42話 獄炎
「ここが『インフェルノ』の基地内か。」
「襲ってきたりはなさそうだな。」
すると銃を向けた男が話しかけてきた。
「お前たちが『ネクサス』と『tears』だな?」
「ああ。そうだ。お前は?」
「『インフェルノ』のものだ。リーダーが直々に会いたいそうだ。」
「罠って訳でもなさそうだな。どうする?」
「向こうからのご指名だ。行こう。」
「よし。ついてこい。」
ティナたちは男について行った。
「このエレベーターから上に上がれる。」
「ほぉ電気が通ってるのか。」
「私語は慎め。」
「はいはい。」
そして最上階でエレベーターは止まった。
ドアが開くとそこには女らしき人物が2人いた。
「ようこそ。『インフェルノ』本部へ。」
「ツカサあれがリーダー?」
「ああ。あの左のやつがそうだ。」
「右のちっこいのはなんだ?」
「今あんたなんか言った?」
「いや…なんでもない。」
「おい!私語は慎めと言っただろ!」
「まぁよい。とりあえずはここまで辿り着けたことに敬意を表そう。
「さっきの言葉…聞き捨てならないんだけど?」
「お前は黙ってろ。」
「ふーんだ。」
「それで俺が何をしに来たのかと言うと…」
「わかっている。交渉をしにきたのだろ?」
「ああ。話が早いな。」
「だが内容まではわからんさ。なんとかなくそう思っただけだ。」
「単刀直入に言わせてもらう。国のトップを倒すため東京に乗り込む。そこで『インフェルノ』の協力を借りたい。」
女はタバコを吸い始めた。
「…。」
「どうだ引き受けてくれるか?」
「1つ問いたい。なぜそこまでして国と戦おうとする?」
「こんな縛られた国を開放したいからだ。それだけではない。国のトップがやろうとしていることは全人類に影響を及ぼしかねない。このままでは国民もろとも破滅する。生きるために戦っているあんたならこの意味がわかるはずだ。」
「なるほどな。理由はわかった。しかし国とまともに戦えるかどうかと聞かれたら答えはNOだ。」
「それは重々承知の上だ。何も行動しないよりはマシと考えている。俺たち『ネクサス』だけだとその答えになるが、国と戦える可能性は十分にある。その証拠にここにいる『tears』がこの戦いの鍵を握っている。」
「ふむ。確かに我々の部下をねじ伏せる程の力は確かに見させてもらった。だが、お前たちが思っているほど東京は甘くないぞ。さっきのようにはいかないだろう。」
ティナが前に出た。
「そんなのやってみないとわからない。多くの仲間、多くの覚悟があればこの戦いに勝機は十分にある。」
「ティナと言ったな?今の自分なら本当に勝てると思っているのか?」
「そうだ。少なからず幹部とやり合えるぐらいには成長した。後はこの力を最大限でぶつけてやるだけ。」
「なるほど。だが交渉を聞き入れるかどうかはツカサお前が本当に実力があるか確かめてからだ。」
みんなはツカサを見た。
「もちろんそのつもりで来ている。前までの俺ではないことを証明してやる。」
「面白い。どれくらい成長したのか見てやる。来い。」
「いくぞレイナ!」
(レイナ…?それが『インフェルノ』のリーダーの名前?)
ツカサの体からオーラが解き放たれた。
「…。」
レイナは微動だにしなかった。
「…。」
ツカサがレイナに殴りかかった。
しかしレイナは片手でツカサの拳を受け止めた。
「確かに前よりは強くなっているようだな。多少だけどな。ふん!」
レイナはツカサの腹に拳を当てオーラで吹き飛ばした。
「くっ!相変わらず強いな。」
「当然だ。まだ1割も力を出していないぞ。」
「俺だってまだ準備運動に過ぎない。ここからだ。」
ティナは座り込んだ。
「長くなるよこの戦い。」
「わかるのか?」
「能力をまだ出してすらいない。出した時が本当の戦いになる。今はお互いの力量を計っているんだ。」
「なるほどな。」
その後何度も拳をかわした。
「はぁ…はぁ…』
「随分と疲れているようだがもう終わりか?」
「丁度ウォーミングアップが終わったところだ。さて…そろそろ本気でやるとするか。」
『プロビデンスアイズ。』
ツカサの目にオーラが宿った。
「目にオーラを宿しただと…?!どういうことだ?!」
「これが俺の本来の能力だ。」
「私がそんなことで驚くとでも思ったか?目に宿した所で一体何が出来るというんだ。」
「戦ってみればわかる。」
「その程度ならこちらは能力なんて使わなくとも良さそうだな。」
ティナはそんなツカサを見て思った。
(いや。あれは普通ではない。何かわからないけど舐めてかかっていいものではない。私にはなんとなくそれがわかる。)
「それじゃあ今度は私から仕掛けるとしよう。お前はまた私に敗れるんだ!」
「そいつはどうかな?」
レイナがツカサに攻撃を仕掛けた。
「遅いな。」
ツカサはレイナの攻撃を次々とかわしていった。
「なんだと…攻撃が当たらん…。」
そしてツカサは手にオーラを込めレイナの腹部に押し当て吹き飛ばした。
壁に激突した。
「ぐはっ!!」
「なるほど…。確かに前とは比べ物にならないほど強いじゃないか。」
「まだそっちが能力を出していない以上手応えは感じられないがな。」
「能力を使う基準としては十分といっていいだろう。見せてやろう。」
「ようやく『インフェルノ』の本当の強さが拝めるってわけか。一体どんな能力なんだ。」
レイナの周りに真っ赤なオーラが放出した。
『ヘルファイア…!』
腕が一気に燃え上がった。
『あれは炎か?!熱くないのか?!』
『オーラによる炎か。自身はオーラによって守られているとはいえあれ程の火力を受け止めるのは至難の業だ。』
『これが『インフェルノ』の正体…。』
「さていかせてもらうぞ。」
「来い。」
レイナから攻撃を仕掛けた。
ツカサはレイナの攻撃を両腕で防いだ。
(さっきより格段に威力が増している…。しかしこの炎…纏わりついてくる…!)
何度もツカサを殴った。
腕に激しい火傷を負っていた。
戦いの最中、突然エレベーターが開いた。
さっき戦った『インフェルノ』のメンバーたちが遅れてやってきた。
「既に始まっていたか。」
「久々に見るな。リーダーの戦う姿。」
「あんたたち負けたでしょ。使えない連中ね。」
「す…すみません!!力不足で…。」
「本当だよ!まったく。もういいから片隅で見てなさい。」
「は…はっ。」
ティナはその自分より小さい子供を見た。
(なにこの生意気な子供は。このメンバーたちより強いってこと?まさかね。そんなのあり得ない。)
「なに?あんた。何か言いたそうね。」
「いや別に何も。」
「あっそ。お姉さんの戦いに集中しなさいよね。お姉さんが勝つんだから!」
「…。」
「はぁ…はぁ…。」
「防ぐのがやっとか?いいものをお見舞いしてやろう。」
「なん…だと?」
レイナはツカサの腹を深く殴った。
『イグニッション。』
炎がツカサの体に纏わりついた。
「ぐっ!炎が俺の体に!」
レイナが殴った所から炎が全身に回った。
『ミナも似たようなことが出来るけどそれとはまるで違う…。あの炎は見た目も火力もその何十倍も上。』
『うん。悔しいけど私はあれほどの炎は出せない。どうするツカサ?』
しかしツカサは動じていなかった。
(これは…かなり厄介だな。まったく消えやしない。)
「どうした?このままだと全身焼かれ灰となるぞ。」
「俺が考えなしにここまで来たと思ったら大間違いだ。策はある。」
「なに?!」
「これが能力によるものなら俺だって…。」
炎がツカサのオーラに変わっていった。
「そんな馬鹿な…!私の炎が!」
「消すのではなく利用するんだ。力の一部として。」
ティナは立ち上がりツカサを見た。
(あれは私が無意識にやったやつと一緒だ。あの時、覚えたっていうの…?)
「次は俺の番だ。行かせてもらうぞ。」
「くっ!私の炎を利用しただと?そんなことあり得る訳がない。」
「それがあり得るんだよ。覚悟を決めたやつはなんだって出来るもんさ。俺の一撃を見せてやるよ。レイナ!」
「くそっ!生意気な!」
ツカサの体から更なるオーラが放出した。
(この腕の状態なら持って2発…。いや1発が限界。オーラも使い過ぎた。これで決める…。)
「行くぞ!」
拳がレイナの腹を貫いた。
(ぐっ…パワーだ…!)
「そしてここで返す!」
「なに?!」
『イグニッション。』
レイナの全身に火がついた。
「うわあああ!!!」
「俺のオーラも込めて威力を上げた。どうだ耐えられるか?」
「負けてたまるか!!!」
火がついた状態でツカサに殴りかかった。
(やはり強いなレイナ…。右腕はもうさっきので使い物にならなくなった…。だったら…!)
ギリギリで避けレイナの腹を反対の拳で叩き込んだ。
「げほっ…。」
レイナはツカサに寄りかかるようにして倒れた。
炎もその瞬間消え去った。
ツカサの目からもオーラが消えた。
「俺の勝ちだよな?」
「ああ。私の負けだ…。そこまで強くなっていたとはな…。」
「いいや今ので全部使い果たした。反対の腕も完全にいかれちまってる。まだレイナが立っていたならば俺の負けだった。それにこの考えに至ったのはティナのお陰だ。あの時これのやり方を知らなかったら本当に灰になっていただろう。」
「…まぁどっちにしても私もすべてを出し切っての完敗だ。清々しいよ。」
「ふっ。俺もだ。」
「終わったようだな。」
「ええ。はっきり言ってツカサすごいよ。私が本気でやったとしても同じ結果になったかどうか…。」
「うむ。はっきり言って弱いんじゃないかと思っていたが申し分ないな。」
「それにあの目に宿したオーラが一番とんでもないんじゃない?」
「ミナ?どういうこと?」
「私もやってみたことあるんだけど、腕とかそういった箇所にはできても目に宿すことって簡単そうに見えて簡単ではない。」
「言われてみればそうだな。やはり普通の奴ではないってことは確かだ。」
すると小さい子供がレイナの前に近づいた。
「レイナ?なんで負けてんの?」
「…すまない。」
その子供はレイナの顔殴った。
「ぐっ…!」
ティナたちは唖然とした。
「なんだ?!どういうことだ?!」
「ねぇなんでもっと本気出さないの?」
「ルナ…すまない。すべてを出し切ってこの有様だ。ツカサは本当に強かった。決して私が劣っていたわけではない。」
「それでも『インフェルノ』なの?これでは示しつかないよ?わかってる?」
ティナはルナという子供の前に近づいた。
「あんたこそ何様なの?全力で戦った結果なんだ。受け入れなよ。」
「ティナ…!お前がここに来た時からずっと気に食わないって思ってたけど本気で私を怒らせたいようだね…!」
「ティナそれ以上はよせ!これは私の問題だ。」
「そうだティナよせ…。条件を忘れたのか?これは俺の役目だ。」
「お姉さんが全部悪いんだ。弱いから。」
「…。」
「ツカサごめん。私もこいつのこと個人的に気に食わない。」
「はぁ?あんた誰に向かって言ってんの?」
「ティナ…!もういい!そのルナは…」
「あーあ。さっきの戦い見てたら私も戦いたくなってきちゃったよ。」
「よせ。ルナ。もう決着はついた。『tears』と『ネクサス』の交渉を受け入れよう…。」
「はぁ?決着がついた?それはお姉さんとそのツカサとのでしょ?私はまだ何もしてないよ?」
ティナが追究した。
「思ったんだけどさ。あんたが本当のリーダーでしょ?」
みんなは一斉にルナを見た。
「まさか…こいつが『インフェルノ』のリーダーだと?!」
ツカサはレイナに問いただした。
「レイナ本当なのか?このルナが『インフェルノ』のリーダーなのか?」
「…ああ。表向きでは私と言うことにしている。だがこのルナこそ正真正銘【インフェルノ】のリーダーだ。本気になったルナは私より圧倒的に強いからだ。」
「リーダーとか興味ないんだけどさぁ仕方なくやってあげてるだけなんだよねぇ。だってめんどくさいじゃん。」
「なんてことだ。ツカサはもう戦えないぞ。」
「そこにまだいるじゃん。ティナがさ!ねぇ私と戦おうよ!」
「…もし私が勝ったら?」
「交渉でもなんでも受け入れてあげるよ!何だったら『tears』に『インフェルノ』をあげてもいいし!」
「ルナ!何言ってるんだ!」
「お姉さんは黙ってて。弱いものが強いものに付くのは当然じゃん。だけどあんたが負けたときは『tears』と『フェニックス』それに『ネクサス』全員、公開処刑。それでどう?いい条件でしょ?」
(こいつ…ガキのくせになんてこと言いやがる…。)
「最初のは確かにいい条件だね。最後のは聞かなかったことにしといてあげるよ。」
「まぁどっちにしてもあんたの結末は1つしかないんだけどね。断っても死ぬし私と戦っても死ぬんだからさ。」
「ティナもう交渉なんてどうでもいいだろう。俺たち全員でこいつを…。」
「いや、こいつは私1人でやる。」
「うんうん!それでこそ『tears』のリーダーだね!そうこなくっちゃ!」
「ティナ…。ルナを舐めてかかるなよ。とんでもなく強いぞ…。」
「お姉さんは端っこで寝てなって。ほとんど体動かないんでしょ?後は私が全部終わらせとくからさ。」
「話はもういい?こっちは時間がないんだ。早く終わらせよう。」
「あーうざ。終わるのはお前だよ!ティナ!せめてすべて出し切ってから死になよ!そうじゃないと楽しくないからさ!」
ルナはティナに攻撃を仕掛けた。
ティナと『インフェルノ』の真のリーダーであるルナとの戦いが始まった。




