表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花盗人  作者: 楠ゆう
3章 小心物

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/50

2、小人ノ指揮者 1-6

そう考えながらに缶ジュースをプシュっと開けて一気飲みする、これもバカみたいに美味い、ぶどうジュースってこんなにも甘くて至福になるんだ。


 「平気?家の前で何してるのかな?」


 声ぐっと押し込まれ出なかった、びっくりしすぎて。あれ本当だったんだ、びっくりしすぎると声すら出ないって。


 そっと声の主の方へと目を向けると四十代ぐらいだろうか。少々ふくよかで小太りのおじさんが声をかけてきた、足音何一つしなかった、忍者?忍びって実在しているんだなすごいや。


 その正体が小太りのおじさんとか些か腑に落ちないけど。


 辺りはすでに日が暮れて夜の真っ最中。鳥も鳴き止み街灯が点き始めて、明らかに僕への同情の目を向けているが不審にも思って居るのだろう。


 「家の外から声がずっと聞こえてて、盗人かと思ったんだけどそんな感じじゃないからイタズラかなーと、どうしたの?すごい泥だらけだけど」


 そっか人ん家の前でニッコニコではしゃいでたら家主が出てくるのも納得。僕は地面に置いていた物を必死にかき集め手に抱えて急いで立ち上がる。


 「すいません、ほんとすぐ退きます。ご迷惑おかけしてすいません」


 そう言って僕はそそくさと立ち去ろうとする。やばい。足がヤバい。生まれたての子鹿になっちゃった気分だし迷惑かけちゃったし、内心ぐっちゃぐちゃ。


 背を向けて逃げるように去ろうとした時おじさんはそんな僕を止めて話しかけてきた。


 「ボロボロだけど、平気?家寄ってくかい?」


 どう返事したら良いのだろう。断るのも気が引けるしかといってお邪魔しますと言うのも気まずくて言えない。ただ下を向いて薄暗い地面を見ている事しかできなかった。そして僕の出した答えはただ無言で立ち去る。


 これしかできなかった。


 明らかなご好意を踏んづけたの、かな。知らないおじさんであれ優しさであったことに間違いはないしその優しさが怖くてたまらなく憎いと言うのが結論ででもおじさんは悪くない、だから無言で何も発さずに去るしかできない。

 ごめんなさい。


 やっと休めると思って落胆する反面に人の家の前だったことについて悪しく反省をする。今日もまた知らんとこで野宿するんだろうか。

 考えるのはよそう、怖くなる。


 またもや知らない公園に僕は居る。今日の朝起きた場所とは違う公園。歩いて進んで七分ぐらいで見つけた公園だ。


 ベンチに座って盗んだ菓子を食う、先程までの感動は一気になくなり、ただ無心でお菓子を食べている、海苔塩味のポテトチップスをひたすらに口に入れる、けれどもすぐになくなっては虚しくなってしまうので一枚一枚丁寧に少しずつ味わっている。飽きてしまって一気に食ってしまいたい。


 周りの環境音だけをラジオ代わりに暇を和らげ凌ぐ。 


 この時期はまだいいが冬とか真夏、どうやって生き抜こうか。ダンボールとか探したほうがいいのだろうか。でもやっぱりいざとなったら盗むしかないのかな。もう一度手を染めてしまった、二度三度。変わりゃしないだろう。ただただ空を眺める。星を一つ数えては数を消して、また数えてく。


 「あれ、獅子座かな。よく覚えてないけど。懐かしー、雪と星見に行ったなぁ。あん時が一番暗かった気がする。そう思うと成長したな暗いことには代わりないけど、多少はマシに、、、なったはず、だよね」


 そうして星を見ているといろんな事を思い出す。よく頑張っていたなと時々思うし碌でもないなぁなんて。でもこれだけは成長しない。


 「会いたいなぁ、」


 僕に優しくしてくれた嫌な人たちに会いたい。雄介の顔。随分もう見てないや、どんな顔だったっけ。


 「隣、いいかな」


 「え?」と戸惑い、隣を見る。さっきのおじさんだ、ついてきていたのか。両手に飲み物を持って僕にそっと駆け寄ってきたんだ。


 「星、綺麗だよね、おじさんもじっくりと星見た事なかったから感謝しないとな」


 おじさんは僕の隣に座り僕の顔を見る、おじさんは微笑んでいて腕を組んでいた。そして一息を吐いた後、「これ飲むかい」とペットボトルのコーラをくれた。


 「君、家出少年か何かかい?親御さん心配してるんじゃないかなー、こんな暗い中で一人は危ないよ。服はボロボロだし、それでも飲んで元気だしなよ。頭冷やすでもなんでも、少ししたら帰ったほうがいい。君のためでもある」


 僕は冷たいコーラを両手で持ってじっと凝視する。心配か。


 「家に帰る気は、ないんです。僕が悪いし。もう合わせる顔もない」


 「わかるよ、僕も昔不良でやらかしてとんでもないぐらい親に迷惑かけたんだ。もう親の顔なんか見たくないって反抗期真っ只中で、喧嘩ばっかして、でもね。大人になってみたらそんなん小さなもんなんだよ。親からしたら息子や娘。成長の一つとしか思ってないんだ、可愛い子供が生きているだけで居てくれるだけで、きっと親ってのはそれでいいのさ」


 おじさんは、自分で持っていた缶コーヒーを開けて空を見ながら一口飲んでる。僕もペットボトルの蓋を開け一口飲んだ。


 「甘い、」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ