残ったモノはどうするの?
ゴンラ視点
さて戦闘が無事に終わったようなので、ここからはおらの出番です。
敵がいないことを慎重に確かめた後におらは隠れていた木からこっそり顔を出します。
ここで素人は敵がいないと安心してすぐに姿を現してしまうようですけど、プロは用心に用心を重ねてこっそりと姿を出します。
ふぅ、どうやら本当に敵はもういないようですね。
さすがヤードの兄貴です。
木の陰からこっそり戦いの様子見てたけど、カッコ良かったです。
さてさて安心してのんびりもしていられないです。
何せおらの仕事が遅くなると他の魔獣達が怒りだすことになりますから。
怒りだしておらに牙をむいて追いかけてくる魔獣達を想像したら、体が震えてきました。
急いで仕事しないと。
おらは頭の無い死体に近寄ると、すぐに仕事に取り掛かります。
そうおらの仕事とは、跡片付けです。
ダンジョンが開く数日前主様にこの仕事を持ちかけられました。
「ゴンラ、このダンジョンで戦っていけるか?」
「もちろん大丈夫ですよ。
こう見えておら村の中では一番避けるのうまかったんですから」
自信満々にそう答えたのだが、おらの答えを聞いた主様は少し困ったような顔になりました。
おらなんか変なこと言っただろうか?
もしかして、敵に襲われた回数が村で一番多いですって言った方が良かったのでしょうか?
「ゴンラ、君がよければ何だが一つ大事な仕事を任せたいんだ」
「大事な仕事ですか?」
「そう、ダンジョンでこの仕事をしなかったら大変なことになってしまう可能性があるほど大事な仕事なんだ」
そんな大事な仕事をおらに任せてくれるのですか?
今までおらそんな仕事したこと無いですよ?
本当におらなんかにできるのですか?
おらの不安が顔に出たのだろう、主様は大丈夫と優しい笑顔で安心させてくれます。
「もちろんゴンラ一人だけじゃなくて、スラりんと一緒に仕事をしてもらうつもりだよ。
でもこの仕事の隊長は君だよゴンラ」
スラりん先輩と一緒ならかなり心強いです。
そうして主様はまっすぐおらの目を見て尋ねます。
「やってくれるかい?」
「もちろんです。このゴンラに任せて下さい!!」
主様にあんな真剣に頼まれたんだ。
ここで断ったらゴブリンが廃ります。
おらは胸を張って返事をし、主様の言う大事な仕事に就くことになりました。
これがどれほど大事なのか、主様が言うには「病原菌の発生阻止」らしいのですが難しくておらにはよくわかりませんでした。
なのでムース姐さんに聞くと、「整理整頓、清潔綺麗は当たり前です。マスターが創ったダンジョンを汚したままにする気ですか?」と無表情で睨まれました。
…………正直少しちびりかけるほど怖かったです。
大事な理由はわかりませんでしたが、とりあえずおらは真面目に取り組むことを誓いました。
まずは遺体が着ていた物を全て剥ぎ取ります。
この時おらが知らない物でも全部主様のもとに持ってくるように言われました。
実際に遺体の服からは丸い金属が数枚出てきましたが、これが何に使うのかおらにはわからないので素直に主様のもとに運ぶことにします。
後日ヤードの兄貴に聞いた所、あれは人間達が使うお金と言う者らしいです。
「お金って何ですか?」
「金って言うのは、欲しいものを買う時に使う通貨のことだな」
「は~、欲しいのがあれば奪えばいいんじゃないですか?」
「……まあそれもある種魔族らしい正しい答えだが、人間達は争わず平和に解決するために金を使うんだな」
なるほど、ヤードの兄貴の説明を聞いておらには金ってやつが必要無いってことがわかった。
ヤードの兄貴も「まぁ金が原因で争いも起きるから、必要ないならそれでいいかもな」って言ってたし。
身につけてたものを剥ぎ取ったら、次は残った遺体を運びます。
運ぶ場所はカウフロッグ達のいる湿原エリア。
遺体はカウフロッグ達が綺麗に食べてくれるそうです。
メーサお嬢さんが言うには、
「みんなメーサといっぱい遊ぶとなんだかとってもやつれちゃうの。
だからまた前みたいに可愛らしくプクプクした体を取り戻してもらうために一杯一杯食事してもらうの。
お腹一杯になったら幸せなの。
その後プクプクしたカウフロッグを蛇達が食べて、蛇達も幸せなの。
それを見るメーサもとってもとっても幸せになれるなの!」
満面の笑みでそう言われましたけど、おらにはその笑顔が妙に恐ろしく感じました。
…………ガクガク足が震えて、ゴブリンなのに蛇に睨まれた蛙状態になってしまいました。
その後おらはまた遺体があった場所に戻ってエリアに掃除に入ります。
そう言ってもおらがやることなんてほとんどないですけど……。
何せ血の跡や、飛び散った肉片なんかは全部スラりん先輩が処理してくれますから。
「スラりん先輩お疲れ様です」
そう言って頑張って掃除しているスラりん先輩に頭を下げると、スラりん先輩はプルプルと体を震わせて返事をしてくれます。
『おう、お疲れ。
お前も遺体運ぶの大変だったろう。
もう少しで掃除も終わるから少し待ってな』
相変わらずスラりん先輩は男前です。
しばらく待っていると、スラりん先輩が木の下でおらを呼びます。
……プルプル震えているだけで声は出ていませんが。
『ゴンラすまねぇ、木の上に引っ掛かった肉片取りたいから少し俺を持ちあげてくれ』
「了解です」
おらはスラりん先輩の体を持ちあげ木に乗せます。
スラりん先輩木に登れないんですよね。
さっきの戦闘の時も、侵入者が来る前におらが乗せてあげました。
全て掃除が終わると、最後にスーラさんに点検してもらいます。
「スーラさん点検お願いします」
「了解でござる」
なんでスーラさんに点検を頼むかと言うと……、
「うむ、どこにも肉片や血などは残って無いようでござるな」
鼻をひくひくさせ確認しています。
コボルト族のスーラさんは他の人達に比べ鼻が利くのです。
「もし肉片や血などが残っていたら、魔獣達が興奮してしまうでござるからな」
そんなことになったら大変です。
魔獣達はお腹がすくとなぜかおらのとこに集まってきます。
食べ物を分けてくれると思ってるのでしょうか?
それとももしかしておらを食べようとしてるのでしょうか?
どちらにせよ、おらとスラりん先輩が快適に過ごすためにもそんな事にならないよう、しっかり掃除をする必要があるのです。
スーラさんの点検が無事終わればおらの仕事も終了です。
今日は初めての仕事だったけど、何とか仕事は上手く行きそうです。
これからもスラりん先輩と一緒に頑張っていきますから、任せてて下さいね主様!!
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