。
「なんてモンを描き始めるんじゃっ!」
「─────え、駄目なの?」
「場所をわきまえんかっ!こんなところに描くなっ! しかも『箒』なんかで描きよってっ!」
─────ええ~、コレ本番用じゃないからいいじゃ~ん。ちょいメモよちょいメモ、といっても聞き入れてくれませんでした。おっさん厳しいよ。
まあ、ぞろぞろと人が出入りする、入り口付近ですることではなかったのは確かですが。
偶然出入りする人達が、「何?何してんの?」「なにか始まんの?」とチョイチョイ覗き込んで、入り口付近が渋滞し始めたので、箒でサカサカと消していった。
「ここでええじゃろ」
ブツブツ言うおっさんに連れられて来られたのは、いつかの中庭。
あれから、シャンラシャンラとまだ満開のお花たちが風に揺れている。─────よくわかんないけど、これいつまで咲いているんだろう‥‥‥‥。
『 五年は満開のままです 』
ヒュオと小さく『ナビ』表示が出てきた。‥‥‥‥五年‥‥‥‥ここでは普通の事なんだろうか‥‥‥‥見なかったことにしよう‥‥‥‥。




