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花盗人  作者: 楠ゆう
2章 流星の燈

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1。燕の巣 #1-2


 「あったけー」


 チャポンと雫がお湯に落ちる音が辺りで響いた、一坪ほどの大きさの風呂に目覚ましく反響して何度も滴る音が反復する。湯気が全体にまで広がり今日の疲れを(おぼろ)ながらに忘れさせてく。


 楽な体制で天井だけを見上げ、考える。


 「明日どうしよ、来るんかな、怕竹さん、来ないかな…楽しかったな、話すの」


 お昼休み、また来るのだろうか、怕竹さん。来てくれないだろうか、また話したい。今日は驚きでそんなに話せなかったし、もっとしっかり。知りたい、好きなものは何なのか、嫌いなものは何なのか。どうやって今まで過ごしてきたのか。


 「あれ、」


 そっと思い至った、どうしてこんなに考えてしまうのだろう、彼女のこと。怕竹さんのこと、これほどまでにどうして考えてしまうのだろう。初めて会って、初めて会話をして。久しぶりに心配してもらって。


 「わっかんね」 


 んなこと考えてもしょうがねーや。今は休むことに集中しよ。小さい僕が思考を巡らせても意味ないが、こうなると段々しっとりと眠くなる。


 「っぅあぁ、」と動物のような唸り声に似た欠伸がそそり出てゆく。


 「ねむい」

 特にすることもなく、湯の中で足をジタバタと、水泳のバタ足みたいにバシャバシャと遊んでいる、子供が水場でプールではしゃいでいるも様子で。


 風呂は退屈だ、休むだけ、それだけ。だから暇。嫌じゃないけど、何となく、暇なんだ。


………十分か。


 再び雫が落ちる音が(つんざ)いた。

 

 「出ますかな」


 湯槽からお湯を垂らしながら浴槽から出てく、シャワー浴びて体を起こしてガラガラと引き戸を開けて先へペタペタと足音を立てて、乾いたふかふかのタオルを手に濡れた体を(ぬぐ)う。風邪を引かぬよう、即座に拭き終え寝巻きに着替える、そして忍びの如く小さな足でそのまま自室に引き篭もる、そんで布団へ脱力しながらダイブして暖かさに身を寄せる。

 

 残念ながらベッドではなく敷布団なので奥の方が硬い、だいぶした時肋骨と顎が良い位置に辺り、すごく痛かった。


 そして何度も何度も


    何度も、何度も、、何度も、、、何度も、、、、何度も。言葉にする。


 「会えるかな」と。


 頭を支えるための枕を抱き枕にするみたいに、母の体の中にいた時みたいに丸く蹲って。濡れた髪を乾かさずいたもので少々涼しく感じる、寝癖を治すのが大変だなとか考えるけど、実際どうでもいい。めんどくさいもん、動くの。


 「あぁ、、」


 ガスガスのやすりの様な声が震え出る。


 「あいた…ぃ、、」


 電気も付けくるまって重い瞼を擦り唱える、何度も。「会いたい」と。

 

 今日のこと明日のこと、明後日のこと。明々後日のこと、同時にどうなるかの道のりを考えてしまいこんがらがって、思考が停止してしまう。授業は何なのか。雨は降るのか、誰か休むのか、そして彼女は来てくれるのか。


 リビングから動く音がする、きっと母だろう。自室もしくはお風呂に行くんだ、そうに違いない。


 「明日、、また…」


 気がついたら、寝てしまっていた。鳥の叫ぶ声でそっと目が醒める、鉛の身体を振りしぼって起こしフラフラと机へ向かい座る。太陽の眩しい微かな斜陽が内臓を温めてく。朝は微妙に冷たい空気が満ちている、それに当てられ下がった体温を徐々に戻していく。


 立てかけてある手鏡を手に取って僕の顔色を確認する。鏡には僕の指紋と埃がついていて見ずらいが大概気になるものでもないのでそのまま拭かずに放置している。


 目の下に跡ができていた、泣いていた証拠だろう、久しぶりに自我を公に出した気がする。なんとなく、スッキリした。夢は見た覚えがないし、しっかりと熟睡できたことに安堵を漏らす。


 眠い目を擦りながら、リビングに行く。母はもう居なかった、仕事に向かったようだった、僕はそのまま洗面所に行き、顔を洗い、学校の準備をする、寝癖を直して制服に着替えて歯磨きをする。

 

朝ごはんは食べたいけれどないので諦める。


 そして外に出て燈を直で浴び背伸びをする。今日もあの本を持って、

学校に向かう。


 腐った匂いのする綺麗な現実がまた追ってくる。

 

 「おはよう、行ってきます」


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― 新着の感想 ―
香くんが、また会いたくなる人と出会えて良かったです。 本当に強い子ですね 明日も楽しみです!!
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