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花盗人  作者: 楠ゆう
2章 流星の燈

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3。バク #1-6

 「今日はありがとうございました」

 「いいよ、またね」


 屋上での会話を終えて僕らは再び校門前まで戻ってきた。随分長いこと話し込んだ。校舎の置き時計を覗けば時刻二十一時をとっくに過ぎている。二人ともそんなの目に止めずにいたもので、時間の経過は目まぐるしいと常々思う。


 結果的には出会さなかった、何だったのだろう。あの光…。

 そのまま今日は解散した。


                      怕竹雪…帰路。


 「あぁ、楽しかったーー!、」


 周囲は誰もいない。バカでかい声で叫ぶ、音を遮る建物もない平坦な田圃(たんぼ)道、すんごい響く。しっかり聞かないと解らぬほどのがなりを差しながら叫んだ。普段出来ないこと、言っちゃえば良くないことだけど、初めてこんなことしたからか多分脳から変な物質が分泌され出ていたと思う。


 だって少しハイになってた気もするもん。


 「香には私ってどう見えてるだろう」


 普通の女の子として、ごく普通の女子として見えているのだろうか。今日に限っては少々おかしかった気もするしめんどくさいやつだって思われてたらどうしようか、もうこれから喋ってくれなくなったらすげー悲しい。


 ひゅーうっと風が喚いてる。それは人肌から体温を奪うには十分なほどで「寒っ」反射的にズボラな声が出た。無意識に早く帰ろうと諭しているのか、足の速さが微妙に増した。


 「てか、どうやって家帰ろう。」


 家までの帰り道は当然のことわかる。だがその後だ、「帰り家に着いたら」だ。玄関からは確実に入れない、鍵かかってるだろうし。なんせ隠れて家から飛び出しているんだから、もしバレてみろ冗談抜きで殺されかねない。どうにか二階の自室にそのまま入れないものか。早く帰れと言葉をする様に風が背中に当たる。


 「帰ってから考えればいいか」


 安易な答えが出てきた。いつもなら怒られない様に行動するはずなのになぜなのだろう、やっぱり少しハイになってるのかな。


 淡々無化で歩いているとすぐに家の門、玄関前までついていた。さてどうしよう。2階の窓は三メートルぐらいあるんだろうか、消して容易に届く距離じゃない。自室を外から眺め、手を組んでしばし考える。


 「無理じゃねーかなー、、うーん」


 どれだけ考えようと一向に方法が思いつかない。近くには登れそうなのもないし足場もない。解決策は全くとして浮かんで来やしない。要はお手上げ状態である。曰く、私はバカである。


 もうこれしかないか。裏口の鍵は持ってきている。がしかしもしお母さんかお父さんもしくは二人とも起きていた場合は。その場合は潔く謝ろう。もうそれしかない。もしの時を考えてしまうと身体が異様にザワザワしてしまう。


 家の敷地を丁寧に周り裏側へと向かいそっと鍵を開ける。全神経を用いてガチャっと開けて。そしてドアノブに手をかけてゆっくりと回す。慎重に慎重に、丁寧に回す。まるで爆弾を処理しているような、横で寝ている熊を起こさない様にするかの如く。


 少しのミスが命取りになるのだから懇切(こんせつ)丁寧に開ける、人生を賭けた(いくさ)みたいなもの、先に靴を脱いで素足にし扉を開けて家へと入る。自分の住んでいるはずの家なのに気分は泥棒みたいだ。最悪。


 足音を立てないようにバレないように自室へ向かう。裏口はキッチン、二階への階段は玄関付近だ、それまで絶対に足音は立てられない。


 抜き足差し足で歩く、慎重に歩いても玄関までは素早く着く。問題はここからなのだ、階段を登る時の羊蹄音そして2階に着いてすぐ横にはお父さんの書斎がある。お父さんがまだ起きててそこにいたら八割型バレが確定してしまう。


 息を呑み固唾を飲む。さっきよりもさらに丁寧に歩く。


 元々備わっている人間の機能としての震えなのか恐怖から来る震えなのか。一歩一歩進んでく。一段一段上に上がる。上がれば上がるほどに空気が異様に重たく冷たく感じる、きっと怯えからなのだろう。そっと書室の横を通る。なんの音もしなく唯一聞こえるのは自分の心音だけ。大きく銅鑼が鳴っているかのようにうるさく耳に響く。自分の音で他の音が掻き消されてしまいそうだ。


 やっと自室に着いた。深く心を撫で下ろす。バレなかった。無事に生還できたんだ、言っていることが戦の後の武士みたいだ。そんな壮大なもんじゃないのにそれぐらいの達成感が押し押せる。


 肩の力を抜いて自室の扉を開ける。

 

 ガチャ…。


 「あ、」


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― 新着の感想 ―
……そうですか、バレちゃいましたか そりゃ命をかけた戦になっちゃうよね、仕方ないよね、 久しぶりの雪さん目線でした! もしかしたら雪さんのお母さん目線かも!! って予想してました
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