38話 姉妹の成長
【ティナのように強くなりたいと思ったミナは自分自身を成長させるため、ティナに戦いを申し出た。】
ミナから先に仕掛け拳が深くティナの腹に入った。
「そんな攻撃で本気出してるの?」
ティナはすかさずミナの頬に拳を入れ吹き飛ばした。
「なんて重い一撃…。」
『あんなに2人に差が出来ていたなんて…。』
『こんなことで驚いてるようではこの先、見てるのが苦しくなるぞ。ティナはまだ10分の1しか力を出していない。』
『あれで10分の1…。』
「…。」
「そんな攻撃では勝てないよ?幹部どころか私にだって。」
「くっ!うるさい!」
ミナは更に攻撃を仕掛けた。
それでも何度も打ち負かされた。
「はぁ…はぁ…最初の攻撃以外まったく当たらない…。」
「自分を信じるんだミナ。そしてミナの中に眠ってる力を解き放つんだ。」
「私の中の力を解き放つ…。」
ティナは更にオーラを放出した。
「それが出来ないようならこれ以上ミナを戦わすわけにはいかない。死んでほしくないから。」
『…。』
『ティナちゃん…。』
ティナはミナに突っ込み足で蹴りを入れようとした時だった。
ミナはティナの足を手で止めた。
「え…?」
『攻撃を止めた…。しかも片手で。』
ティナはミナの顔を見た。
「これは…あの時の私と一緒…。力が開放した…?」
冷静な顔で瞳には光が消えていた。
涙を浮かべさっきまでのミナではなくなっていた。
そして掴んだ足を振り回しティナを地面に叩きつけた。
「くっ…。」
ミナのオーラが溢れ出した。
「私の中の力がみなぎってくる…。行ける…!」
『め…目覚めたか。』
『あれがミナちゃんの本来の力…?しかも泣いている…?』
するとミナはティナの腹を何度も殴りつけた。
「ティナ!!」
「ゲホッ…やばい…何この力は…立てない…。」
ミナの拳に大量のオーラが纏った。
(ミナの力が何十倍にも跳ね上がった…。これをくらえば流石にやばい…。)
「させるもんか…!」
ティナはミナに攻撃しようとしたがそれよりも早く顔を殴った。
そしてティナは倒れた。
(え…嘘…私、倒れた…?ミナに追い込まれている…?)
『今のはかなり効いたな。あれだけのオーラを纏って殴ったんだ。普通ならもう立てないだろう。』
「ティナ…この程度で終わるわけないよね?」
(視界が薄れてきた…。だけど…負けたくない!)
ミナは腕を大きく上げティナの顔に拳を振り下ろした。
ティナはその瞬間目をつむり、顔に当たる寸前で目開きミナの腕を掴んだ。
「なに…?!」
ティナは一瞬光った。
「やるじゃん。ミナ。だけどただ殴るだけでは私は倒せない。」
「ここからってことだね。わかった。こい!ティナ…!」
『追い込まれたことによってティナも力を引き出したか。なるほどな。』
『追い込まれることが力を引き出す条件ってこと?』
『正確には負けたくないって気持ちからきているのだろう。悔しかったり、悲しいことがあるとその瞬間一気に力が放出される。そこに能力を絡ませることによって膨大な力と化す。』
お互い防ごうとせず殴り合った。
そして2人の拳が大量のオーラを纏い互いの顔に拳を打ち込んだ。
ミナが膝をついた。
「くっ…。」
「まだ…まだ終わっていない…。」
ミナの胸ぐらを掴み殴った。
「ええ。終わっていない…。まだティナは私の本当の力を見ていないからね…。」
「まさか…。あれを…?」
「そう…今の私の力で能力を使えばどうなるか…。見せてやる。」
ミナのオーラが体の全身を駆け巡り手に集中させた。
(ミナの能力が来る…。だったら私も…。)
ティナもまた全身にオーラを巡らせミナの腹に何度も拳を叩き込んだ。
「くらえ…。」
(効いてない…?いや違う。確実に効いてるけど私を倒すことしか考えていないんだ…。覚悟を決めている…。)
『ティナは気付いたはず。覚悟を決めた人間の強さを。ミナはティナに絶対負けたくないって思いだけで耐えてる。本当に恐ろしい成長力だ。そろそろ止め時か。』
そしてミナはティナの体に向かって手を当てようとした。
「これで終わりだ!ティナ!私のすべてを受けろ!」
『アブレーズボム!!!』
「それはこっちのセリフだ!ミナ!」
『ルミナスショック!!!』
ティナはミナの手に拳を叩き込んだ。
その瞬間大爆発が起きた。
ティナとミナはゆっくり立ち上がり、また攻撃の体勢を取った。
「はぁ…はぁ…。ティナよく耐えたね…。」
「はぁ…はぁ…。当然。この程度なんてことない…。」
(今のは一体なんだ…?いや、それよりもうここが限界。これ以上は今後に響く。)
『よしそこまでだ。』
「ツカサ…?」
「引き分けだ。あまり無茶をするな。死んだら元も子もないだろ。」
ミナは膝をついた。
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…。」
「ミナ大丈夫?!」
ティナはミナに手を差し伸べた。
「正直言って立ってるのがやっとだった。あと少し体力があれば勝てたけどね。」
「本当にそうかもね。私も実話は結構やばかった。」
「すごい戦いだった。流石だな2人共。」
「ずっと見ていたの…?」
「まぁな。それよりミナ、力を引き出してからの記憶はあるか?」
「うん。最初は自分の体ではない感覚を受けたけど鮮明に覚えている。」
「だったら大丈夫だ。君もティナ同様に幹部と戦うに値するほどの強さをモノにした。」
「私がティナと同じくらいに…?」
「うん。能力抜きにしてもミナは凄く強かった。」
「ティナと戦って感じたんだ。痛み悲しみ恐怖を乗り越えた先に本当の力があるんだって。体がしっかり覚えている。やれるよ。私。」
「ミナ…。」
「乗り越えたようだな。自分自身を。それなら俺から言うことは何もない。」
『じゃあ後は私の出番だね。』
「ヒマリ?!なんでここに?!」
「私だけではないよ。ほら。」
遠くの方を見ると『tears』のメンバーがこっちに向かってきていた。
「ティナ!さっきの爆発はミナか?!」
「まさか敵がきたのか?!今行く待ってろ!」
「仲間思いの騒々しい奴らだな。それじゃあ俺は先に帰らせてもらうよ。君たちも早く戻って休め。」
「ツカサ…。ありがとう。」
「俺は何もしていない。いい姉を持ったな。じゃあ、お休み。」
「ええ。お休み。」
(本当はあの時止めてくれてありがとうって意味だったんだけどな。あのままやり合ってたら本当にあぶなかったから。)
ヒマリはツカサの去り際をじっと見ていた。
(…。)
「じゃあティナちゃんとミナちゃん治療するからじっとしていて!」
「痛っ…。」
「ほらミナちゃんも!」
「ヒマリ、そこは大丈夫…。」
「もうじっとしてないと治療できないって!」
「敵は…いないようだな。一体なにがあったんだ?」
「さあな。でもすげえあの2人ボロボロだぞ。」
「…それにツカサもいたようだな。おいティナまた何かやっていたのか?」
「ミナと戦ってた。」
「ミナと?!姉妹喧嘩とかこんなときにやめてくれ。」
「違うって。ミナを成長させるための特訓。」
「特訓だと?」
「私もティナと同じように強くなりたいって思った。それでティナにお願いしたの。力を引き出してほしいって。」
「その結果、引き出せてあの大爆発か?」
「そういうこと。」
「確かにあの威力…半端ではなかったな。」
「うむ。まぁ何もなくてよかった。」
「何もないにしてはすげえボロボロだけどな…。」
「みんな心配かけてごめん。もう大丈夫だから。」
「ああ。それじゃあ戻るか。」
「ええ。」
「ティナありがと。」
「ううん。私もミナと戦えてよかった。」
「え?」
「最後に戦ったのは確か近代町で未来のミナと戦った時だったよね。覚えてないかもしれないけど。なんかあの時と同じ感覚を受けたんだ。」
「未来の私と戦ってる感覚ってこと?」
「そう。やっぱりミナは強いよ。この力なら絶対に須藤を倒せる。だからなんとしてもやり遂げよう。」
「もちろん。ティナ、付き合ってくれてありがとう。」
「私でよかったらまた相手になるよ。」
「うん。ありがとう。」
「ティナ!ミナ!早く帰るぞ!」
「今行く!」
「行こうミナ。」
ミナは涙を拭いながら頷いた。
ティナたちは基地へと帰った。
その頃、ツカサは基地へは帰らず公園にいた。
「あの爆発の力…。相当なものだった。あれはミナの能力だけではない…。ミナが爆発させる瞬間ティナも何かを繰り出していたようだった。それが合わさった事による威力。それにしてもこんな短期間であれほどまでに成長を遂げるとは…。これは俺の予想を遥かに上回るかもしれん。」
そして朝日が昇った。
「おはよ。」
「おう。おはよ。」
「何だかゆっくり寝ていられなくって。昨日の戦いがまだ手に残ってる。」
「すごい体力だな。あれだけ負傷したにも関わらずもうピンピンしてやがる。底が知れないやつだ。」
「それ褒めてる?」
「ああ。褒めてるさ。よし俺は久しぶりのシャワーにでも入るかな。ここは設備が充実している。お前らも入るといいぞ。」
「セイジも随分と最初の時と印象が変わったな。」
「ヒナさんを救えて、少しずつ希望が見えてきたからかも。本来のセイジがあれなんだと思う。出会ってから今までずっと戦うことばかりだったから。」
「そうだな。まぁ今の俺的には戦ってる方が生きてるって感じがしていいんだけどな。また穏やかな日常に戻ったら普通の暮らしだろ?それはいいことなんだけど体がもう今の環境に慣れてしまっている。」
「うん。それは私も一緒。ここに来て自分の成長が目に見えてからもっと強くなりたい…もっと力が欲しいって思うようになった。それに戦っていない自分が今では想像出来ない。」
「だな。お前は本当にすごいよ。どんどん先にいくんだもんな。俺も頑張らねぇとな。」
「…。」
「じゃあ俺もシャワー行くわ。セイジに全部シャンプー使われたらかなわねぇからな。」
「うん。わかった。」
私も着替えて寝所を出た。するとミナがいた。
「ミナ体はもう大丈夫?」
「うん。それどころか昨日ティナと戦ってから体がまた戦いって思うようになっている。」
「私もだよ。力を引き出してからいろいろ変わった気がする。」
「あの時の五十嵐も同じ感覚だったのかもしれない。ティナと戦っている時のあいつは戦いを楽しんでいるようだった。」
「それは私も思った。自分より強い奴と戦うことが成長に繋がる。あの時の五十嵐は私を下に見ていた。だからそれ以上戦うに値しないと感じて戦いを放棄したんだ。殺そうと思えばあの時、簡単にできた。悔しいけど。」
「うん。今の私たちがどこまで通用するのか早く試したい。」
「ええ。次会ったら絶対に倒してやる。」
『二人共張り切っているな。』
「ツカサ…。」
「体は休めたか?といっても君たちの事だ。興奮して眠れなかっただろう。」
「なんでもお見通しって感じだね。」
「はは。まぁそれはいいとしてティナに聞きたいことがある。最後に放った一撃のことだが、ミナが爆発させる瞬間に何をしたんだ?」
「何って…あのままではやられると思ったから阻止しようとオーラを手に集中させて思いっきり攻撃しただけ。」
(オーラとオーラがぶつかってあの凄まじい力になったということか…?)
「ふむ。しかしティナが攻撃する瞬間にオーラが跳ね上がったように見えたが。ミナはどうだ?何か感じたか?」
「意識していなかった。ティナを倒すことに必死で。」
「なるほど。ティナもう一度、最後に見せた攻撃をを見せてくれないか?」
「見せるって…私も無我夢中だったからあまり覚えていない…。」
「頼む。俺に1発ぶつけてくれ。」
「…わかった。」
ティナはオーラを手に集中させた。
そして目の光が消えティナの表情が変わった。
(ここで俺もオーラを放出させる。この後だ。)
「来いティナ!」
「はぁ!」
ティナ拳を深く握りツカサに一発放った。
(くっ…!早い!いやそれよりなんてパワーだ…。)
ツカサは軽く吹き飛び踏ん張った。
そしてティナの目に光が戻った。
「ふぅ…。これでどう?」
「大体わかった。相手のオーラを利用して力を更に高めたな。」
「オーラを利用した?どういうこと?」
「いくら成長したからといってミナの力だけではあそこまでの爆発力はまずありえない。だとするとティナがミナの能力を増加させた。」
「そうなの?ティナ。」
「確かに攻撃する時、体の中にオーラがみなぎってくるのを感じた。でも狙ってやったわけではない。無意識にやっていた。」
(やはり気づいていなかったか。相手の力を利用する能力…。)
「はっきり言おう。ティナは相手の力を自分の力として使うことが出来るようだ。そしてその能力を自分の意思で使えるようになれば五十嵐どころか須藤にも届くだろうな。」
「え?」
「ただ、使い方を誤れば昨日のように自ら命を危険に晒してしまう能力でもある。」
「要するに私の能力とは相性が悪いってこと?」
「あの爆発させる能力に限って言えばな。あれではお互い無事ではすまない。しかし、ティナ自身の力として放出するならばリスクはないだろう。」
「なるほど。私自身の力…。」
「俺の見立てではその能力は確実に今後の戦いで生きてくる。その能力を極めるんだ。」
「うん。わかった。」
「じゃあ、朝飯を食べたらみんなを集めて会議室に来てくれ。これからの打ち合わせをしよう。」
「ええ。じゃあまた後で。」
「ティナ、やっぱりすごいね。」
「え?さっきの能力が?」
「うん。着実に成長してる。私もまだまだ強くなれるかな?」
「なれるって。私たちは先祖の血を受け継いでいるんだ。それに私が出来てミナに出来ないことはないよ。」
「うん。ありがとティナ。もっと自分を信じて力を高められるように頑張る。」
「ふぅ。力使ったらお腹空いてきちゃった。ご飯食べに行こっか。」
「ええ。さっきダイキたちが何か作ってたよ。かなり変な臭いがしたけど。」
「もうなんか想像ができる…。ところで何かってなに?食べられるもの?」
「さぁ?食べられることは食べられるんじゃない?」
「お腹壊さなければいいけど…。」
ティナとミナはみんなの所へ行った。
一方、ツカサは先に会議室へ向かっていた。
「痛っ…。あの一撃で肋骨2箇所にヒビが入ったか…。」
「今のあの2人となら…。いや…まだその時ではないか。」
【しかし、その時は近いのかもしれない。官邸に乗り込み、そして親父の仇を討てる日もそう遠くはないだろう…。】




