3、模型の本 1-4
雪はビニール袋から本を取り出し私に表紙を見せてくれた。そこには女の子と狼男だろうか、絵本用な絵柄で灰色の表紙をした、
「メメント・モリ?」
「そう最後の一個だったからこれにしたの」
「なんか感じるものがあったの?適当?」
歩く足を止めて本を二人で見つめてから私達は目を合わせあう。
「なんていうか、その。本がずっと読んでる子がいるって言ったでしょ?その子がねよくこれを読んでるの、いつも大事そうに抱えてて目を光らせながら見てるから気になってさ。本人はあんまり面白いとは思ってなかったみたいだけど」
私は「ふーん」と受け流そうとする。同じ本。同じ本か。おなじ?。
「雪ってさ、ひょっとしてだけどその子のこと好き?」
ドンピシャだろうなぁこれは耳を赤くして「ヒョエ!?」と間抜けな声がそうだよっと言っているのと変わんないんだもん。恋してんだ。雪もするのか、恋。できてしまうのか。ちょっと寂しい。置いてかれてしまったような。ちょっと先にいる感じがする、居なくなっちゃうみたいでなんか窮屈。
でもそれ以上に嬉しい。ちゃんと女の子として学生として青春をしてくれている。私は雪のお母さんじゃないけど、なんとなく。嬉しい。でもやっぱ、寂しい。
羨ましいんだ。私も一人の女の子だもの。
「好きっていうか、なんというか。えっと、それは違うというか、いや違くないんだけど。、、、。はい。そうです」
「やっぱかぁ」
となると最初の「それも含めて」と言う言葉は恋の相談だな絶対。連れて来れないし呼べないわけだ。私はニコニコとゆきのすけに思いっきりタックルをかます。痛くない尻もちはつかない程度に。
「痛っだぁ!なんだ急に猪なの!?」
「いや嫉みです」
ニッコニコした私に雪もくしゃっと笑う。可愛いヨォ。めちゃかわ。写真撮りたい。ガチエモいって感じ。
「で?相談ってなんですの」
私はこれが気になってしょうがない、恋する乙女の思う悩みが。おちゃらけた私とは違い雪はいつも難しそうなことを思いながら生きてるから。もうその脳内が気になってしょうがない。
「アーえっとね、その私はその、すごいその子に惹かれているんだけど、大好きなんだけどさ。向こうがなんて思っているのかなって、最近そればっか考えちゃって。踏み込んだ事っていうかさ、その。一緒に遊ぼとか帰ろとか。言いづらくなっちゃって。その子色んなことに悩んでるし恋愛とかそういうことに興味ないんじゃないかなって、私一人じゃどうしたらいいかわかんなくって」
「いいねぇいいねぇ。しっかりと乙女だねぇ。うーんと、前まではその子にさ普通に誘えたの?あそぼーとか」
「うん、基本私から話しかけてたんだよね」
「そっか、で今は話しかけずらいと」
「そういう事です、どうか助言を下さい!井上様ぁ」
合掌して私を奉って崇めるように上げてくる。気分がいいねぇ神様になった気分だぜ。と言ったものの私恋に悩んだことないからなんて返すべきなんだ。
正直にいうべきだなこれは。
「とは言ったもの私、そういった事あんまないからあんまり助言にならないと思うけど」
「そこをなんとか!」
そう言われてもなぁ、、。
「んー、また自分から話しかけに行けるようになりたいってこと?それとも単に告白とか?」
告白という単語を口に出した瞬間、雪は耳だけではく顔全体がりんごみたいに真っ赤になった、元々色白だからわかりやすくってありがたい。
「告白、、もそうなんだけど、もうそうそろ花火大会でしょ?だからさ。誘いたいなって」
「ほほほう、乙女じゃん、なかなかかわよいじゃん、ゆきさんや」
「ふざけてないの」
「深く考えすぎないのと、いつも通り接してあげたほうがその子も嬉しいと思うよ、だって急に変わっちゃったら私なら怖いもん、いつもの雪でいたらいいよ、緊張して誘えないなら、練習相手にでもなるし。それでも難しそうなら私がついて行ってやる。」
「それは恥ずかしいからいいや」
「何やと!恩知らずや!」
「ごめんごめん」
トコトコと商店街を私達は駄弁りながら歩いてる、まだ空は明るく、夏なんだなと感じる、冬とかはもうこの時間帯大体暗いから、一年の流れが早い。
商店街には屋根が掛かっており、蒸し暑さがより一層伸し掛る、首から、額から汗をかく。髪の匂いや制汗剤の甘い香りが鼻に翳む。
「暑いね」
「暑いよね」
私に続いて雪も暑いと頷く。手をうちわみたいに仰いで少ない風を起こしている。そして手を本の表紙のほうに置いて、ゆっくりと優しく丁寧に撫でている、これから大事にされていくんだろうな。きっとこの本も幸せだろう。最後の一個で気になる子と同じ本。こりゃ運命だな。
「羨ましいや」
「何?」
「何でもないよーだ」




