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【漫画連載決定】Reason for tears  作者:
past and future
36/50

36話 目覚めし本能


「なんだ…この光は…。」


点滅したように光が消え振り下ろした先にティナはいなかった。


「どこへ行った?!」


その瞬間、黒田は何かで背中を殴られたような感覚を受け、膝をついた。


「ぐっ…なんだ…背中のこの痛みは…鉄球か何かがぶつかったようなこの重い痛み…。」


後ろを振り返ると、見下ろすようにティナが立っていた。


「お前…いつの間に俺の背後へ…なんて拳をしてやがるんだ…!」


そしてティナは黒田の顔をめがけて回し蹴りをした。


「ぐはっ…!」


大きく吹き飛んだが持ちこたえた。


「何だ…さっきからこの重い一撃は…!さっきまで倒れてたやつの力ではない…。」


ティナは更に踏み込む体勢を取った。


「な、なんだと…?まだ何か仕掛けてくるのか!立ち上がらなくては。」


そして勢いよく黒田へと走った。


「まずい!足が言うことを聞かねぇ!何をしてくるんだ?!いやそんなことよりも守りに入らなくては!今のあいつの攻撃は致命傷になりかねない!どこを狙ってくる?!」


ティナは飛んだ。


「飛び蹴りか。それなら鎖を叩き込んでやる!」


黒田は鎖をティナに向かって投げた。しかしティナは鎖を掴み取り、そのまま飛び蹴りをした。


「見破られた?!くそこいつ一体何なんだ?!」


とっさに黒田は両腕で守りに入った。


ティナの両足が黒田の腕にあたり吹き飛んだ。


自身の変形した腕を黒田は見た。


「右腕が完全に折れちまったか。それにこの背中の痛みは…胸椎(背中の骨)も完全に折れた…。」


ティナはゆっくり無言のまま立ち上がり、黒田の前へと迫った。


「このままだとまじで殺されてしまうな。もうあれを使うしかないか…。」


黒田は下を向いたままティナが近づいてくるまで動じなかった。


そして目の前に到達したティナは拳を振り下ろした。


すると黒田の体からオーラが溢れ出た。


「オーラ…?」


「俺の力を見せてやるよ。お前にならいいだろう。」


左腕でティナの左腕に拳を叩き込んだ。


「ぐっ…。」


ティナは変わり果てた腕を反対の手で押さえていた。


「はぁ…はぁ…」


「粉砕してやったぞ!お前の腕も使い物にならなくなったな!」


「それで終わり…?」


「あ…?」


「やるなら徹底的にやるんだ。私のように…。」


ティナは立ち上がり、粉砕されたはずの手で黒田の顔に拳を叩き込んだ。


手が一瞬光った。


『ルミナスブレイク…』


「折れた腕で攻撃だと…?!」


更にティナは何度も殴った。


黒田は左腕で防いだが徐々に崩されていった。


「折れているのに力が増していってる…化け物かこいつは!」


「このアマ!粋がってんじゃねえぞ!」


そしてティナの拳が振り下ろされる瞬間に拳と拳がぶつかった。


「ぐぁ!手が…!」


黒田の指の関節が変形していた。


「何故こいつは無事なんだ…?いや違う…。」


黒田はティナの手を見た。


「もう痛いとかそういう次元の話ではないぐらいの損傷。完全に左腕は使い物にならないはず。腕を捨てる覚悟で俺と戦っているということか…。面白れぇ。」


「立てよ。戦いはまだ終わっていない。」


「そうだな。お前がそれほどの覚悟をもって戦っているというのならば俺もすべてを賭けてやらねぇとな。見たところお前は能力を使わずに俺と戦ってるように見えるが、使わなくてもいいのか?」


「必要ない。能力なんて使わなくてもあんたを倒すぐらい簡単だ。」


「俺も舐められたものだな。だが俺は使わせてもらうぜ。【リベラティオ】によって授かった能力とやらをな。」


「リベラティオ…?!やはりさっきのオーラはリベラティオによる力だったか。」


「ほぉどうやらお前も知っているみたいだな。力をくれる石の存在を。それなら話は早い。選ばれた人間の強さというのを身をもって味わえ。」


黒田の手に大量のオーラがまとわりつきそれをティナの腹に手を当て吹き飛ばした。


「ゲホっゲホっ…。あの腕であの力か…。やはりこいつは強い…。」


「まだ死ぬなよ?試したいことが山ほどだ。」


ティナは黒田の猛攻を防ぐのに精一杯だった。


「どうした?さっきの勢いがなくなっているぞ?俺を倒すのではないのか?使えよ。能力を。」


「…。」


ティナは冷静に前だけを見据えていた。


「頑なに使わないつもりか。いいだろう。お前の右腕もらった!」


ティナの右腕にオーラを込めた拳が炸裂したと同時にまた一瞬光った。


ティナはまた吹き飛んだ。


「またこの光か…。まぁそんなことはどうでもいい。もうお前の右腕も完全に逝っちまったはず。これでお前の両腕は使い物にならなくなったぞ。さてと後は足を潰せばお前は終わりだ。」


「終わったのは…お前の方だ。」


「何を言っている…?痛みで頭でもおかしくなったのか?」


「これが何かわかる…?」


「それは…いや…そんなはずは…まさか…。」


黒田は自分の腕を見るとそこには(ひじ)から下がなかった。


「う、腕がない…。やはりそれは俺の腕…?」


ティナは持っていた黒田の腕を放り投げた。


「能力を使わずここまで出来るとは思っていなかった。あんたが私に攻撃を当てる瞬間を狙ってこのナイフで切り落とした。」


「しかしあの光は一体なんだ何だ…?」


「私の中にある力を瞬間的に開放した。私の中に秘められた本来の力を。」


「それが光の正体だというのか…。そういえばあの時…お前は涙を流していたな。あれと関係もあるのか…?」


「自分の心の中に弱い自分がいた。もう戦いたくない。死にたくない。このまますべて終わってもいいって思っていたどうしようもない自分。」


「…。」


「そんな弱い自分を殺す事に対する涙。そして私はようやく『モノ』にした。あの時の感覚をいつでもコントロールできるように…。」


「五十嵐さんと戦ったときと同じようにということか…?」


「ええ。あんたたち幹部とやり合えるほどの力。」


「何だと…?」


『星咲ティナ。能力を使え。』


ティナの背後から男の声がした。


「だれ?」


「俺は『ネクサス』のリーダー、ツカサだ。認めようお前の力を。今のお前なら幹部をやれるはずだ。」


「あなたがツカサ…。」


「そいつに止めをさせ。お前のその力を能力に変えるんだ。」


「ティナいけ!お前の勝ちは目の前だぞ!」


「ティナ…。」


「…。わかった。黒田、あんたのおかげで目覚めることが出来たよ。感謝している。だけど次は私が試す番だ。」


ティナの体からオーラが溢れ出た。一瞬光を放ち体に戻った。


「試すって…お前まさか…。」


「そう。そのまさか。どれだけの威力なのか私もわからない。でも安心して。死ぬのには変わりないから。」


(もう大丈夫。はっきりと意識がある。あの時みたいに無我夢中で戦っているわけではない。私自身が思った通りに動けている。)


(どれだけ骨折しているのかもわからない。もう2度と腕が使えない状態になっているかもしれない。だけど…やらなくちゃいけない。この程度で戦えなくなるようでは須藤どころか五十嵐にすら届かない。)


ティナは関節の動きを確かめ、ナイフを握りしめた。


「いくぞ黒田。終わらせよう。」


「片腕があれば十分だ。死ぬのはお前だ!」


ティナは走った。


黒田は鎖をティナに投げつけた。


「そんなもの、今の私にとってはただの糸と変わらない。」


ティナのオーラがナイフに宿り鎖を切り落とした。


「ば、馬鹿な…!なんて切れ味なんだ…。」


黒田の目の前に迫ったときだった。


「俺は負けない…!俺は幹部だ!!お前なんかに負けるわけがない!」


黒田もオーラを手に纏い、またティナを吹き飛ばそうと手を前に突き出したがその腕を切り落とした。


「ぐあああああっ!!」


「もう終わりだ黒田。これで止めだ。」


首をナイフで掻っ切った。


「俺が…負けるはずが…ない…こんな小娘に…。」


黒田のオーラが消滅し、倒れた。


「ようやく終わった…。1人残らず倒した。」


ティナは持っていた爆弾を取り出した。


「後は…これを爆破させるだけ…。」


「よくやった。星咲ティナ。見事な戦いだった。」


「ツカサ…。あなたには聞きたいことが山ほどある。」


「ああ。約束は守る。そいつを仕掛けてここを出るぞ。」


「…。」


ティナは爆弾を置き起動させた。


そしてミナたちとツカサと名乗る男が走る方向へとティナも逃げた。


ある程度逃げた所で基地は大爆発を起こした。


「ティナ…。大丈夫か?」


「腕の事?大丈夫に見える?」


「見えねぇな…。さっきカラスを使って『tears』のみんなに連絡しておいた。すっ飛んでくると思うぜ。」


「問題ないよな?ツカサ。」


「ああ。全く問題ない。『tears』を歓迎しよう。」


マナカが近づいて来た。


「ティナお前の力見せてもらった。私なんかが育てられる領域ではない。リーダーのいうとおりお前は凄い奴だ。」


「マナカ…。いいえ、あなたが私を幹部と引き合わせてくれたお陰で力を目覚めさせることが出来たんだ。」


「礼なら私よりリーダーに言うといい。私はリーダーの言う通りにしたまでだ。あの力なら本当に勝てるかもしれんな。」


「思っている以上に幹部は強い。そんなに甘くはない。」


「ああ。そうだろうな。だが、幹部の1人を倒したのは事実。今は誇っていいだろう。」


「そうだね。それは自分も実感している。」


「ティナ。腕を見せてみろ。」


ツカサが話しかけてきた。


「これはひどいな。痛みはないのか?」


「腕は物凄く痛い。それより指先はほとんど感覚がないし動かせない。」


「だろうな。腕がついてるのが不思議なぐらいの戦いだったからな。痛みまで取り除けないかもしれないが応急処置ぐらいならできる。」


するとツカサは私の腕に触れた。


ツカサはオーラを放ちティナの腕に注ぎ込んだ。


「手が動く…。」


「折れた骨の修復をした。これでとりあえずは動くだろう。」


「それがあなたの能力?」


「あくまで能力の一部ってとこだがな。」


「一部?ってことは他に何かできるってこと?」


「そういうことだ。俺の治癒はあくまでオマケ程度だと思ってくれていい。本来は君と同じで戦う方が得意だ。」


「じゃあ、あなたでもあの幹部とやり合えたんじゃないの?」


「それはどうだろうな…。1つ言えることはあの幹部とはやりにくい相手だったということだ。そこに君が現れたから賭けてみようと思ってな。」


「…。要するに私をいいように使ったってことね。」


「そう思われても仕方ないが、いずれは俺が倒すつもりでいたのは事実だ。だが、ティナを成長させるのには奴が一番適任だと思ったんだ。」


「まぁそのお陰で私は実際に成長できた。それに幹部の1人も倒せたし。ところでずっと私が戦っているのを見ていたんだね。」


「途中からだけどな。俺もどれほどのものか直接見たくなった。ティナの強さを。」


「私はあなたと交渉するためにきたのにまさか幹部と戦うことになるとは思わなかった。」


「いや、以前までの君とは会うつもりがなかったのは本当だ。俺が会うに値するだけの力を君は身に着けた。」


「じゃあ私が幹部と能力を使わずに戦うことで本来の力が目覚めるってことも初めから知っていたってこと?」


「予想の範囲だがな。あんなとこで負けるとはもちろん思っていなかった。本当に俺が知ってる星咲ティナならな。」


「さっきからあなたは私の事をよく知っているような口ぶりだけど、私たち初めて会うよね?」


「そうだな。君は知らなくとも俺は知っている。」


「え?」


「まぁそれは君の仲間がきてから我々の基地で話そう。それでいいかな?」


「…ええ。わかった。」


すると遠くから何台かのトラックがやってきた。


「ティナーーーー!!」


私は手を振った。


「大丈夫か?!すげえボロボロじゃねぇか。」


「うん。さっきまで幹部と戦っていたんだ。」


みんなは驚いていた。


「お前はいつも無茶ばかりするな…。幹部と戦っていたなんて…。連絡してくれたらすぐに駆けつけたものを…。」


「いや、これは私の戦いだったから。それにようやく本来の力を目覚めさせることが出来たんだ。」


「本来の力…?よくわからんが、いろいろ聞かせてもらうぞ。」


「仲間が到着したようだな。それじゃあ積もる話は我々の基地で話そうか。」


「誰だこいつは?」


「これが『ネクサス』のリーダー『ツカサ』だ。」


「こいつがそうなのか…。それで交渉は済んだのか?」


「いえ、まだ。私もさっき会ったばかりなんだ。」


「…。わかった。そこも踏まえて説明してもらうからな。」


「ええ。」


「ティナちゃん!怪我してる…。すぐ治すから!」


「ヒマリまで来てくれたんだ。ありがと。」


(この娘も治療できるのか。どこかで会ったことがあるような…。気のせいか?)


「よしじゃあ俺の後についてきてくれ。」


「わかった。」


「ティナ私が肩を貸す。」


「ありがと。ミナ。」


ティナはミナに肩を借り、車へと乗り込んだ。


【本来の力を自ら引き出したティナは組織の幹部である黒田を倒し、『ネクサス』のリーダーであるツカサと会うことが出来た。ティナのことを前から知っていたようなこの男は一体何者なのか。『tears』のメンバー達とも合流し、『ネクサス』の基地へと案内され向かう事となった。】

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