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人との繋がりを信じた旅人  作者: ペンぎんさん


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2/16

日常とクラスメイト



 


 あの担任との会話から一夜明けた。


 昨日まで降っていた雨はすっかり止み、空には雲一つない青空が広がっている。


 俺は窓際の席に座り、休み時間をぼんやりと過ごしていた。


 窓の外を見る。


 青い空。


 流れる風。


 何も考えずにいられるこの時間は嫌いじゃなかった。


 そんな時だった。


 教室の中が急に騒がしくなる。


 視線を向けると、クラスメイト達がたわいもない話で盛り上がっていた。


 笑い声。


 馬鹿みたいな会話。


 くだらないやり取り。


 それでも皆楽しそうだった。


「あれが、普通の中学三年なんだな……」


 気付けばそんな言葉が口から漏れていた。


 慌てて口を閉じ、視線を逸らす。


 そしていつものようにうつむいた。


 その瞬間だった。


「っ!」


 横から衝撃が走り、俺は壁に押し付けられるように倒れた。


「ご、ごめん!」


 顔を上げると、クラスメイトが気まずそうな表情で立っていた。


「新井くんだっけ? 本当にごめん! 見てなかった!」


 慌てて謝ってくる。


「だ、大丈夫だよ」


 俺はそう答えた。


 本当は少し痛かった。


 けれど顔には出さない。


 そのまま席に座り直し、うつむく。


 すると少し離れた場所から声が聞こえた。


「新井って何か感じ悪いよな」


「馬鹿、聞こえるだろ」


 そう言ったクラスメイト達がこちらを見る。


 俺は目を逸らし、何も聞こえなかったふりをした。


 そして静かに次の授業の準備を始めた。


 授業が始まった。


 内容は、いじめについてだった。


 映像が流れる。


 教師の説明が聞こえる。


 だが、俺の意識は別の場所にあった。


 胸の奥がざわつく。


 吐き気がする。


 呼吸が苦しい。


 頭の中に嫌な記憶が浮かび始める。


(やばい……)


 俺は席を立った。


 とにかくこの場から離れたかった。


 だが――。


「新井! 何勝手に出歩いてるんだ!!」


 教師の怒声が教室に響いた。


 その瞬間。


 俺の頭の中で何かが弾けた。


 怒鳴り声。


 恐怖。


 嫌な記憶。


 過去の光景が次々と蘇る。


 視界が揺れた。


 そして俺の意識は暗闇に沈んだ。


 気が付くと知らない天井が見えた。


「ここは……」


 数秒考える。


 そして思い出した。


「あぁ……俺、あれから……」


 どうやら気絶していたらしい。


 ゆっくりと体を起こす。


「何時間経ったんだろ」


 そう呟いた瞬間だった。


「今は五時限目だぞ~」


 聞き覚えのある腑抜けた声が聞こえた。


「良かったな。授業中に目が覚めて」


 横を見る。


 そこには担任が椅子に座っていた。


「……何であんたがいるんだ?」


 少し警戒した声で尋ねる。


 担任は肩をすくめた。


「だって俺、夏の担任だし」


 そして笑う。


「見守る責任くらいあるだろ?」


「またそれかよ」


 俺はため息を吐いた。


「何度も言うけど、俺に関わるなって――」


 そう言いかけた時だった。


 担任が俺の言葉を遮る。


「あとさ」


 その声はいつもより少しだけ真面目だった。


「夏の昔のことを少し聞いてな」


 その瞬間、体が固まった。


 表情が強張る。


「……今、なんて?」


第二話 終

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