閑話 後編 ウワバミンジャーの戦い!!!
≪情熱の炎は誰にも消せえない!!
燃える熱血闘魂、ウワバミンレッド!≫
≪冷静なる思考でクールに決める!!
沈着冷静目的達成、ウワバミンブルー!≫
≪幸せはいつもあなたのそばに~!!
幸福満点ニコニコ満面、ウワバミンイエロー!≫
「愛と可愛いは絶対無敵の正義なの!!
可愛さ爆発元気溌剌、ウワバミンピンク!」
「……あ~、深き深緑の森からの使者。
数が多いだけと思うなよ?ウワバミングリーン」
「「「「「 五人揃って、
ウワバミンジャー!!!!! 」」」」」
そう言って一斉にポーズを決めるおらたち五人。
しばらくその姿勢でじっとしていたが、やがてメーサさんがポーズを解きながら満面の笑みではしゃぎだす。
「完璧なの!
何処からどう見ても、私たちは可愛くそしてかっこよく決まってたの!!!」
嬉しそうなメーサさんに続きスラりん先輩達もはしゃぎだす。
≪そうだな、主殿から聞いてやってみたが、ああやって登場するとやっぱり迫力が違うな≫
≪侵入者も私達の五人の姿を見れば畏れ慄くでしょう≫
≪それになりより~、ああやってポーズ取るととっても楽しいの~。
ボクの伸ばした腕かなり決まってたでしょ~?≫
そう嬉しそうに言うが、残念ながらスラりん先輩達のポーズを何処からどう見ても、素人にはただいつも通りの丸い形をしていたようにしか見えないと思う。
(もちろんおらにはちゃんと、カッコ良い先輩方のポーズわかっていますよ)
その後も四人はそれぞれポーズについて話し合うが、おらはそれを傍でぼんやり聞いていた。
正直おらにはこの登場の仕方の意味がよくわからない。
でも主様曰く、
「五人組で登場するなら、それなりの作法があるんだよ」
遠い目をしていた主様も、いざやるとなるとなんだか気合を入れて説明し始めた。
その説明の中の一つにこの登場の仕方があったのだが、実際にやってみて果たしてこれが上手く行くのかと疑問に思ってしまう?
あの長ったらしい口上、それにポーズ、そんな事をしている間に敵に攻撃されてしまうのでは?と疑問に思ってしまう。
(ちなみに、スラりん先輩達の言葉は侵入者たちにはわからないのでおらが変わりに口上を述べることになりました。
その際に先輩方から一人一人違いが出るようにといろいろと注文付けられたので、必死にそれぞれ声色を変えているように練習したせいで、喉が痛いです)
痛む喉をさすっていると、メーサさんが心配したようにおらに聞いてきます。
「ゴンラ平気?喉痛めたの?」
「えぇ、平気ですよ。
ちょっとだけ喉がヒリヒリしますが、侵入者が来た時はちゃんと口上は述べられますよ」
「そう、よかったの。
それでゴンラ、さっきの登場シーンだけどゴンラだけ迫力が足りなかったの。
もっと元気よく胸を張らないとだめなの!」
「はぁ」
この登場シーンに疑問を覚えているせいか、いまひとつ気持ちが乗らないせいで迫力が出ないのだろう。
「せっかく、そんなカッコイイ服になったんだから、頑張らないとだめなの!」
そう指摘されてもおらはやっぱり気持ちが上がらない。
メーサんが言うカッコイイ服というのも、おらが気持ちが乗らない原因の一つなのです。
主様が曰く、
「五人組にはそれぞれ自分の色があるんだ。
だから、メーサとゴンラも自分達のイメージカラーに合った色の服装を着れば?」
そう言われたのでメーサさんはノリノリで、おらはさらに疑問を覚えながら服を準備することになった。
「私は可愛いピンクが良いの!」
メーサさんはそう言って、自分の服をピンクに染めたり主殿におねだりして可愛らしいアクセサリーを買ってもらったりして、コーディネートしていった。
(主様に抱きしめながら可愛らしくおねだりするメーサさん、その姿をムースさんが後ろから今にも射殺さんとする目で睨みつけていたのを見て、おらは肝が冷えました)
そんなメーサさんと比べて、おらはイメージカラーといわれても浮かばなかったので適当にすまそうとしたのですが、どこからか話が広がっており話を聞いたヤードの兄貴が楽しそうにおらの所に来ました。
「なんだか面白いことするそうだな。
ゴンラ、お前の服は俺に任せろ。
ゴブリン族として恥ずかしくない格好にしてやるよ」
あのニヤニヤと笑みは、おらで楽しむ気満々のようです。
それでヤードの兄貴に連れていかれた(全力で逃げようとしたので、文字通り引きずられるように連れて行かれた)のはアラーネアさんとクロコディルさんの所。
「アラーネア暇だろう?
この前斬り取られたお前の脚使って、ゴンラの服作ってくれよ」
「いきなり来て、当たり前のように暇扱いか?
まぁ確かに暇じゃが、また面白そうな事を言うのう」
脚を生やしている最中のアラーネアさんは現在あまり動きたくないらしく、その場でじっとしている事が多いいです。
そんなアラーネアさんにヤードの兄貴がこれまでの事を説明します。
「かっかっかっ、まっこと面白い事をしておるわ。
いいじゃろう、いいじゃろう。
特に使い道があったわけでもないが、丈夫で何かに使えんかとっておいた脚じゃ、そんな面白い事に使うならワシも満足じゃ」
そんな風に言われても、確かアラーネアさんの脚って軽いくせにかなりの強度を誇っているため、武器屋や防具職人の間では高値で取引されるものって聞いていたのですが。
「おも…、しろそ……うだな。
俺の……、牙も使うと…いい」
それまで黙って聞いていたクロコディルさんも、アラーネアさんに続いてそんな事を言いだします。
狂信者との戦いで抜けたらしい牙は、鋭くこれもかなりの強度を誇ります。
「かっかっかっ、素材はかなりいいのがそろったのう。
ヤード物置に侵入者が来ていた皮鎧があったじゃろう?それを持ってきてくれんか。
それを改造してゴンラに最高の服を作ってやろう」
「わかった。
すぐに持ってくるから待ってろ」
ヤードの兄貴はそう言って物置に皮鎧を取りに行きました。
物置に置いてある物は誰も使っていたいので、勝手に使っても文句は言われません。
その中にはおらに合う装備もあるのですが、おらは身軽に動きたいために身につけて無かったんです。
「さてさて実に楽しくなってきたのう」
アラーネアさんは手から糸を出しながら楽しそうに呟きます。
ちなみにアラーネアさんはスキルに【裁縫】【縫い付け】があるために簡易なら、既存の皮鎧を改造できるのです。
(普段はそのスキルは自身の糸で侵入者を縫い止めるために使っています)
それからヤードの兄貴が持ってきた皮鎧の改造が始まりました。
「そこはもっと尖っていた方がいいんじゃないか?」
「牙を…そこに使うと、迫力が……でるぞ?」
「外野がやかましいぞ。
ここはワシのセンスに任せておくのじゃ」
三人はノリノリで改造、……いえもうあれは魔改造と言っていいのではないでしょうか。
なんだか主様に相談に行ってから、おらの周りは妙なテンションになっている気がします。
あれでしょうか?
狂信者という強敵を倒した事でみんな心にゆとりができ、ハイになっているのでしょうか?
ぼんやりと現実逃避をしつつそんな事を考えているうちに、魔改造は終わりおらの服が完成しました。
「ほれゴンラ、さっそく着てみるのじゃ」
渡された服を手に取りしげしげ見ていると、早く着るように催促されます。
正直渡された服を見た時点で、あまり着たくなかったのですが期待に目をキラキラさせている三人に囲まれている状況で、着ないという選択肢は無いようです。
ばれないように溜息を吐き、おらは覚悟を決めて服を着ます。
そして服を着たおらの姿を見て、皆が声を上げます。
「かっかっかっ、よく…、本当によく似合っておるぞ」
「クッ、あぁ似合ってるぞゴンラ」
「……ハッハッハッ」
皆さん笑いながらそう言います。
なぜみんな笑うのか?
そう思い水に映った姿を見ると、おらも笑い出してしまいました。
なんという、悪役姿!!
アラーネアさんの脚を使ったため、ゴテゴテした黒い脚は迫力を演出し、ところどころに飾り付けに利用されたクロコディルさんの牙がさらに強さを演出する。
ゴブリン族の厳つい顔がさらに服に合っているため、まさにおらはどこの悪役ですかという格好になっています。
聖魔戦争の時に出回った、誇張200%のまさに悪役と言った感じの魔王クラウン様の絵姿にそっくりです。
「これで胸を張って頑張れるな」
笑いをかみ殺した顔でヤードの兄貴に言われましたが、はっきりいておらにはこの服がこのあと災難を運んでくるようにしか思えません。
そして実際おらはこのあと災難に見舞わられることになります。
「来ましたね」
木の上で待機していたおらたちの視線の先には、ゆっくりとした足取りでエリアに入ってきた侵入者の姿がいます。
なぜおらたちが木の上にいるか?
主様曰く、
「突然現れた方がカッコよく見えると思うよ?」
そう言われたので、突然姿を現すために木の上で隠れて待っています。
姿を隠しながら、木々の間から侵入者の姿を窺いますが、その姿はよくわかりません。
なぜなら――、
「まったく、あのフード邪魔なの!」
聞かれないように小さな声で怒るメーサさん。
そしてメーサさんの言葉通り、侵入者してきた三人は皆フードで顔が隠し、マントで体を覆っているためどんな装備をしているのか?男なのか女なのかそれすらもよくわかりません。
それでもじっと観察すれば、慎重にエリアを進む足取りからまったく戦闘をした事のないような新米というわけではないだろうことだけはわかります。
装備がわからないので戦い方がわからず対処は難しいですが、それはいつものこと戦いでは何が起きるか分からない、おらはそう肝に銘じ油断しないようにあらためて気を引き締め直します。
「それじゃ行くの!」
やがて侵入者達がエリアの中ほど進み、もう少しでおらたちがいる木の下を通るという所でメーサさんが合図し、おらたちは一気に気から飛び降りる。
シュッタ!
侵入者の目前の地面に降り立ったおらたちは、急に出てきたおらたちに驚く侵入者の前でさっき練習したポーズと共に口上を述べます。
≪情ね―――≫
「出たな、魔族どもめ!!!」
ですが口上をいいかけて瞬間、現れたおらたちに反応した侵入者の一人が上げた怒鳴り声で中断されてしまいます。
(やっぱり、そうなりますよね)
あんな長い口上を敵が最後まで聞いてくれるとは思えなかったおらは、何処となくこうなる予感をしていました。
でもおら以外の他の四人はまさか邪魔されるとは思っていなかったのか、口上を邪魔された事に怒りのボルテージが上がっています。
せっかく気合入れていたのに、邪魔されたらそりゃあ怒りますよね。
そんなおらたちをよそに侵入者の方は、こちらを指さしながら叫ぶ。
「魔族どもめ、ここから地上に出て人々を苦しめるつもりだろう、だがそうはいかないぞ!!」
そう言い体を覆っていたマントを掴むと、勢いよくマントを脱ぎ棄てます。
そしてマントの下から現れた姿を見て、おらは口をあんぐり開け茫然としてしまいました。
(スラりん先輩達も口が無い代わりに、体がビヨーンと大きくなり驚いたアクションをします)
「世に悪が蔓延ることを俺達は許さない!」
全身金色のフルプレートを着た騎士が力を見せつけるように力瘤を作るかのようなポーズを決めた後、背負っていた金色の剣を高らかに掲げる。
「人々が悲嘆の涙を流すことを俺達は許さない!」
全身銀色のフルプレートを着た騎士が素早さをアピールするように、前方に向けて鋭い突きの連打を見せつけ、そのまま手に持った銀色の槍を掲げる。
「世界に平和が訪れるまで俺達は戦い続ける!」
全身色とりどりの宝石がちりばめられ、目が痛くなるような鎧を着た騎士が上段からこれまた宝石がちりばめられたハルバードを振り下ろした後、頭上でハルバードを振り回してから石突を勢いよく地面に打ち付ける。
そして、それぞれがまた違うポーズを一斉に決めると声を合わせ、
「「「 我等平和の騎士、ジャスティス!!
悪党どもよ、覚悟しろ!!! 」」」
それぞれの武器の剣先をこちらに向けて睨みつけてくる。
その一糸乱れる動き。
完成された口上とポーズ。
そして何より、やりきった後に感じる騎士達のドヤって感じの雰囲気。
それらを見ておらは思ってしまった。
(敵にも同類(馬鹿)がいる!)
隙だらけのあんな口上述べる奴なんておらたち以外いないと思っていたのに、まさか敵が目の前でやるとは微塵も思ってもいませんでした。
ついでにメーサさんにスラりん先輩、敵の口上やポーズを見て「私達がやりたかったのに」って悔しそうな顔しないで下さい。
特に黄色のスラりん先輩≪かっこいいな~≫ってつぶやかないで下さい。
やらなくてよかったんです、やらなくて。
侵入者ジャスティスでしたか、彼等はポーズを解き武器の剣先をなぜかおらに向けます。
「どうした悪党よ、我等の姿に驚いて声も出ないか?」
確かに驚きましたいろんな意味で。
剣先を向けられていると言っても、彼等の武器は光り輝いてはいますが、なんというか実用的な造りじゃない気がするのでまったく怖くないです。
恐怖で声が出ないとはよく聞きますし、おらも体験した事がありますが、まさか驚き過ぎて声が出なくなる事を体験するなんて思ってもみませんでした。
「その刺々しい服装に、いたいけな少女を横に侍らせる背徳、スライムを引き連れ堂々と立つ姿、お前がこのダンジョン主だな!!」
えっ、まさかおらなんか勘違いされてる?
敵からのまさかの発言に、ようやく驚きが治まり閉じかけていた口が再びあほみたいに開いてしまった。
「ち、違う。
おらはダンジョンの主なんかじゃないです」
主様と間違われるなんてとんでもない。
何とか否定しようとするが、
「嘘をつくな!!
それにその見るからに妖しげで恐ろしいまさに悪を表現した姿をしていて、主でないとは言わせんぞ!!」
いえ本当に違いますから。
首がとれるんじゃないと思うほど慌てて首を横に振りますが、相手は聞く耳を持ってくれません。
「いくらでも嘘をついとけばいい、何せお前は今日死ぬのだからな。
ここであったが百年目、その首このパールン様が貰い受ける!!」
百年目って人間ってそんな寿命長くないでしょう!
宝石をちりばめた騎士がハルバードを構えて突っ込んできます。
「ギーンよ、パルーン様に遅れるな!」
「わかっていますよ、キーン兄さん」
金と銀の騎士もそう言って武器を構え、パルーンに続いておらに向かって突っ込んできます。
兄さんって呼んだ所を見ると、金と銀の二人の騎士は兄弟なのでしょう。
そんなどうでもいいことを現実逃避のように考えながら、迫りくる騎士たちを待ちうけます。
「ウォォォォォォ」
雄叫びを上げ、迫力がある突進を待ちうけます。
それはもうのんびりと、おらは待ちうけます。
何せ彼等威勢はいいのですが、装備が重いのかかなり足が遅く、簡単に避けることができそうなのですから。
本人達は走っているつもりなのでしょうが、実際には早歩きより少し遅いくらいのスピードしか出ていません。
さっき慎重だと思った足取りも、今思うとただ単に動きが遅かったからそう見えたのかもしれないです。
まぁ、武器をあれだけ振りまわせるのでしょうから、腕力はあるのでしょう。そこは注意しないといけないですね。
とりあえずのんびりと待ちながら、横にいるメーサさん達に声をかけます。
「どうしますか?」
それはこの後の騎士達の対応について。
あれだけ遅ければ、今度はこちらが口上を言える時間はあると思うので、やる気があるならやりますかと聞くことにしたのですが、メーサさん達はもう口上とかどうでもいいみたいです。
「そんなの決まってるの!!
人の登場シーンを奪ったんだから、産まれてきた事を後悔させてやるの!!!」
≪そうだな、せっかくの練習を無駄にしやがって≫
≪えぇ、許し難いですね≫
≪それに~、なんだかあいつら~、ボク達の真似したみたいで許せないの~≫
そう言って四人は一斉に騎士達に向かっていきます。
スラりん先輩達の方が騎士達より進むのが早いってどうなのでしょう?
そんな事を思いながらおらも一応四人の後を追います。
「自ら命を断ちに来るとはよい心がけだ!」
こちらに走りくるメーサさんの姿を見たパールンはそう言い、ハルバードを振りかぶります。
「その心がけに免じて、私が一撃で殺してやろう」
「はぁ~、馬鹿は黙っておくの」
だがパールンは振りかぶった姿勢で動きを止めてしまう。
標的にしていたメーサさんともろに目を合わせてしまったため、石化の瞳が発動したのだ。
「レッドお願なの」
≪任せておけ≫
動きが止まったパルーンの顔めがけて、メーサさんは思いっきりスラりん先輩レッドを投げつける。
≪へっ、苦しみやがれ≫
いつものように鼻と口を塞ぎ窒息させていく。
「「 パルーン様!! 」」
それを見た金と銀の騎士が叫びを上げ、急いで近づこうとするがそれをブルー先輩とイエロー先輩が邪魔をする。
≪邪魔はさせませんよ≫
ブルー先輩はぬるっとした体を利用して、わずかにあいていたフルプレートの隙間から体を滑り込ませる。
「こ、このっ」
慌てて追い出そうとするが、全身を覆うフルプレートがあだになったのかブルー先輩を捕らえることができない。
≪ここからなら安全に内部から消化できるな≫
ブルー先輩はためらうことなく体を生きたまま消化させていく。
スライムの体は全身が肌であり、頭であり、そして胃袋なのだ。
辺りに生きたまま消化させられるキーンの苦痛の叫びが響き渡る。
≪よ~し、ボクも負けてられないの~≫
叫びを聞いてイエロー先輩のやる気が上がる。
体をゴム球の様に弾ませながらギーンに接近すると、そのまま弾力を生かして体当たりをする。
ボヨ~ン。
だが鎧に当たった体はダメージを与えられず普通に跳ね返る。
「?なんだ今のは?」
体当たりをされたギーンは意味のない体当たりに疑問を浮かべる。
確かに今のイエロー先輩の体当たりはダメージを与えられなかった。
だが攻撃はそれだけで終わりでは無かった。
鎧に当たり跳ね返った体は、そのまま地面にぶつかりまた跳ね返りまたギーンに向かって飛んでいく。
「邪魔だ!」
飛んでくるイエロー先輩の体を五月蠅そうに槍の柄で弾き飛ばす。
だが弾き飛ばされた威力を利用してまた跳ね返りながらギーンに飛んでいく。
何度も何度も跳ね返り、そのたびにだんだんとスピードは上がっていく。
「な、何なんだこいつは?」
スピードの上がるイエロー先輩に思わずビビってしまうギーン。
その顔面にイエロー先輩の体当たりが当たる。
スラりん先輩の体が柔らかかったからだろう、ペッチャという音が鳴る。
だが、戦いはこれで終わった。
≪一丁上がりだよ~≫
イエロー先輩は満足した声を上げ、顔から離れる。
≪主殿から~、教えてもらったけど~、柔らかい物がものすごいスピードで当たったら~、それまでのスピードが破壊力になって~、ダイレクトに内部に浸透するんだって~。
だから~、スピードに乗った~、ボクの体当たりを顔に当たった君の頭蓋骨の内部はかなりぐちゃぐちゃになったと思うよ~≫
その言葉の通り、ギーンは顔にある目や鼻、口や耳と言った穴という穴からドバドバと血を流して絶命する。
こうしておらたちは頑張った練習の成果を発揮することなく、なんなく敵を倒し終わった。
今回倒した侵入者の装備は見た目通り、かなり金目のものらしく主様はかなり喜んでいた。
(ただし、それらの装備や武器を見たとき「悪趣味だな」と言ってはいたけど)
こうしておらの相談から始まった騒動は、なんとなくノリと雰囲気でなあなあで流されて終わった。
まぁおらとすれば終わってよかったと素直に思う。
ちなみに、おらが来ていた服は現在主様に頼みこみ厳重に保管してもらった。
もうあの服を着ることは無いだろう。
……………………………たぶん。
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