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花盗人  作者: 楠ゆう
3章 小心物

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2、小人ノ指揮者 1-4

 心を踏まえてずっと考えていた。もしかしたらまだ夢であれたならと。無様に情けなく思ってしまう。


 けれどもこの地面、重力。匂い。空腹。体の痒み、関節への節々にくる痛み。


 これらが現実を沸々と匂わせる事なく直球に教えてくる、僕はそれに「はぁ」とため息が飛び出てく、どう抵抗しようにもこれが精一杯だから。哀れにも現実であることに悲壮を絡めて嘘だと捻りたい。


 空腹、そうだ。そうだよ!。


 腹が減った、昨日からなんも食ってないんだ、食いかけの晩御飯を床に放り投げたんだ、あんなことしなければこんな事にはならずに済んだのに、最悪だ。何よりも一途気に任せて考えなしに言葉を発した自分が最悪。


 謝る勇気も置いてきちゃったしな。


 「お腹すいたけどさ、金ないし、やる気も起きない、使えねーなこの体……腹減った、」


 ほんと、何も持たず飛び出てきたからなんも持ってない、ポッケにもなんも入ってないし、早速にして万事休すで頭を抱えてしまう。


 木の実とか葉っぱとか、食べても良いのだろうか。どんぐり、、、、なんかよく分からん緑の葉っぱ。……やめておこう、腹下したらそれこそお陀仏だ、脱水になったら、考えたくもないな。


 適当に生きれたら良かったのに、どうしてこんなも盛大なものになってしまったんだ、知らない街並み。顔知らない歩行者、見たことないお店、嗅いだことのない空気の食感。ひたすら歩いた、陽が暮れるまでクタクタになるまで歩いた。僕を通り過ぎる自転車の乗った学生の声に耳を傾けては「楽しそうでいいな」なんて言ったり、スーパーの袋を持った主婦を見て、お溢れ貰えないかなとか思ったり。


 どんだけ進んでもゴールが、先が見えないって退屈でつまらないものなんだな。


 丸一日ずっと足を止めず進んだ。もう空が暗くなりつつある。


 「もう無理、一旦休憩、、」


 僕なりに良く歩いたと思う、これを期に運動しようか。少しでも鍛えないとこの先どうにかなってしまう。今僕はコンビニの裏で蹲って隠れながらあまり人目に付かないところで足を開いて座っていた。ダラダラと汗をかいて運動部の奴らがこぞって水道の水を被って身体を乾かしていたに理由がとてつもなくわかる。尚そんな物は僕の周りには見えないし探すもの面倒だ。


 「くだらねーよ、、意気地なし」


 悪知恵が煮えるほどに激っていた、ここはコンビニの裏で僕は空腹そしてお金は無一文、つまりだ。直球に万引きを考えていた。だけどミスした時を考えてしまってうまく行動に移せずに止まってしまっていたのだ。でもこれの他に僕の腹を満たす方法は思いつかないし。


 「どうしよう。どうしよう。もうわかんないよ」


 どうしよう、、頭を抱えて蹲る。他の手を考えろ、考えろ!手を。あまりにも少ない僕の手札にこぞって眼を通す。誰かに飯を恵んでくてと言ってみる?気まずくて無理だしそんな人いる訳ない、きさくな外国ならまだしもここは日本だ、怪しんで逃げられるがオチだ。それならどうする、外に生えた得体の知れない物でも食うか。これも無理だ。ゴミ箱でも漁って残飯でいただくか、惨めでどうにかなってしまいそう、これも却下。


 「盗むしかないの?捕まりたくない、まだ、まだ何一つとして手にしてない、でも。こうしないと僕は生きていけない。苦しんで終わりたくない」


 道がない、落ちていた石ころを空っぽで見つめて、致し方ないで通したくはないが。生きるためだ。肯定するしか無い。


 ごめんなさい。お母さん、お父さん。じいちゃん。雪。


 コンビニへ入る、分け隔てなく。ただ買い物をしに来た青年を装って入る、涼しい、自動ドアが開き冷房のかかった店内で熱った体内に染み渡る。


 こんなにもコンビニへ入るのに緊張することはなかった、目の前にライオンがいてそいつの餌を奪い取るような、一つの仕草がミスに繋がる、まるで爆弾処理班、震えちゃダメだ。


 定員が「いらっしゃいませ〜」と笑顔で挨拶してくれた。その挨拶すらもが僕に向けた「出ていけ」と言う暴言なんじゃないかとも勘違いしちゃいそうでクラクラする。


 覚悟を決めろ香、生きるためだ。生きながらえる為だ。しょうがないことなんだ。


 固唾を飲んで雑に鼓舞を施して進んでく。


 震えた唇で声で僕は誤魔化す。


 「何買おっかなー、、暑いし走ったから飲み物とか欲しいなー。」


 下手っクソな芝居がかった喋り方に今でも恥ずかしくってすっ飛んでしまいそうだ。


 僕はまず飲み物を取りに奥の方へと進んでいく、ここはバレないだろう。レジからは四角になっていてまずバレずらいから、防犯カメラはあるけどもうこれ以降この店に来ることはないからどうでもいい。デカいのは明らかにモロバレするから、小さい物を、ポッケに入る程度の缶ジュースを手に取る。


 これで初犯、しかも万引きか……、どうせならもっとかっこいい初犯がよかった、。


 そしておにぎり、お菓子。ガムを手に取って。はあはあと荒い息を押し殺し外へ出た。


 その時だった。


 「ちょっとお客様!」


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