17話 空を支配する不死鳥
【『tears』は『フェニックス』のメンバーであるリクたちと別れ、愛知方面へと向かっていた。ここから先は敵の数が想像以上に増え進行も今までとは考えられないぐらい困難を極めていた。】
「もうここから愛知か。『フェニックス』の拠点があるということは国の連中と激しい戦いをしているということだ。」
「ええ。『フェニックス』のリーダーにまずは会おう。」
すると上空を戦闘機が飛んでいた。
「車を止めろ!」
私たちは車から降り、身を潜めた。
「戦闘機なんて初めてみた。」
「俺もだ。 今までの戦いとは違って空からも戦っているのか。」
「あれは俺たちの能力で落とすことは厳しいな。」
すると戦闘機は旋回を始めた。
「見つかったか?」
「いや、偵察しているだけだ。」
「ここから先、車での移動は厳しい。歩いて行くしかなさそうだ。」
そしてしゃがみながらそれぞれ距離を取り、ゆっくり歩いた。
突然、銃声が何発も響いた。
「この先で戦っているのか。」
セイジは双眼鏡で覗いた。
「国の軍隊か?あれは。 そしてそれに対抗しているのが赤いスカーフを付けた集団…。」
「『フェニックス』だ。今戦っているんだ。」
そして戦闘機は低飛行をはじめ、国の組織と思われる兵士に攻撃を仕掛けた。
「あの戦闘機が『フェニックス』だったのか。」
「まさか戦闘機を保有しているなんて…!」
「『フェニックス』は元々、国に仕える組織の人間が立ち上げたものだ。あれぐらい所持していても不思議ではない。」
「なるほどな。俺たちがここまで使ってきた車もやつらのものだ。奪って使っていてもおかしくはない。だが、自分たちが用意したものを逆に利用されているとはな。」
「戦争とはそういうものだ。殺し合い、そして奪い合う。組織の一部が裏切ったのは国としてもかなりダメージはでかいはずだ。」
私が想像していたより『フェニックス』は段違いで規模の大きい組織だった。この組織をまとめる人物がこの町にいる。仲間としてみるならこれほど心強いものはない。だけど国を作るという目的の上では敵にもなりえる。
「俺たちも加勢に行くか?」
「そうね。ただ、向こうが私たちを『tears』と認識しているか、わからない以上攻撃はしてくるはず。」
「それを踏まえた上で行動する。」
「そうだな。この人数で一気に攻めるのは賢くない。どうする?ティナ。」
「…。私1人で行く。」
「おいそれは、無茶だ。」
「みんなで突っ込んで戦闘機に撃たれる方がリスクが高い。 私一人なら最小限に辿り着ける。」
「…。わかった。ティナがそういうならそれでいこう。」
「ええ。『フェニックス』は『tears』を味方と認知していた。 だから私は『フェニックス』の部隊と合流し、『tears』が来たことを伝える。私が合図を出したらみんなも援護して。」
「了解だ。」
「ティナちゃん気を付けてね。」
「ティナ。万が一の時は合図を待たずに乗り込むからな。」
「そうならないように完璧にやる。」
レンはグッドサインを出した。
「よし、行ってくる。」
戦闘機を視界に入れつつ身を隠しながら少しずつ進む。
そして戦闘地帯に入った。
すると目の前に組織の人間が銃を構え立っていた。
「くそっ!あの戦闘機が邪魔で進行ができん。」
「『フェニックス』の連中こんなに武装しているとは。やはり応援を呼んだ方がいいかもしれんな。」
私は背後に回り口を押さえナイフで息の根を止めた。
「仲間がやられた! 『フェニックス』のやつか?!」
「ちっばれたか!」
私は銃弾をかわしながら路地に身を潜めた。
「能力を使うしかない。」
手にオーラを纏った。
そして路地からでた。
「いたぞ! 撃て!」
私は踏み込み1人ずつ的確に倒していった。
その戦闘に気付いたのか、戦闘機はこちらに旋回し、銃を撃ってきた。
(やはり敵と見なされたか。あれをまともにうけたら間違いなく死ぬ。)
息を切らしながら障害物に隠れ移動した。
「組織の連中と戦いながら1人で進むのは流石にきつい。 そしてあの戦闘機。あれが一番厄介だ。」
そして銃声がこの先で激しく鳴り響いていた。
「いた。 『フェニックス』の部隊だ。」
まさに交戦している場所に到達した。
そして私はそこまで全力で走った。
武装した兵士たちが一斉に銃を向けてきた。
私は手をあげ名乗り出た。
「『tears』のティナだ。敵ではない。助けに来たんだ。」
すると1人の女が命令した。
「銃を降ろせ!」
一斉に兵士たちは銃を降ろした。
「よく来てくれた。 だが今は交戦中だ。 話はこの戦いが終わった後にでも話そう。今は協力してくれ。」
「わかった。協力する。仲間も近くにきている。戦闘機に仲間を撃たないように伝えてほしい。」
女はうなずいた。
そしてその女はトランシーバーを取り出し、伝達した。
「『tears』の加勢だ。目標を間違えるな。」
「了解。」
「これで大丈夫だ。よしティナいくぞ。」
私は仲間たちに合図を送った。
突撃の命令を。
「ティナからの合図だ! 俺たちも乗り込むぞ。」
「『tears』前進だ!」
さっきまでティナを撃ってきていた戦闘機は組織だけを的に絞った。
味方になると一気に安心感が増した。
そしてティナたちが戦ってる戦場にミナたちも合流した。
「ティナ、援護する。」
「お願い。」
さっきよりも激しい銃撃戦が繰り広げられた。
レンたちは三重での戦いで身につけた能力を使っていた。
影がティナの前を横切った。
(レンの影…?こんな動き始めてみた。)
トオルが敵に囲まれたが竜巻を起こしたように吹き飛ばし、それをイオリが雷を手に纏わせ感電させていった。
(なに…この2人の力は…)
私とミナのようにオーラを纏い新しい能力を身に着けていた。
「そうか。ミオが覚醒したときのように三重での戦いでみんな成長したんだ。」
そして背後からロケットランチャーが撃ち込まれた。
「ティナあぶねぇ!」
「くっ 避けられない…。」
「心配ない。ティナ。」
「ダイキ?!」
「私は自分のオーラではないオーラを纏っていた。」
「これは…なに?!」
「守りの能力をお前と共有した。」
「私にダイキの能力が…?」
「ああ。『tears』を守る力だ。」
「この短期間でこれほどまでの力をみんな手に入れていたなんて…。」
「今のおれたちは前までの俺たちではない。 だから安心して背中を預けろ。」
「…。これなら安心して戦える。」
「ミナ私たちも負けていられない。能力全開で挑もう。」
「ええ。いくよティナ。」
-その時 2人の男女が名古屋のある場所で話していた。
「『tears』が愛知に辿り着いたということは三重も制圧されたということか。ユウマもやられたと見ていい。」
「あの蜘蛛の巣を攻略するとは運だけでここまで来たってわけではなさそうだね。」
「地上での戦いに限ってはあいつらはかなり強い。だが空からならどうだ?」
「空ねぇ。まさか町ごと爆撃するつもり?」
「国の上層部はあいつらの死を一番に望んでいる。そのためなら1つや2つの町ぐらい問題ない。お前の能力と俺の能力であいつらを爆死させてやる。」
「…。わかった。 ただ『フェニックス』は空の戦いを得意としている。『tears』と組んで戦っているなら絶対に空からでも対抗してくるはず。」
「問題ない。 そっちの方がお前の能力が生きる。空に引き込んでそのまま墜落だ。」
「わかった。明日の早朝に仕掛けよう。」
「ああ。しっかり休んでおけよ。」
「『tearsとフェニックス』め。お前らの最後は【爆死】だ。痛いと感じる前にあの世へ送ってやる。』
-そして戦いは何時間も続いていた。
民兵の数より組織の方が圧倒的に多かった。 大都市の1つなだけあって組織側の勢力は半端ではなかった。
私たちは今回の戦いでは流石に軽傷ではすまない状況だった。
「はぁ…はぁ…」
能力を最大限に使っていたとはいえかなりボロボロな状態だった。
「なんとかやつらを撃退することができたようだ。」
「手を貸そうか?」
「いや大丈夫。1人で立てる。」
「そうか。 我々の基地に案内する。『tears』。」
「あんたが『フェニックス』のリーダーではないの?」
「私は『フェニックス』の軍の隊長『アカネ』だ。」
「隊長…。 じゃあリクもその1人?」
「リクに会ったか。あいつも『フェニックス』の隊長だ。我々はいくつかの部隊を持っている。リクは三重と滋賀に戦いに行ったが既に滋賀はお前たち『tears』が制圧していた。そしてお前たちがここまでたどり着いたということは三重も制圧出来たということだな?」
「ええ。リクは今、三重での様子を確認したあとで合流するって。」
「そうか。いろいろと助かった。」
「車両を用意している。これに乗ってくれ。」
私たちは車に乗り込み、基地まで案内された。
「あそこを見ろ。」
横を見ると柵が張り巡らされており、元々あそこに大勢の人が住んでいたとは思えないぐらい破壊されつくされ異様な雰囲気を出していた。
「あっちは名古屋城がある方か。」
「あっち側はすべて敵の拠点だ。なんとか一部は制圧したが、規模がでかい。それに敵の数も尋常じゃないからなかなか踏み込めないでいる。」
「踏み込もうとはしたの?」
「2、3回試みたが、戦闘機も撃ち落され多くの兵が死んだ。それ以来はこっちからは仕掛けず防衛に力を入れている。」
「さっきの戦いがそうか。」
「そうだ。だが、さっきの戦いで分かったと思うが、守るにしてもかなりきつくなってきている。」
「そこで『tears』を引き入れることで勝算を上げようとリーダーは提案した。」
「ただ三重を制圧するだけではなかったわけね。」
「うむ。今の我々は少しでも仲間が欲しい。戦力の差は歴然だ。 民兵だけならなんとでもなるが、東京に次いで組織の勢力が名古屋には集中している。もしここを落とすことが出来れば東京の戦力も目に見えるぐらい落ちるはずだ。」
「戦力で見れば勝てる確率はほぼ0に近い戦いだ。今までなんとか戦ってはこれたが、さっきの戦いで相手の戦力を1%程度しか削れていないと言うのは絶望そのものだ。」
「おい、トオルそんなことわかってんだよ。それでも戦うって決めたんだろ。」
「トオルの言う通り、絶望そのもの。さっきの戦いであれだけ本気を出したのに勝ちが見えなかった。滋賀、三重で勝てたのはある意味、奇跡だったのかもしれない。」
「ティナ!お前までなんてこと言うんだ!俺はお前を信じ、『tears』とここまで戦ってきたんだ!今更だから降参しますってか?納得いかねぇ。」
「そうじゃない。勝ちが見えなかったのは民兵と組織が組んだ上での話。今までの戦いは国に無理矢理虐げられていた人たちが国を裏切り私たちについてきてくれたからこそ勝てた戦いばかりだった。」
「実際は政府のやり方に反対してる人の方が多いということ。だから組織さえ潰せば勝機は十分にある。」
「そうだな。今までの戦いでも組織を落とせば市民たちはこっち側についてきた。ほとんどの国民が政府のやり方に納得などしていない。」
「これまで勇敢に戦い死んでいった仲間たちの思いを背負ってるからこそ絶対に諦められない戦いなんだ。」
「ティナの言うように組織を落とせば我々には勝機は間違いなくある。 だがその組織の連中がかなり厄介だ。 お前たちが戦ってきた組織のやつらは恐らくほとんどが下級の連中だろう。」
今まで黙っていたセイジが口を開いた。
「そのとおりだ。俺も元々は組織のメンバーだったが、かなり下の方。ここ愛知はかなり上の位に属している組織たちだ。能力を抜きにしても素で強い奴らばかり。さっき戦ってわかったと思うが接近戦においても戦闘能力が高い。それを1万…いや2万近くを相手にすると考えたらどうだ?」
「…。」
「今、生きてるのは能力があったからこそだと思った方がいい。まぁ俺はだからと言って逃げ出すつもりは更々ないがな。『tears』に命をかけると決めたからだ。」
「それはここにいるみんなも同じ。覚悟はもう決まっている。だからこそもっと力をつけなくてはいけない。」
「力も大事だが、指導者の正しい判断を求められる戦いでもある。それをリーダーに会えば答えが見つかるだろう。」
「…。わかった。会ったら聞いてみるよ。」
(私は『tears』の指導者として不十分ということ…?いやそんなはずはない。 今までもうまくやってこられた。やってこられた気になってるだけ…? わからない。)
「見えてきたぞ。あそこが我々の基地だ。」
そこには戦闘機、戦車などの戦争に使われる乗り物が一面に並んでいた。
(すごい戦闘機の数だ。『フェニックス』…。本来は空を得意としているのか。)
「そしてあそこがリーダーがいる建物だ。」
部隊の帰りを迎えるように一斉に兵士が敬礼をした。
「まじで軍隊って感じだな。」
「『フェニックス』は大体どれくらいの規模なの?」
「全国に散らばっている数を合わせれば1000万といったところだ。」
「確かにかなりの数だ。」
「数でみるなら多く見えるがそのほとんどが戦えない人たちだ。」
(それもそうか。私たちが戦ってきたのも一部の民兵たちだった。 ほとんどが戦えず無理矢理駆り出されたような人たち。)
「戦えない人達も戦場に送り込んでいるの?」
「そんなはずがない。戦えない人たちはしっかり移住区を設け普通の生活をしてもらっている。 とはいえ、こんな状況では普通の生活なんて出来たもんじゃないがな。」
「それはそうだね。」
(今わかっていることは『フェニックス』と私たち『tears』は同じ考えで戦っている組織で、やり方も一緒ということ。決して無理強いはせず、戦う意思がある人だけを戦わせている。)
「よし着いたぞ。」
「この中にリーダーがいる。」
「私たちはようやく『フェニックス』のリーダーと対面することができる。 一体どんな人物なんだろうか。 私たちは導かれるように建物へと入った。
【無事、愛知入りを果たしたティナたち『tears』はすぐに国の組織と『フェニックス』の戦いに巻き込まれた。そこで『フェニックス』の部隊長『アカネ』と出会い、協力して組織と戦うことになった。そして『フェニックス』の基地に案内されたティナたちはいよいよ『フェニックス』のリーダーと顔を合わせる事となる。】




