31日 祭りの力
おー、祭りか。えぇやん。楽しそやなぁ。
やぐらの上からぐるり見てみた。これがほんとの高みの見物。めっちゃ楽しいコレ。やぐらとかなっかなか乗れへんでぇ。
「よ、レイ」
「おー、ダイ爺。たこ焼き食うたか? たこせん食うたか?」
「なんでたこばっかなんだよ」
「え、だって……絶対食べるやろ、たこ焼きとたこせん」
「っつか、たこせんって何だよ」
「え⁉ 知らんの⁉ 祭りの定番やん!」
「いや、知らね」
「嘘やん。ほら、こんな、楕円の形した、ピンクの、うっすい煎餅!」
「……んー……?」
「ほら、ソース塗って天かすかけるやん!」
「いや、知んねぇけど」
マジでか。……マジでか! 祭り行ったら皆手に持って食べてるで? 小学生の集団が全員持ってたりすんで?
「ほんなら、たこ焼きは?」
「ここの祭り売ってねぇぞ」
「うそん」
「つか、あったとしても食えねぇよ俺ら」
「まぁせやわな。かき氷は?」
「なんで食いモンばっか聞くんだよ! 食えねぇっつってんだろが!」
「つい」
やー、だって、祭りと言ったら歩き食いやん。かき氷つつきながら歩くやん。
「光る輪っかとか」
「買えねーし」
「あ、そか」
……あれ、そこでマリーちゃんがかき氷つついてはんねんけど。あの子なんでかき氷買えるのん。あ、アケヤマさん居はる、なるほどな。そのそばに爺ちゃん居る。あ、人が爺ちゃんすり抜けてった。
「なぁダイ爺よ」
「んぁ?」
「なんで自分祭り来たん? 参加できひんのに」
「……べっつに、祭りはそこ居りゃ参加してるってことになるんじゃね?」
「やぐらの上でも?」
「祭りの雰囲気わかればオッケー」
「ほむ」
「でもやっぱ、祭りといえば人ごみだろ。おら」
ふぇ。ちょ、投げるなぁああああ‼ いや、落とすな!
「きゃっ!」
「うぉっ。何か降ってきた」
「わぅー。レイちゃん、はしゃぎすぎだよ」
「あー、どーも。うち投げられただけやし。別にはしゃいでた訳ちゃうし」
エンドウさんとアパートのお兄ちゃん姉ちゃん。皆なんやエンジョイしてはんな。焼きそばにから揚げにクレープに……エンドウさん、その金魚どうするつもりなん?
「まぁ、気ぃつけろよ」
「はーい」
「じゃねー」
「じゃあね」
ダイ爺め。やぐらの上で何ドヤ顔しとんねんアイツ。蹴り飛ばしたろか。蹴り飛ばしたった。
「おいおいおいおいレイてめっ、仕返しにしちゃやりすぎだろ⁉」
「そんなん知らんもん!」
あ、ちびっ子妖怪も何かちらほらいる。あ、ろくろ首さんも居はった。名前忘れたけど、何かでっかいのも居た。っていうか色んな妖怪居た。祭りすげぇ。
「……ひぅっ」
「隙ありぃっ……って、どした?」
「お、鬼も、居た」
「……ごめん、鬼どれだ」
「あれ! あの、やぐらの上!」
「あ、あぁ。下ばっか見てた」
怖ー……あのまま居ったら、しっかり鉢合わせしてたやん。
「……あいつら、怖いの?」
「怖いに決まってるやん! 鬼やで! いや、あの、赤パーカーと白パーカーは怖無いねん。一番でっかい黒パーカーが怖いねんて!」
「いや、確かに角付いてるけど……すっげぇ普通にから揚げ食ってんぞ。普通に談笑してんぞ。あ、あのビール、売ってたやつじゃん」
「…………何か、あんま怖なくなったわ」
祭りすげぇ。




