↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二千年のルミシャ  作者: 河野広明
第二章
PR
48/55

第四十八話 手の届く枝

ネルフィ

今年も、誕生日が来た。

何回目だろう。 もう、かぞえていない。

 

丘が遠くなった。

足が言うことをきかなくて、何度も休んだ。

杖をついて、すこしずつ。

んふふ。 こんなに遠かったかな、この丘。

 

木は大きくなった。

見上げても、てっぺんが分からない。

あの日、指くらいだったのに。

 

いちばん高いところに結ぶ――とは、もういかない。

手の届くところで、せいいっぱい。

 

ふるえる手で、ゆっくり書いた。

『ルミシャ、誕生日おめでとう。 ちゃんと、おばあさんになったよ。 会いたかった。』

 

最後に、封印をかけた。

この紙が、朽ちないように。 雨にも、風にも、長い時間にも、負けないように。

世界を救えるくらいの魔法を。

友だちのメモが、消えないためだけに使う。

んふふ。 こんな使い方、だれもしないね。

でも、これがいちばん、だいじだから。

 

いつ来るのかは、わからない。

でも、あなたはきっと来る。

そのとき、ぜんぶ朽ちてたら、いやだったの。

ちゃんと、届くように。

 

ねえ、ルミシャ。

おばあさんになって、待ってたよ。

約束、まもったよ。

 

うん。

これで、いい。

 

これで、いいの。

 

……でも。

 

やっぱり、会いたいよぉ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。