44話 決戦に向けて
『ネクサス』の基地へと到着したティナたちは車から降りた。
「ティナたちが帰ってきたぞ!みんな!」
「そこにいるのが『インフェルノ』…か?」
「へぇー!東側は結構綺麗なんだね!」
「我々『ネクサス』が全力で制圧していたからな。しかしもっと東に行くとかなり崩壊しているだろう。そうだろティナ。」
「ええ。目が当てられない程に。」
「ふーん。戦争ってやっぱ悲惨だね。すべて壊しちゃうんだから。」
「だから私たちが止めるんだ。これ以上被害が出ないように。」
「その小さい子供はなんだティナ。」
「小さい子供ですって?!やる気?」
「やめろ!ルナ!『tears』のメンバーだな?これでも『インフェルノ』のリーダーなんだ。」
「何だと…?!こんな小さいのに『インフェルノ』のリーダーだったのか…。たまげたな。」
「それであんた強いのか?」
ツカサが横入りした。
「ティナと互角に戦えると言ったらどうする?」
「それはつぇーな。見た感じ信じられんが。」
「俺はこの目で見た。正直に言うと『ネクサス』も『インフェルノ』もかなり強い。政府と戦うには申し分ないだろう。逆に俺たちの方があぶないぐらいだ。」
「セイジが言うならマジなのか。」
「ほぉ。ツカサあんたも戦ったんだってな。一度見てみたかったぞ。」
「ジュリ!」
ティナはジュリに抱き着いた。
「無事でよかった。ティナ。交渉は上手くいったようだな。」
「誰あれ?」
「あれが恐らく『インフェルノ』のリーダーのジュリだろう。」
「ふーん。ティナに馴れ馴れしいやつだね。」
「どうしたんだ。ルナ。嫉妬するようなキャラだったか?」
「うるさい!私より強かったからちょっと尊敬してるだけだし!」
「そうか。変わったなルナ。」
ジュリがレイナとルナに近づいた。
「お前たちが『インフェルノ』か。私はジュリだ。」
「レイナだ。こっちはルナ。全力で協力をしよう。」
「ああ。こちらこそ。頼りにしている。」
「ルナも何か言ったらどうだ?」
「宜しく…。」
「それより柵を破壊したのはジュリか?」
「ああ。今となっては計画だったとはいえ大変すまないことをした。」
「いやいいんだ。ただ我々のミサイルをよくかわして脱出できたな。相当な操縦技術だ。」
「空に限っては地上と変わらない動きが出来るってだけだ。」
「いや、この戦いにおいてもっとも有利に立つのは空だ。東京に攻め込むならその技術が大きな一手となるだろう。」
「だろうな。だからこそ責任重大なんだ。やはり元秘密部隊にいただけに情報はしっかり知ってるな。」
「我々のことを知っていると言うことはあんたも…。」
「東京の部隊で隊長をしていた。まぁ過ぎた過去の話だ。あのセイジも元は組織の人間だ。」
「それぞれ深い過去があるわけだな。」
「この話は戦いが終わったらゆっくりと話したいものだ。」
「ああ。そうだな。」
「ねぇお姉さんそんなことより『ネクサス』の基地見て!でっかいドームになってるよ!」
ツカサも近づいて来た。
「レイナ。ちょっと2人で話せるか?」
「ああ。でもルナがいるからな…。」
「お姉さん行ってきなよ!私は『tears』たちとドーム内観光してくるからさ!」
「そうか。すまないな。」
「いいっていいって!さぁ早く行った!」
ティナは2人が少し離れるのを見ていた。
「レイナ。突然攻め込んですまなかった。ああいうやり方しか思いつかなった。」
「まだそんなこと言ってるのか。まったく気にしてはいない。逆にツカサの強さを知れて嬉しいぐらいだ。」
「たぶんもう知ってるかもしれないが、あのティナとミナは俺と同じ星咲の血を引き継いでいる。」
「ああ。運命というのは恐ろしいものだな。」
「まぁな。本当はレイナも政府と戦うことは視野に入れていたんじゃないか?」
「入れていたというよりは既に入れたという方が正しい。」
「戦ったのか?」
「五十嵐という男とは私も戦った。」
「なんだと?!五十嵐というとあの幹部のか?!」
「そうだ。噂で聞いたがツカサお前も負けたらしいな。」
「…。」
「だが私が戦ったのは能力も一切使えない戦争が起こる前の話だ。奴は1人で我々の部隊に乗り込んできた。たった2発だった。全く歯が立たなかったよ。ツカサも身をもって感じたのならわかるはずだ。」
「奴は半端なく強い。幹部だからという理由だけでは説明がつかないような奴だ。そして奴の正体も俺は知っている。奴はこの現代のやつではないんだ。」
「何だと…?!どういうことだ?!」
ツカサは過去から来たということを話した。
「なるほどな。須藤という名前も私は初めて聞く。そんなやつがトップだったのか。」
「ああ。もう前のトップは既に殺されていてそいつが実質のトップだ。」
「そういうことなら私たちは無駄な争いをせずに済んだかもしれんな。」
「いいや、あの戦いは意味があった。なによりティナが成長出来るいい機会だった。」
「それほどまでにあの娘に賭けているんだ。」
「まぁな。五十嵐を追い込んだんだ。そりゃあ期待するさ。それにミナ。あの2人の力が組み合わさった時、須藤の首まで届くはずだ。」
「ふっ。それで私たちはあの2人が須藤に辿り着けるように道を切り開くというわけだな。」
「そのとおりだ。それに東京には幹部が勢揃いしてるはずだ。一筋縄では間違いなくいかない。だけど俺たちの力があればなんとかなると信じている。」
「とんでもない任務だなこれは。」
「明るい未来のための任務だ。」
「言ってくれるな。失敗したらすべて終わるって言うのに。」
「失敗するわけないだろ?レイナ。」
「させるものか。私の命に代えても。リーダーのルナも同じ気持ちだ。本心では私より考えているんだ。あいつは。」
「意外だな。全くそうは見えない。因みに何歳なんだルナは。」
「年齢か。ティナの2つ上だ。」
「なんだと?!あの見た目でか!ということは18歳なのか…。」
「人は見かけによらないってことだ。」
「まぁとりあえず協力してなんとか突き進もう。なるべくお互い死なないようにな。」
「戦争というのはいつ死ぬかわからないから戦争なんだ。死ぬ前提で戦え。」
「もちろんそのつもりだ。だが、生きてこその勝利だ。片隅に置いておいてくれ。」
「…覚えておこう。」
「すまなかったな。話してくれて。」
「構わないさ。強くなったお前が見れてよかったよ。それに共に戦える日がきて私は嬉しい。」
「俺もだ。やるからには勝利だ。」
「もちろんだ。」
「じゃあまた明日。」
「ああ。」
(ツカサあんただって星咲の血を受け継いでるんだ。絶対負けられないよな。この戦いは。その為にも私たちが全力で道を切り開いてやらねばならない。)
ツカサがティナのとこに戻ってきた。
「話は出来たの?」
「ああ。出来た。」
「そっか。これだけいればなんとかなるよね?」
「…。はっきり言って何とも言えない。少なくとも犠牲は出るってことは覚悟しなくてはいけない。みんなも当然そのつもりで戦ってるわけだ。」
「ええ。そうだね。だけどなるべくは守りたい。」
「そうだな。それが出来るならどれだけ望ましいか。とりあえずやれるだけのことをやるだけだ。どんな未来が待っていたとしてもだ。」
「うん。何かごめん。いよいよその時が近づいてるって思ったら冷静ではいられなくて。」
「ふっ。みんながついているだろ。ティナには。」
「…。」
「大丈夫だ。信じろ。」
「うん。」
「じゃあまた明日。」
「ああ。」
(俺も同じだ。1人だったらこれから待ち受けていることに立ち向かえなかっただろう。だが今はお前たちがいるからこそ覚悟を決められる。ティナ…お前の決意を明日聞かせてくれ。)
朝になった。
「みんな準備はできているか?」
「ああ。大丈夫だ。」
「ティナ。我々は先に京都に行っている。」
「ええ。」
「よしそれじゃあ俺たちも京都に向かおう。」
『tears』、『フェニックス』、『ネクサス』、『インフェルノ』は『tears』の拠点がある京都へ一斉に向かった。
「ここが『tears』の拠点か。」
「拠点って言ってもいた期間はたった1日だけどね。」
「おい!帰ってきたぞ!」
「リーダーが帰還だ!」
「ほぉ慕われているようだな。」
「それだけのことをしてきたってことだ。ティナは。」
「そんな大したことはしてないよ。」
「あ、ジュリもいるぞ。」
ティナたちは拠点に到着した。
「じゃあみんな集まって。」
『tears』、『フェニックス』、『ネクサス』、『インフェルノ』のメンバーが全員同じ部屋に集まった。
みんなはティナを見た。
「ようやく準備は整った。ずっと成し遂げたかったことの準備が。」
「…。」
「単刀直入に言う。明日早朝に東京へ行く。」
「…やっとなんだな。」
「うん。『インフェルノ』…。『ネクサス』…。『インフェルノ』…。それに『tears』のみんなが同じ目的でここに立っている。だから私はこの仲間たちと共に政府を倒す。」
みんなは頷いた。
「もしかしたら本当はまだその時ではないのかもしれない。でも私は今だと思ってる。だから…私に最後までついてきてほしい。」
「ふっ。その答えを今更、否定するやつなどいないぞ。ティナ。」
「ああ。みんな同じ気持ちだ。」
「…ありがとう。」
レイナが手を上げた。
「ティナ私から1ついいか?」
「うん。」
「東京に攻め込む前にこれは伝えておかないといけない。」
「どうしたレイナ何かあるのか?」
「国のトップが編成した幹部組織【フュドラ】。という存在のことだ。」
「お姉さんそれって噂じゃないの?」
「噂ではなく実際にある。それは須藤が自ら作った幹部だけで構成された9人の護衛たちだ。その『フュドラ』が東京で待ち構えている。我々が攻め込んでくる時を見越して。」
「『ヒュドラ』…幹部だけで構成された…ということはもしかして!」
「ああ。五十嵐もそのメンバー…もしくはリーダー格だろう。」
「やはり須藤には簡単に近づけないと言うことか。」
「ここから先は幹部連中との戦いだ。能力は当たり前のように使ってくるだろう。ちょっとでも気を抜けば待っているのは死のみ。それを踏まえた上で決断するといい。」
「…。」
「ティナ?」
「変わらないよ。どんな相手が待ち受けていようが私は東京に行く。」
「そうか。わかった。」
「それじゃあ『ヒュドラ』を倒し、須藤を追い詰める。ってことでいいんだな?」
「うん。」
ジュリも手を上げた。
「東京は空の守りも硬いと聞く。突破口はあるのか?」
ルナが真面目に答えた。
「あるよ。でもそれだけの腕があるならの話だけどね。『ヒュドラ』のメンバーには空を得意としている奴もいるんだ。もしそいつをやれないようでは私たちの侵入はかなり厳しくなると思うよ。」
「そうか。かなり重要な役割を私は担っているというわけだな。」
「大丈夫。私が援護するから。」
「シグレ…。頼む。」
「じゃあ空を『フェニックス』に任せてる間に私たちは正面突破ってことになりそうだね。」
「ああ。フェニックスの攻撃が突入の合図となるだろう。そしてティナとミナを須藤の元になんとしても辿り着けさせるんだ。それがこの戦いを終わらせるカギとなる。」
「もちろんだ。命をかけても突破させる。」
「ああ!やってやろう!」
「もう乗り込んだら後には退けない。今日はしっかり休んで明日に備えよう。」
「じゃあ今日はこれで解散。明日早朝、東京へ進行する。」
全員が頷いた。
その後みんなはそれぞれの時間を過ごしていた。
私はバニラを撫でながら星空を見ていた。
「明日はあの綺麗な空が真っ赤に染まる。地上では数えきれないほどの人達が犠牲になる。もう後には退けない…か。」
するとミナがやってきた。
「横座っていい?」
「うん。いいよ。」
「明日お父さんに会えるかもしれないね。」
「うん。」
「お母さんもいるのかな?」
「わからない。」
「今凄く不安?」
「うん。」
するとミナはティナに拳を叩き込んだ。
しかしそれをティナは手で受け止めた。
「ミナ?!いきなりなにすんの?!」
「ティナの中では既に戦いが始まってるんだね。明日を待たずして。」
「そ、そうだね。」
「それぐらいの覚悟がなければこの戦い勝てないか。ここまで長いようで短かったね。」
「うん。いろんな仲間に出会い、共にここまで乗り越えてきた。」
「私たち2人なら恐らく近づくことさえ出来なかったけどこれだけ多くの仲間がいれば絶対に大丈夫。」
「うん。」
「ミナ…。」
「なに?」
「私はミナを絶対に守るから。」
「…。」
「未来にちゃんとミナが存在出来るように精一杯頑張る。」
「それは私も一緒。ティナがいて私がいる。それからみんなも。」
「うん。だから協力して全力で立ち向かおう。」
「ええ。」
「今日はもう休もう。明日は最終決戦だ。しっかり休んでおいた方がいい。」
「うん。わかった。じゃあまた明日ティナ。」
「うんお休み。」
(大丈夫。私はやれる。やらなくちゃいけないんだ。いろんなものを背負ってるからこそ。)
そして太陽がゆっくりと上がり始めた。
みんなは『tears』の基地の外へ出た。
戦いに備え最後の準備を始めていた。
「ティナ準備は出来ているか?」
「うん。出来ている。」
「決着をつけるぞティナ。」
「ええ。最初に一緒に逃げたときのことが昨日のように思える。私の大事な友達のレン。トオル。イオリ。ヒマリ。」
「『tears』としてついてきてくれたセイジ。ダイキ。ハヤト。ミオ。アイリ。ウルハ。」
「共に同盟を結んだジュリ。リク。アカネ。ツカサ。レイナ。ルナ。」
「そして私の大切な妹ミナ。」
「みんなで一緒に終わらせよう。」
みんなは胸に手を当てた。
「『tears』に勝利を。」
「いくよ!東京へ!!」
こうしてティナたちは須藤がいる東京へと向かった。
その頃東京では…。
「どうやら『tears』に大きな動きがあったみたいだな。」
「『フェニックス』…『ネクサス』…そしてあの憎き『インフェルノ』までもが『tears』と結託したとはな。」
そしてあの男もいた。
「時は来たということだ。」
「どう言う意味です?五十嵐さん」
「もうすぐここは戦場と化す。つまりやつらが乗り込んでくるということだ。」
「そんなもの我々『ヒュドラ』にかかれば一瞬で阻止できますよ。」
「他の奴はしらんが、あのティナという小娘を舐めてかかったら死ぬぞ?」
「…五十嵐さんがそういうならマジなんでしょうね。しかしこの『ヒュドラ』の前ではその小娘とて手も足も出ないでしょう。」
「面白くなってきたではないか。いつか始末してやろうと思っていた連中だ。向こうから攻めてくるのなら大歓迎。」
「『フェニックス』はどうする?愛知の戦いで空を制圧したんだろ?確か国の裏切者だったな。」
「そいつは空を得意としている。俺が始末しよう。」
「ほぉ。やれるのか?」
「ええ。俺にしかできませんから。」
(お前らはまだわかっていないな。今のあいつらは強い。特にティナ…。今のあいつはトップに届くほどだ。だがその前に俺がこの手で潰してやるがな…。まずはどこまで出来るのかを見せてもらおう。俺を楽しませてくれよ!『ティナ』!」
東京でも既にティナたちを待ち受けている者たちがいた。




