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第四十六話 ふるえる手
ネルフィ
ずいぶん歳をとった。
手が思うように動かない。 字もむかしみたいにきれいに書けない。
んふふ。 おばあちゃんだ、もう。
ねえ、ルミシャ。
わたし、すごい魔法使いになったんだよ。 みんなが祖だ、祖だって。
でも、いちばんやりたかったことはできなかった。
あなたを迎えに行くこと。
このごろ、よく考えるの。
あなたが帰ってくるのはいつだろうって。
十年後? 百年後?
わたしはもういないね。 そのころには。
だから、ぜんぶ書いておくことにした。
庭の底へのいき方。 こぼれた時間のすくい方。
あなたが帰ってきて、ひとりでも困らないように。
ぜんぶ、あの木に。
あなたと植えた木に結んでおく。
きっと、あそこに来るでしょう。 おおきくなった木を見上げるでしょう。
そしたら、気づいてくれる。
ぜんぶ、あなたのために遺したって。
会えないのはさびしいけど。
んふふ。 やっぱり、ちょっとさびしいな。
誕生日にまた丘へのぼった。
ゆっくり、ゆっくり。
『ルミシャ、誕生日おめでとう。 あなたが来るころ、わたしはもういない。 それでも、会いたい。』
それでも、ね。
会いたい。




