表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/36

25話 手紙の玉璽(ぎょくじ)

「ふぅ。鬼め。今夜はもう夜襲はして来ぬだろう」


槍隊の求道者達が朽ちた鬼の残骸を埋めていた。


「お〜い、そこの槍隊の人」


「これは、援軍の…」


エリオットとクライブが残骸処理をする求道者に近づいた。


「そうそう。エリオットと、こっちはクライブだ」


「…」


「はっ!」


「あぁ、そんなにかしこまらなくて良いよ。あっ、残骸の処理はこっちでやっておくから、休んでていいよ」


「いえ、援軍の方にこういった雑務をお願いする訳にはいきません」


「良いっつーの。こういうの好きだからさ。な、クライブ?」


「…」


「いえ、しかし…かなり多いですよ?」


「大丈夫、こっちはプロだから」


「…そうですか」


槍隊は鬼の残骸処理を止め、野営地に戻る。



その頃、本部の野営地にコデラリオが入ってきた。


「コデラリオか!何しに来た!」


周りの求道者達は警戒し槍を構える。


「まぁ、待て」


ハッセルは求道者を制止しコデラリオを野営地に迎え入れた。


「肉と酒でも頂けますか?」


「お前らの用意など無い。すぐ帰れ」


「援軍に対してのもてなしの心はありませんか。残念です」


「お主らが100人揃うなんて珍しいの。何が目的だ?金か?」


「ま、ぶっちゃけ金ですね」


「だろうな…貴様らと共闘する気はない」


「相変わらず真面目ですね」


「宮廷の考えは知らんが、お前らが援軍じゃなければこの場で斬っておった」


「ハッセルさんならそうでしょうね」


「しかし、100人揃ってやってくるとはな」


「丁度、ラングスの巣を見つけていまして。集まって魔獣狩りに向かっていた所だったのですよ」


「ほう。ラングスの巣か。そりゃあ100人おっても苦労するわい」


「宮廷求道者レベルならそうでしょうね」


「…」


ハッセルはコデラリオを睨みつける。


「…ま、とりあえず我々は自由に動きますので、指示は無しでお願いしますね」


コデラリオはハッセルに背を向けた。


「待て、コデラリオ」


ハッセルが引き止める。野営地周辺に緊張が走る。


「…うちの求道者達に何かあれば、お前ら全員八つ裂きじゃ」


「…本当にやりそうで恐ろしい」


コデラリオは野営地を出て闇へ紛れた。


「隊長、本当に彼らが援軍なのですか?」


ハッセルは飲んでいた酒の容器を床に叩きつける。


「…サンダース。権力に汚れたか?」


翌朝。


グラッドバックの草原に太陽が差し込んだ。


異変に気付いたのは、目を覚ましたデータだった。


「…一体どういう事だ?」


データはすぐにハッセル隊長の野営地に走った。


「おうデータ、早いな」


カルファー隊は準備の為に、ハッセルの野営地に集まっていた。


「カルファーさん、大変です!」


「ん?何だ?」


「…鬼が消えました」


「…あっ?」


「どうしたデータ?」


ハッセルがテントから顔を出した。


「ハッセル先生。鬼の残骸が居ないのです」


「そりゃデータ、隊員が残骸処理として埋めたんだろ?」


「いえ、昨日の戦いで千匹ほどの鬼を倒したと思うのですが、埋めた形跡も無く、全て残骸が消えてしまっていたのです」


「…鬼が死体を回収したって事か?」


「もしもそうであるなら我々が気づく筈です。一体何が…」


ハッセルは思考を巡らした。


「…追放者(バンカー)達はどうした?」


カルファーが答える。


「あいつらですか?そりゃどこかの野営地で寝ているでしょう」


と、突然求道者が野営地に入って来た。


「報告です!」


報告に来た求道者は動揺していた。


追放者(バンカー)達の野営が、今朝から消えています!」


「はっ?」


追放者(バンカー)の姿も見えません」


「何だって?一体どういう事だよ!」


「まさか…追放者バンカーが…」


データはその前に確認しなければならない事が浮かんだ。


「あの!ガッドランドからの手紙を!」


「はっ!」


データはサンダースから本部へ来た援軍要請の手紙を確認する。


「どこですか?」


「こちらに!」


求道者はデータに手紙を渡した。


「手紙は、間違い無くガッドランドから来たんですよね?」


「はい。使いの者が確認しております」


データは手紙を広げた。


「…これは…サンダース先生の字ではない」


「何だって!?」


「そんな。待って下さい!宮廷からの伝聞は、玉璽ぎょくじの印章を押します。この印章は間違いなくガッドランドの物です」


手紙にはしっかりと玉璽ぎょくじが記されていた。


「貸せ」


ハッセルは手紙を手に取った。


「…ハッセルさん。追放者(バンカー)の中にコピーの芸を持つ求道者が居たら…」


「あぁ、玉璽ぎょくじの複製は可能だろうな」


「って事は、この手紙は偽物?」


玉璽ぎょくじの複製など、普通ならば決してそんな重罪を犯さん。だが、コデラリオなら…」


「って事は…ちょっと待ってよ!」


カルファーが頭を抱える。


「援軍など最初から居なかったって事!?」


「元々僕達を助けに来た訳じゃない?なら彼らの目的は?」


ハッセルは手紙を握りつぶす。


「あいつら…」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ