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人との繋がりを信じた旅人  作者: ペンぎんさん


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13/16

昔と今



担任との話を終えた夏は家へと帰ってきた。




「ただいま~……って、まだ誰も帰って来てないよな。母さんも今日帰って来るんだっけ」




独り言を呟きながらスマホを見ると、一本の留守電が入っていた。




送り主は響。




嫌な胸騒ぎを覚えながら再生すると、そこから聞こえてきたのは怯えきった響の声だった。




『なーちゃん! 来ないで!』




続いて大きな物音。




そして聞き覚えのある女の声。




『あー、なーくん久しぶり? なーくんは私の事忘れてるだろうけど……まあそれは良いや』




響の悲鳴が響く。




『今から言う住所に来てね? 楽しい事が待ってるから』




住所を告げると留守電は切れた。




夏は静かに立ち上がる。




「……助けないと」




スマホを握りしめ、家を飛び出した。




---




その頃。




廃墟の一室で響はロープに縛られ、頭から血を流していた。




目の前に立つ少女、その少女は狂気を孕んだ笑みを浮かべる。




「ひーちゃんも私の事忘れてるんだ? 五年ぶりだもんね」




響の髪を掴み上げながら少女は言う。




「あんたは邪魔。なーくんの隣にいるのは私なんだから」




「なーちゃんを……これ以上苦しめないでよ」




響が睨み返す。




しかし少女は楽しそうに笑った。




「だって苦しんでるなーくん、最高じゃん?」




そして吐き出すように叫ぶ。




「弱ってるなーくんを小五の時、私が抱き締めるはずだった! 睦月を犠牲にしてまで準備したのに! なのにあんたが全部邪魔した!」




怒りのまま響を蹴り飛ばす。




「なーちゃんはもう絶望なんてしない!」




響は涙を浮かべながら叫ぶ。




だが少女は笑った。




「そう? じゃあ昔のなーくんに戻すだけだよ」




さらに奥から数人の男達が現れる。




「へぇ、顔良いじゃん。こいつで遊んで良いんだろ?」




男の言葉に少女は首を横に振った。




「ダーメ。まだお客さんが来てないでしょ?」




---




一方、夏は学校へ駆け戻っていた。




「先生!!」




個室へ飛び込み、担任を呼ぶ。




「ん? どうした夏――」




先生は夏の顔を見るなり表情を変えた。




「何かあったな?」




「時間が無いんだ。お願いです、助けて下さい」




夏が頭を下げようとした瞬間。




「住所は?」




先生は迷う事なく鍵を手に取った。




「先生……良いんですか?」




「時間が無いんだろ。早く行くぞ」




その一言だけだった。




---




先生の車で現場へ向かう途中、夏は事情を全て話した。




「解った。飛ばすぞ。捕まっとけよ!」




そう言った直後、車は猛スピードで走り出す。




「ちょっ!? 先生!?」




夏は慌ててシートベルトを握り締めた。




---




そして二人は廃墟へ到着する。




「先生」




「ん?」




「何も言わず付いて来てくれてありがとうございます」




すると先生は笑った。




「別に良いよ。だって夏は俺の生徒だしな!」




夏も思わず笑う。




ふと気になって尋ねた。




「そういえば先生が電話してた人達って?」




「あー、マブダチ」




「マブダチ?」




「最高の友達みたいなもんだ」




「何か良いっすね」




「だろ?」




そう言った直後、建物の前に取り巻き達が姿を現した。




先生は肩を回しながら前へ出る。




「ここは俺に任せて行ってこい」




「でも――」




「大事な人が危ないんだろ?」




先生は笑う。




「なーに。先生これでも強いんだから」




夏は深く頭を下げた。




「解りました。お願いします」




そう言って廃墟の中へ走り出す。




先生はその背中を見送りながら笑った。




「さーて、生徒も居なくなった事だし……アイツらが来るまで持つかな?」




そう呟くと、取り巻き達へ向かって駆け出した。




戦いの幕が、上がろうとしていた。




――第13話 終

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