246.メルキュア爆沈!
意図的に科学技術の発達を制限しているガノアでは、かつて滅びた文明の轍を踏まないようにということで、軍備もギルドが大半を担っていたので、警備的業務も国家に成り代わっておこなっていた。
ギルド外洋警備隊は国家による海洋利権を理由にした専横を許さないための組織であり、海洋の大半を掌握していた。その組織に所属するメルキュアは就航後500年経過した超老朽船だった。
そんな超老朽船であっても活動できるのは「忌の海」に出没する海賊も違法操業の漁船も存在しないからだ。だから船長以外が搭乗しなくても監視業務はこなせたからだ。
メイファンとアサミ、タクヤが青銅の塔に向った後、メルキュアは沖合で待機していた。この忌の海で監視するものといえば塔以外になかったからだ。だから周辺海域を航行して近づく者がいないのかを見ておけばよかった。
塔に上陸しようというものは、”死の女王”の隠された財宝があるとの伝説を信じてやってくる冒険家気取りの魔導士ぐらいであるが、こんな海の果てにあるような海域にやってくるのは余程の経済的余裕があるものがたたの愚者しかいなかった。
そもそも、青銅の塔はギルド外洋警備隊が発足する前に残存部分や海中に没した瓦礫の中から略奪されたといわれており、あとは取り除くのも困難な瓦礫に埋まっているのもしか残されていないとされていた。だから盗掘者など来るはずもなかった。
メルキュアの船長は巡視船の魔道力を応用した自動稼働人形にすべてを託し読書に耽っていた。ここでの任務はいつも暇でしかたなかった。そんな時に大きな警報音が艦橋に響き渡った。遠くから魚雷が近づいてきたからだ。
ただちにメルキュアは回避行動を取り回避しようとした。しかし、魚雷は何本も近づいてくるので能力を超える回避行動をしているうちに老朽化したメルキュアの竜骨に深刻な亀裂が入ってしまった。
「船長、すぐに退避してください。次に魚雷を受けたらよけれません。この船の装備ではいずれにしてもダメです!」
メルキュアの船の意志を具象化した人形はそういって最期だと伝えた。その次の瞬間、いくつもの魚雷を受けたメルキュアは大爆発し忌の海に沈んでいった。




