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花盗人  作者: 楠ゆう
3章 小心物

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4。裕福獣1-1

          久梨原香、逃避行、

   二〇二〇年。7月十五日

 

 「風呂…入りたい」


 ジリジリと肌に太陽の日差しが抓ってくる。日焼けしたな、かなりした。気温が高まり蝉が唸っている、当然の如く汗をかく、1日でも風呂を忘れれば臭くなるというのに僕はもう四日は入れていない。飯も食ってない。蜃気楼のように空気が熱でざわざわとしてる。


 現在時刻は一四時十二分。


 冬になってほしいと願うのはこれが初めてだ。涼しい季節と違いすぐに食べ物がダメになる、食い凌げないし、腐ったものを食べて下痢にでもなってみろ、そん時は脱水でお陀仏だろうな、何で人間ってこんなにも欠陥が多いんだ。


 水分もすぐに抜け落ちてげっそりとしている僕はまたもやしのようになってしまった。サウナに常駐してるみたいだ。


 今日は銭湯行けるかな、もう靴も上着も所々穴が空いてしまってる。服屋にどうにか忍び込めないかな。持っていきたい。


 「ベトベトする、」


 汗が肌にしがみついてる、キショい。


 「はぁ…はぁ……。」


 息切れが激しい、おかしい、今までそんなことなかったのに。クラクラする、どうして。最悪だ。

 街中を人混みの中僕は歩いてる、何も知らないふりして僕は歩いてる。顔も知らない、身も蓋もない人たちの声と足音が響いてる。


 「あぁ、わかった」


 僕の声なんて誰の耳にも届いてない。


 罪悪感。違う。優越感。これも違う。嫉妬?これだ。


 二〇二〇年。六月二十一日。僕は。


 人を殺した。


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