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21話 ハッセルの力とデータの能力

「…こいつら、どこまで体力があるんだ…」


求道者達が汗を拭う。


グラッドバックの草原は太陽が照りつけ、ジリジリと焼けるような暑さとなっていた。


キィィン!!カァァン!!


「うおおおおおお!!」


草原に鋼が弾かれる音と槍道士と剣道士が鬼と対峙する叫び声が響き渡る。


「…近寄るんじゃねぇよ!」


鬼を空圧で吹き飛ばす武道士・カルファー。


それをサポートする部下達。


「…自分で近づいているのに…」


「カルファーさん!どんどん鬼が集まってきています!」


鬼と対峙する戦闘では、カルファー隊が孤軍奮闘している。


だが、倒しても倒しても起き上がる山鬼達を潰すには、圧倒的に人手が足りなかった。


後衛で戦局を見守るハッセルの近辺では、倒れた求道者が並べられ、聖道士によるヒールが繰り返し行われていた。


「ヒールが追いつかなくなっています…」


「あいつらの体力は桁違いじゃからのぅ」


「ダメです!中衛、突破されそうです!」


中衛では、距離を取りながら詠唱を唱える魔道士に対し、鬼は躊躇なく飛び込んでくる。


魔道士達による燃焼の魔法は全体攻撃には適しているが、単体相手では武が悪い。


鬼の数に圧倒されてきている。


「ふん。データ、一緒に来るか?」


「ハッセル先生?」


「行くぞ!」


「おお!!」


ハッセル隊の馬が駆ける。


データはハッセル隊に続き、馬を走らせ追いかける。


とうとうハッセル先生が出たが、中衛の鬼隊に飛び込ませるのは危険だ。何とかサポートをしないといけない。


データはボウガンを取り出して構える。


「オオオオ!!」


斧を振り回す山鬼の集団が見えた。


サポートの槍隊が対峙しているが、その威力に押されている事は明白だ。


「…オ?」


鬼の目に飛び込んできたのは、影だった。


続いて、太陽を覆い隠すほど大きな大剣を、片手で振り下ろすハッセルの姿を見た。


ズン…。


押し潰されるように真っ二つにされる鬼。


ハッセルは剣の角度を器用に横向きに変え、周辺の鬼の胴体を真っ二つに切る。


「ガアアア!!」


数匹の鬼が一振りでちぎれた。


危険を察知した鬼がハッセルに斧を構える。


だが、ハッセルは再び剣を頭上に構え、鬼の斧ごと切断した。


「これが…ハッセル先生の剣道…」


データは初めて見るハッセルの剣の見事な太刀筋に心が奪われた。


「やっばいっつーの、あの剣!おいクライブ見てるか!?」


「…」


「だよな!あんなどデカい剣を振り回されたらひとたまりも無いわな!」


「…」


「そうなんだよ!あの剣を片手で持てる事がヤバいっつーな!」


山で見ているエリオットとクライブは興奮していた。


「大隊長!」


馬で着いてきた聖道士がハッセルに手をかざし詠唱を唱える。


ハッセルは空気を纏った。


「多少の傷は防げるかと」


「…聖道士の防御効果は生ぬるくて嫌いなんじゃがの」


少しわずらわしそうなハッセルだが、構わず馬を進める。


「どんどん行くぞ!中衛から鬼を引き剥がせ!」


「おう!!」


士気が上がったのか、魔道士達が勢いよく燃焼を唱える。


「さすが先生…」


と、その時、データの横から槍が突かれた。


咄嗟に避けるデータ。


「今は先生のサポートをしているんだ!邪魔するな!」


データはボウガンを近距離の鬼に向けて発射した。


ダンッ!!


ボウガンは鬼の胸の皮膚に刺さったが、鬼は止まらない。だが…。


ボンッ!


「グァガァァァァ!!」


まるで鬼の胸が爆発した様に、ボウガンの先端の鉄がウニの様なトゲを出し、鬼の胸が弾けた。


時差式に鉄を形状変化させるデータ・スコットランスの芸、スターガンだ。


「残りの弾数は79。あまり使いすぎない様にしなくては…」


中衛で暴れるハッセルとサポート隊員により、鬼の襲撃は鎮火した。


「な〜に人間相手に手こずってやがるんだ…」


草原の鬼側に作られた玉座に座るエルジェーベトは苛立ちを隠せなかった。


「おい」


「はっ!」


エルジェーベトの隣に立つ“人間”の男に指示を出す。


「鬼共に伝えろ。ヒーラーで回復される前にトドメをさせ!それと偽動物と対峙している奴らはいつまで遊んでんだ!って」


「はっ!」


男は本部近くに滞在する鬼に独特な言葉で叫ぶ。


本部の鬼は銅鑼を鳴らした。


「1体10人を殺すのがノルマだ!攻め行って戻ってきた鬼は全員処刑だ!分かったか!」


「はっ!」


「ガアアアア!!」


「ギャギャギャギャギャ!!」


「…鬼が増員してきたか」


幻獣を見守る召喚士の隊長が戦局を見守る。


幻獣数十名と対峙する山鬼が増員されていた。


山鬼に刺されたグリフォンが倒れ、(かすみ)のように消えた。


「…こっちの一体、消えました」


召喚士が反応する。


「幻獣を増やそう!誰かいけるか?」


召喚士が慌ただしく動き出す。


「コーン、大丈夫かな…?」


鬼の攻撃を必死に避けるまだ幼いユニコーンをジルが心配そうに見つめる。


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