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デビルズ・ダンジョン ~悪魔に頼まれダンジョン造り~  作者: 夢見長屋
動きだした世界、プロジェクト開始
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迎撃に勤しむ者・前編

 ムース視点


 現在私はマスターの背後に立ちマスターと一緒にモニターに映し出されている光景を見ています。


 「今回の侵入者は慎重だね」

 「そうですね」


 モニターには入り口付近で一人の侵入者がしきりに壁や床などを調べている様子が映っています。

 おそらく調べているこの男はシーフなのでしょう。


 「彼等の頑張りに答えるためにも入り口に何か罠でも設置しといたほうがいいかな?」

 「どうでしょうか。入り口に罠など仕掛けても今後さらに慎重になるだけでは?」


 入り口に罠など、これからも罠がありますと宣言しているようなものではないでしょうか?

 もちろんマスターが設置したいと言うのなら反対するつもりはありませんが。


 モニターには罠の有無を調べ終わった三人が中に入ってきます。

 先頭はシーフの男、次が鎧、最後が魔法使いの並びです。

 全体的に見てなかなかバランスの良いチームだと言えるでしょう。

 まぁバランスが良くても実力が無ければ意味はありませんが。


 しばらく彼等の様子を見ていますが、彼等の進みはかなり遅いです。

 もちろん遅いと言っても昨日来たみたいな子供達の様に怖がっているからという訳では無く、慎重に罠を確認しているからですが。


 おや?彼等は休憩をとるようですね。


 「やっぱり罠を確認しながら進むのは疲れるみたいだね」


 マスターが休憩をする彼らを見て楽しそうに言います。

 何一つ罠も敵も使っていないのに侵入者を疲れさせるなんてさすがはマスターです。

 私は楽しそうにモニターを見るマスターの背後で心の中で盛大に讃美します。

 本当は声に出したいのですが、私の声でマスターの邪魔をしてはいけませんからね。


 やがてそれぞれ交代しながら休憩を取った彼等を見計らって、マスターがスーラに通話を送ります。


 「スーラ準備はいい?」

 「いつでも大丈夫でござるよ」


 マスターの問いにスーラは気合の入った返事を返します。

 昨日かなり落ち込んでいましたからね。

 今日はその分を取り返すと昨日以上に気合を入れているのでしょう。


 「じゃあ作戦通りウインドウルフを先行させて、彼らに注意が要った隙に侵入者の背後をとる形でシャドーウルフ達で奇襲させて」

 「是」


 魔狼達を呼びだしてから訓練させてきたおかげでしょう、シャドーウルフのスキルに『影渡り』というスキルが身についていました。

 このスキルは影に潜むことができ、影の中を自由に動けると言うスキルです。

 もちろん長時間潜ることや、影の中にいる間は攻撃などできないなど不利な面もありますが、奇襲することに関してはかなり有効でしょう。

 このスキルを身につけたことに喜んだマスターが、シャドーウルフ達を嬉しそうに撫でまわしていました。


 …………………………羨ましい。


 マスターに嬉しそうに撫でられるのを見てついそう感じてしまいました。

 私など時々照れくさそうに頭を少し撫でられるだけなのに……。

 そのためつい魔狼達を睨んでしまうと、彼等は怯えたように腹を見せ服従のポーズをとりました。

 ……なかなかお腹も撫で心地が良いものでしたね。






 さて魔狼達の撫で心地のことはいいとして、モニターの様子です。

 マスターの指示通り魔狼達は侵入者に向かっていきます。

 侵入者もそれなりの腕のようですね、足音を聞きすぐに戦闘態勢をとっています。


 魔狼達と侵入者がついに相対しました。

 普段撫でてる時とは違って、戦闘になるとなかなかいい威圧感を出す者ですね。

 私がそんな風に感心していると、侵入者が魔狼に挑発をかけます。

 それに反応して魔狼達が動き出します。


 侵入者の短刀が魔狼を狙いますが、そんな攻撃普段の訓練で慣れているからでしょう簡単に避けます。

 彼等は普段からスーラやヤードの攻撃を避けることだけ訓練していたのですから、避けることに関してはかなり上手いです。

 二匹は攻撃をヒラヒラ避け、隙を見つけては牙や爪で攻撃していきます。

 このままヒット&ウェイでいけますかと思ったとき、後方にいた魔法使いが魔法を唱えます。

 その魔法が唱えられた瞬間魔狼達の動きが急に遅くなってしまいます。


 「おぉすっげー、はじめて魔法見た!!」


 ですがそんな事よりも、マスターは始めてみた魔法に感動しているようです。

 マスターは前から魔法を見たいと言っていましたからこの反応も仕方ないでしょう。

 あいにくと私達の中で魔法らしい魔法を使える者はおりませんでしたから、今までマスターの願いを叶えることができませんでしたからね。


 ……メーサの石化の瞳が魔法らしいと言えば魔法らしいですが、あの子共がまたマスターに褒められ、自慢気に私の方に視線を送るのが我慢ならないのであえてそのことはマスターに言いません。




 それよりも今は魔狼達の事です。

 魔法を受けシーフの方もかなり動きが鈍っていますが、一人だけ先程と変わらない様子で動いている鎧が目の前にいる魔狼に剣を振り下ろそうとしています。


 実に作戦通りです。


 予め囮となるように言われているので魔狼達に怯えはありません。

 何せ彼等に気を盗られているうちに、ゆっくりと影を移動していたシャドーウルフが背後に姿を見せているのですから。


 このまま上手く魔法使いを殺れる。


 そう思ったのですがシーフがシャドーウルフに気づいて声を上げます。

 おかげで奇襲は失敗、魔法は解けましたが魔法使いを仕留めることはできませんでした。

 おまけに奇襲をかけたシャドーウルフの肩に鎧が投げた剣が突き刺さります。


 「っ、ムース回復薬の準備を」


 それを見たマスターが急いでそう指示します。


 先程まで魔法を見て喜んでいた姿とは打って変わり、そこには仲間を心配する凛々しいお顔があります。


 あぁ、いつまでもその凛々しいお顔を見ていたい。


 そう思ってしまいましたが、今はマスターの指示に従う方が大事です。

 出来るメイドとはマスターの指示を受けたら素早く行動し、そして完璧に仕上げるものなのです。


 回復薬は貴重なため常に持っておかずに保管されており、私はそのうちの一つを持って急いでスーラの元に行きます。


 「ムース殿何があったのでござるか?」


 密林で控えていたスーラは回復薬を持ってきた私を見て慌てた様子でそう尋ねます。

 モニターは大部屋にしかないため、密林にいたスーラには何があったのか分からないのでしょう。

 それでも通路から血の臭いがしたために誰か怪我した事だけはわかったのでしょう。


「落ち付いて下さい。

 シャドーウルフの一匹が敵の攻撃を貰い怪我をしただけです。

 幸いにも致命傷では無いようですので回復薬で治るでしょう」


 そう言いながら回復薬をスーラに渡す。

 受け取ったスーラはそれを握り、心配そうに魔狼達がいる通路を見る。


 「マスターからは緊急の通話は来なかったのでしょう」

 「えぇ、ただムース殿が回復薬を持ってこちらに来るとだけでした」

 「ならば心配しても仕方ありません。

 緊急なことが起こればマスターがすぐ連絡してくるはずです。

 それが無いうちは作戦を続けると言うことです」


 特に連絡が無い場合は作戦を続ける。これはあらかじめ伝えられていたことだ。


 「あなたも魔狼達を率いるのですから、これぐらいの事でうろたえてどうするんですか。

 今後今以上に危なくなる可能性もあるのですよ」


 必要以上にうろたえていたスーラに一括を入れる。


 「うむ、そうでござるな」


 一つうなずき、スーラはいつもの落ち着いた雰囲気を取り戻す。

 それを見届けると急いでマスターの元に戻る。


 その足取りは回復薬をスーラに運んだ時よりも早い。


 魔狼達も心配だが、それよりもマスターの傍にいない事の方がムースにとっては重要なのである。




 どんな事があろうが彼女にとってはマスターが第一。

 それだけは変わることが無い。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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