表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花盗人  作者: 楠ゆう
2章 流星の燈

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/36

4。勿忘 #1-1


                   久梨原香…喫茶店ルプス

 「いらっしゃいませ、お二人様でしょうか」女性の店員の、元気な掛け声が聞こえたあと「二人です」と少し詰まった返事を僕はした。店員は「こちらへどうぞ」と手を席の方へ向け僕たちを席へと案内し水の入ったコップをテーブルにそっと置き、ご注文がお決まりになったらお呼び下さいと慣れた言い付きで去っていった。


 店内には僕ら以外にも何人かいる。時間的なものなのだろうか人気というにはあまりに人が少ない様な気がする。そんなの気に求めずに井上さんは楽しそうに話し始める。


 「ここ初めてきたけど雰囲気いいですね、エモいって言うんですかねインスタとかに載っけたらすごい映えそう、メニューこれかな、何にします?」


 井上さんはメニュー表を手に取りそれを開く。その瞬間に目を輝かせてペラペラとメニューを回している。


 「どれもめちゃくちゃ綺麗で美味しそう、このブリュレすごい良いなー、パンケーキもいいけど、サンドイッチも捨てがたい。どれもそこまで値段高くないし庶民の味方って感じだ、ありがたいなー」


 井上さんはこれはこれはとページを捲り楽しそうにしている、それを僕は少々微笑みながら見ている。気持ち的には小さい子供の面倒をみてる様な感覚である。


 「井上さんってケーキって言うか甘いものって結構食べる人なんですか?」


 「私は食べるよー、糖分は神様だと思ってる、これがないとやってられないのよ、だからよくデザート食べ放題とか行ったりしてるんよ、好きなもの反面ダイエットはしないと即効で身体は蓄えるんでそこだけ嫌なんだよね、タンパク質と効果逆ならいいのに」


 「だとしたら食べてる頻度的にムキムキになりません?レスラーみたいになってるんじゃないですかね」


 「だとしたらきっと今の私は力士か」

 「そこまで太ってないですよ」

 「そこまでってことは多少太って見えるってこと?」


 井上さんがガックリとしてショックで面を喰らっていて。言葉の使い方を間違えたと即座に僕は手を振り訂正する。


 「言い方を間違えました、太ってないですよというか痩せてると思いますよ、一班的に見てもかなり細い方だと思います、それにそれだけ食べてて太ってないんだからすごいことですよ、痩せてると誇っても全然いいと思います?」


 「おぉ、随分と嬉しいことを簡単に言ってくれるね」

 「思っていること言ってるだけ、皮肉とかじゃないですからね」

 「わかってるわかってる」


 はにかんで爆笑とまではいかないけど大きく笑ってる。ツボが浅いのだろうか、つられて僕も笑う。なんだろうなんとなく楽しい、性に合っているのかもな。


 井上さんは笑い終えるとふっと息をついて安心したように語りだす。


 「私、何気に人を食事に誘ったの初めてで結構緊張してたんですけど。安心しました、少し気まずい感じになってたらどうしようかなーとか、誘ったの私なのに話全然盛り上がれてなくてどうしようとか色々心配してたんですけど、そんなの心配する必要なかったです。だって今すごい楽しいですもん、ありがとうございます、初めて誘ったのが香さんでよかった、すごい安心です」


 少し俯いてそんなことを言う。僕でよかった、か。そんなの随分久しく聞いた。気持ちがいいものだと再認識できて心地いい。少し耳が赤くなり照れ隠しで頭を掻く。


 そして思い出す。あそうだ。寝癖直してないや、こんな事なら身だしなみちゃんとして来るんだったな。


 「よし決めた。私かカプチーノとこのショートケーキとパンケーキ、あーでもやっぱりこのフレンチトーストも美味しそう、やばい、優柔不断だなー、香さんは?何にするの?」


 「僕は」


 井上さんが手にし見ていたメニュー表を今度は僕が受け取り目を通す。確かにどの品も綺麗で美しい見た目をしている。これは目移りしてしまうのもわかる気がする。「んっ」と目を止めた。


 「これにしようかな」


 僕はオムライスを指差して品を決める。井上さんはほへーとした顔で少し拍子抜けした、おかしそうな声で僕に言う。


 「子供みたいね。でもオムライスこれも美味しそうだー、んーそんじゃあ私もオムライスにしよ」


 「おんなじものじゃくても変わり映えしなくないですか?」

 「いいの。私もそれが食べたいし。あっもしかしてお互い違うもの頼んで食べ合いっこしたいんだ」


 僕を揶揄(からか)った様子で井上さんは笑っている。「そっかそっかー」っと井上さんはメニュー表を再び手に取り、品をもう一度選び始めた。それを見て僕も負けじと井上さんを揶揄う、


 「それじゃあ食べ合いっこしますか?いいですよ、僕は全然構いませんし」


 「えっ?」っと言い返されると思わなかったのだろうと少々井上さんはあほずらになった。それが何だか面白くって予想よりもいい反応をしてくれたものだから「ひひっ」と肩を上げて笑う。恥ずかしそうに顔を赤らめる井上さんを妙に魅力的だなと感じてしまった。今までにない生まれきて初めて見た恥じらいの顔。


 「い、いや。恥ずかしいし。冗談で言っただけだから平気、あんまり揶揄い返してくる風には見えなかったから、すっごいびっくりしちゃった、、取り乱したーー。あぁ恥ずかしい。でもやっぱ決まんないし私もオムライスでいいやこのままじゃ決まんなそう」


 そう言って井上さんは店員さんを呼んで料理を注文した。僕はオムライス一つを井上さんはオムライスとカプチーノにショートケーキを頼んだ。店員さんは「畏まりました少々お待ちください。」と丁寧に会釈とお辞儀をしてからその場を去っていった。


 食べ過ぎじゃないだろうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
良いですねー!!  もっともっと食べましょう!  食事も睡眠もちゃんとしたらちゃんと元気になれます
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ