8日 白
……さっぶ。
さぁっぶ‼ 何ここ、めっちゃ寒い‼ どうなってんの⁉
「爺ちゃん! 爺ちゃーん‼ どこ居てんの?」
「ここだ、ここ。隣だよ」
「どわぁい‼」
入口の扉のすぐ隣に居った。
「何なん、本殿だけめっちゃ寒いやん。もう冬やん。どうなってんの?」
「雪女の少女が来ていてね……」
「……あー。はいはい。なんかわかった」
雪女やったらな。息冷たいとかなんとかあるもんな。まぁ、ようこの町冬にならんかったって言いたいところやけど。
……あの子か。真っ白い着物来てはる。細かい紺色の花が裾のあたりに散った着物。そんで、ストレートの黒髪ポニーテール。雪女可愛なぁ。まぁ、雪女やったらそら美人か。年はトーカと同じくらいか? 中学生か高校生かくらい。
「で、何で爺ちゃんはこんな所座ってんの?」
「寒いからな」
……そんな決め顔で言われてもな。せやけど。わかるけど。幽霊でも寒いねんから、そりゃ爺ちゃんも寒いよな。
「あー、こんにちは、幽霊くん」
「女ですー……」
「あれぇ? その服って、日本の男の子が着るんだよね? ジンくんが言ってたもん」
うん、まぁ、借り物やけれど。ちょ、ごめん、寒いから近寄らんといて。待って、何で後ずさった分だけ近づいて来んの⁉ え? ひょっとして、何で後ずさってるか分かってらっしゃらない感じ? ちょぉほんま勘弁やし。
「私、雪女のマシロ。君はー?」
「レイ……。あの、さぶいっす」
「さぶい?」
「寒いんでー、あのー、離れてくれたら嬉しいなーとか」
「えぇっ⁉ 寒い⁉ そんなに⁉」
え、何をびっくりしてはんのこの人。うそん、寒さの原因になってる事気付いてない? 雪女やん自分。当たり前やん。
「ねーねーホウチさん、この町やっぱりおかしいよ! ねぇ、レイく、ちゃん!」
レイクって誰やねん。おかしいって言われてもな。最後の砦やぞここ。何か知らんが安全やねんぞここ。
「お前の口出しすることではないよ」
「むぅ。私だけ仲間外れにするぅー」
え、何、何? 何の仲間外れ? これ分かってへん時点でうちも仲間外れやん。仲間やん。
「大丈夫、自分だけちゃうで」
「そう? じゃあ、仲間の握手!」
「手ぇ凍るわ!」
「えぇー……むぅ」
なんでそこで爺ちゃんの事睨むねん。爺ちゃん、自分何かしたんか?
「じゃあ、杯を交わすとか!」
「いやうち未成年」
「幽霊に齢なんか関係ないもんね! 私はオバケの十六歳!」
幽霊とオバケの違いって何やねん。いや、それ以前に、自分も未成年やん。酒あかんやん。
「お酒はねぇ、見越し入道のおじさんが作る奴が美味しいの! あ、でもねでもね、霊界一の酒屋さんに行ったら、もっと美味しいの用意してくれてるんだ」
「ごめん、全然話に付いて行けへんです。見越し入道さんて誰。霊界ってどこ。ほんで自分、どんっだけ酒好きやねん」
「甘酒だったら、おキクさんが作る奴かなぁ。ヒアちゃんが作る奴も独特の味がして美味しいんだけど、初めてだったらちょっとキツいの」
マシロさぁああああん‼ 人の話聞いてる⁉ ちょー待て、それよりさ、この辺雪降りだしたぞ。何? テンション上がると雪降らせるのこの人。




