悪い顔
イチャつく……とは……?
という疑問を刹那に……直ぐ様、察する。
息を飲むような金髪美人(副団長)(海に入るような軽装)と、殆ど密着した状態。更に顔と顔が触れそうな近さで耳打ちをされたばかり……傍から見て、【イチャついている】と思われても仕方がない。
「ーーいや!違うんじゃ!ワシは助けに行こうとしていてじゃな!〈交渉〉を!ーー」(ワシなんでこんな浮気現場見られたみたいになっとるんじゃ!何なんじゃさっきから!ワシ悪ぅないのにっ!)
変な汗が出るわ出るわのご老体。
「………………」
黙って睨むメリー。
それはそうと……老体の胸元にずっと手を置いて離れないガウニィ。視線を送る……すると、メリーに方をみ向いていたガウニィはこちらの視線に気付いて老体と目が合う。
「………………」(ニヤァ……)
無言で老体を見つめるや否や、凄く悪い顔をしてニヤけるガウニィ……。
「…………ふ……副団長さん?」(嫌な予感がする……凄く……ものすごく……)
「あらあら……そうでしたわね、〈交渉〉……そう……〈交渉〉でしたわね。では私と〈交渉〉の続きをしましょうか?ねぇ?お肉屋さん」
言葉は問題ない……問題ないが、何とも〈甘い声〉で〈至近距離〉で老体の身体を〈撫で回し〉なが言うから……良くないっ!!
誤解しか生まない!!
「ーーちょ!ーーやっ!そんな風に言うたら余計に誤解をーー」
「ーーへぇええええっっ!?〈交渉〉してたのぉおおお?イズとダンキュリーさんも居るこの部屋で【何の】〈交渉〉でしょうねぇええええ!!!!????ーー」
メリーが大きい声を上げながらゆっくり近づいて来る。
「ーーいや!違っ!!いや……2人がおるからこそ〈交渉〉をじゃな!あーー……!えっとじゃな!!落ち着いてくれんかメリー!!あのーー……」(いかん!いかん!絶対に説明せんといかん部分が抜けとる!テンパってしまって選ぶ言葉を間違えとるし!いかん!これは、いかん!……いかんぞぅ!……)
老体の変な汗が加速する。
その傍らでガウニィは老体とメリーから顔を逸らし、片手をグーにして口元に添え、肩をプルプルと震わせている。
「…………ーークッ……フフ……フ……!!」
(こやつ……笑っとる……)
ガウニィは満足したのか、やっと老体から離れる。それと入れ替わるようにゼロ距離でメリーが老体に迫る。
「ーーアタシらが特級と必死に戦ってる最中に!!アンタってやつは!ホントに男って奴は!!ーーこのっ!このっ!!こぉんのっ!!ーー」
「ーーっ!ぃ痛だだだだ!や!やめんかメリー……ーー」
メリーは老体の足のスネの硬い部分を蹴ったり、魔導杖でコツンと殴るのを繰り返した。
「あっ!あっ!そうじゃ!」
ふと思い出す老体。
「何よ!?」
「ワシら、勢い余って【黒豹蛇】を倒してしまったんじゃ……」(正確には副団長さん1人で、じゃがのう)
「ーーだから何よっ!?」
「そ、そのせいで特級モンスター【水妖妃】は途中で逃げてしまったからメリーはこんなに早く宿に帰ってこれたんじゃろ?まあ何にせよ無事で何よりじゃーー」
「ーーはぁああ?何言ってんのよ!ーー」
食い気味に老体の言葉を遮るメリーは腕を組んで呆れた顔をする。
「倒したわよ」
「は?」




