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カースドウェスタン  作者: フライング豚肉
十字架にかかるモノ
8/10

線引きのキース

山の廃坑、そこに男がいた。

その目の前には四つの骸。

どれも額に三つ目の眼窩を開けられ、伏している。


「……野郎、どこの間抜けだ…!?」


男の顔には鼻を切るように一直線の傷跡。

『線引きのキース』と呼ばれる賞金首だ。

怒りを堪える様に呟き、廃坑の中から手下と思しき男が現れる。


「ダメだ、お頭。ガキがいやせん」

「クソ、あいつは納入用の商品だってぇのに…」


ハドゥーンの少女は既にジョギーに保護され、ここには居ない。

人身売買を行う一団を率いるキースは四つの骸を見て言う。


「こりゃ三つ目職人の仕業だな。ライフルを持っちゃいるが薬莢がねぇ、一息に全員撃たれてる」

「四人同時に始末したってんですかい?」

「多分な。そして綺麗にどたまブチ抜く腕前はあのクソ以外考えられねぇ」


そして街の方角より馬で駆けて来た男が慌てて叫んだ。


「お頭ぁ、三つ目職人だ!ガモンをやりに行った奴等が全員やられちまってる!三つ目職人がやりやがった!」

「チッ、やっぱりかよ」


キースはざりと歯を噛む。


「ハドゥーンのガキは居たか?」

「居た!マズいぜお頭!旦那にどやされちまう!」


そしてその言葉にキースは舌打ち一つ。


「旦那の方は俺が何とかする。それより先に三つ目職人のねぐらを探せ!俺たちの商売を邪魔するならブッ殺してやる!」


そして男達は再び街に向かった。

残されたキースはぎらりと廃坑を睨んでいた。


「野郎……よりによってこの街に来やがるたぁな。ここにお前の墓を作ってやるぜ」


がちりとレバーアクションを起こすキース。

その凄絶な殺意は今やジョギーに注がれていた。

と、その背後、身形の良い男が言う。


「オークションは近い。早目に用意をと旦那様が言っておられる。なるべく無傷で手に入れる様に」

「分かってんだよ。銀のおしゃぶりでも口に突っ込んでそこに突っ立ってろ」


ライフルを肩に置いて振り向きながら凄むが男は怯まない。


「立場を弁えろ。お前達が政府に狙われない理由を考えた事はあるか?」

「ハッ、コキやがる。口だけ保護でやってるこた北も南も変わらねーのによ、そんなにハドゥーンってな可愛いのか?どいつもこいつも、ヤってもそこらの売女と変わりねぇってのにな」

「無知とは悲し」


と、言葉半ばに男の目に穴が開いて後頭部から脳漿が飛び散った。

どちゃりと伏した男を前に片手でレバーアクションをするキース。


「おやおや、狩猟の流れ弾が飛んで来ちまったみてぇだ。おい、埋めとけ」

「うす」


そして配下の男達がそれを引きずって林の中に消え、残されたキースは煙草を噴かす。


(ここらが潮時だな。もっと他の客探して南に行くか。そしてその前に……)


その口の端は吊り上がった。


(盛大なお別れパーティやってやるよ、旦那)

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