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魔法使いと繋がる世界EP3~Clover destiny & World end archive~  作者: shiori


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第十七話「終点の先なんて在りはしないなら」4

「唯花先輩、そういえばですね、こんなものを店長からもらいまして」


 二人で仕事を終わらせた後、ティータイムに入った私と舞はダージリンの薫りに疲れを癒してもらいながら、話しをしていた。


 いつも通りテンション高めに舞が私に見せたものは、一本の古びた鍵だった。年季が入ってると一目でわかるほどに錆び付いているのが分かった。


「鍵? 一体どこの」


 私がすぐさまそう聞くと、興味を持ってくれたと思ったのか、舞の表情がさらに明るくなった。どこの鍵かくらい鍵に書いてほしいものだが、秘密にしたい事情があったのかもしれないと思った。


「旧校舎の地下へと続くカギだそうです。

 唯花先輩は知ってますよね、学園の七不思議のひとつ」


 オフィスチェアーに座りながら足を組んで、探偵がするようなポーズを取りながら舞は自慢げに言った。

 ”ファミリア”の制服はスカートが短いから、既に下着が丸見えなのだが、舞は私の前ではそんなこと気にもしない、もうちょっと気にして欲しい……。


「学園の七不思議ね……確かにそういうので地下があるらしいって話は聞いたことあるわね」


 白い下着に気を取られながら、私は努めて冷静に答えた。


「ということで、先輩! 一緒に行きましょう!」


 やっぱりという感じではあるが、舞は私にホラースポットへの探索を提案してきた。


「え?! もしかして二人で?! それはさすがに危ないし怖いから嫌よ」


 舞と二人きりなんて危ない、私はこれまでの日々を苦々しく思い出しながら言った。だって、舞と二人きりで苦労させられるのは私の方だと目に見えている。


 店長も何でこんな物を舞に預けたのか……ただただ疑問が残った。


「そうですか……それなら八重塚さんを誘って、一緒に来てもらいましょうか。

 元副会長ですからね、きっと地下があるらしい旧校舎についても詳しく知っていることでしょう」


「まぁ……それなら。羽月さんの同行が決まれば三人でいこっか」


 羽月さんはしっかりしてるから、信頼できる保護者になってくれることだろう。舞が頼りない以上、そう期待せずにはいられない。


「はい! 女子校生三人で夜の旧校舎を探検! これは滾りますね!!」


 舞の発想だと薄い同人誌が仕上がってしまいそうだが、私は怖い話にならず無事にこのミッションを何事もなく終えたいと思った。確かに、本当に旧校舎に秘密の地下があるというならちょっと興味が沸くから。


「それで、店長は何か言ってないの? 店長がこんな物を持ってる経緯とかあるでしょ? 学園を探検するなら、少しは情報が欲しいわよ」


「それはですね……」


 舞の話しによれば、店長が凛翔学園に在籍していた頃、先輩が卒業する際に預かったものらしい……随分と昔の話しだと分かる。

 詳しい事情は物静かな店長だから答えてくれなかったそうだが、店長は結局自身が卒業するまで秘密を知るのが怖くて地下へ降りることはなかったそうだ。


 それで地下に降りてみて分かったことがあれば教えて欲しいと託されたそうだ。話しを聞くと本当にちょっと怖くなってきた。


「本当に地下に何があるんでしょうね……噂では厄災の時に避難するために使われた地下シェルターがあって、今でもそこに死体がゴロゴロ転がってるって話ですけど……」


「さすがに、死体は全部回収してくれてると思うけど……。

 行きたくない気持ちも分かるわね」


 幽霊が出そうな噂……普通の女子校生ならこの時点で一緒に行くのはNOを突き付けることだろう。

 地下への興味と恐怖心、どちらも頭の中にありながら、一度ここでこの話は終わり、羽月さんへの交渉の結果を待つことになった。


 私は久々に訪れた”ファミリア”での時間を充実した気持ちで過ごし、また明日から学園生活へと戻っていくのだった。



 ―――そして、この日から一週間が経過した日。


 私が所属するアイドル事務所から天海聖華のグループを脱退して単独での活動再開、復活ライブの告知が行われた。


 私は”天海聖華”として、ビデオメッセージをファンのみんなに向けて届け、体調も良くなり、万全であることをアピールし、これからも応援してくれることを頭を下げてお願いするのだった。


 決意を新たに少しずつ歩み始めることを再開した私、コアなファンの一部は私がかつてバーチャルシンガー”minori”として活動していたことにとっくに気付いている。

 そのことがあって一度休止をしても、ソロでの活動を許してもらえているのだと思う。私はそれらを受け止めて、必要としてくれている内に頑張らなければと意識を強く持つようにしている。


 ライブの準備に追われる日々と共に、グループを脱退して単独での活動を始めることで、グループのメンバーにも禍根を残す中、妙な憶測や噂には負けないようにと、私は自分にとって一番自信がある歌を届けようと奮闘を始めるのだった。

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