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第四十二話 むずかしい本
ネルフィ
それから、わたしは庭を探しはじめた。
ルミシャが落ちたあの裂け目の向こう。 時の層が幾重にも重なっている場所。
そこにあの子がいる。
ぜったいにいる。
本をいっぱい読んだ。
むずかしくて、なんども同じところで止まった。 わたし、あんまり頭よくないのに。
でも、ルミシャのことだから。 やるしかないでしょ。
ねえ、ルミシャ。
今ね、すごくむずかしい封印を組んでるんだよ。
だれもやったことないやつ。 わたし、ちょっとすごいでしょ。
ごはんはわすれちゃう。 ねむるのもわすれちゃう。
「また食べてないでしょ」って、だれも言わないから。
そうやって何年か過ぎて。
あるとき、わかったの。
庭のいちばん底にこぼれた時間が溜まってる。
落としたものを戻せるくらい。
ルミシャ。
戻せるかもしれない。 あの子をこっちに。
すぐにでも丘へ行きたかった。 あの子に教えてあげたくて。
いないのに。
誕生日に丘へのぼった。
新しい一枚に書いた。
『ルミシャ、誕生日おめでとう。 今年こそ、迎えに行くから。 会いたい。』
今年こそ、ね。 ぜったい迎えに行くから。




